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●2014年6月号
■ 14春闘中間総括から今後の課題を探る
    ――労働法制改悪、政治反動との闘いに全力を――
   小笠原 福司

   

■ はじめに

第二次安倍政権が発足し、2度目の14春闘は、今後の春闘・労働運動、さらに政治を考える意味で1つの転換点であったといえる。
   
安倍政権にとってはいわゆる「アベノミクス」への「支持」を追い風として、「デフレからの脱却」への道筋をつけるため、労働者の賃上げから消費の拡大、景気の「上昇」と「持続」によって政権基盤を固めること。そして、次なるステージ、解釈改憲から「戦争のできる国づくり」へと突き進むという戦略が描かれていた。
   
連合を中心とした労働側は、97年以降の賃金の低下に歯止めをかけるために、「物価上昇」を追い風に「ベア春闘の復活」と、その波及効果をいかに社会的に広げるのか。そして、その流れを15〜16春闘へと定着させ、大きく後退を強いられている労働運動の社会的な影響力を広げ、また、迫りくる労働法制改悪反対の闘いにつなげ、安倍政権の政治反動と対決できる戦線の構築が問われている、こうした意味で転換点であったといえる。
   
以下、14春闘の労使の攻防点と連合の中間総括を中心として検討し、今後の課題について探ってみたい。
   
   

■ 1. 企業の純利益は過去最高――14年3月期決算

まず企業の富の蓄積をみてみる。東証一部上場企業の3月期決算がほぼ出そろったが、図表1(SMBC日興証券、5月15日発表)で見るように、輸出型の大企業を中心に純利益は前期比74.1%増の24兆5460億円となり、11年以降10兆円台の低迷から、リーマン・ショック前の08年3月期を大幅に超えて、過去最高となっている。
   

(図表1・クリックで拡大します)
   
その要因は、円安の恩恵が自動車、電機メーカーなどに及び、中でも自動車が全体の2割近くも稼ぎ最も貢献した。他では、消費税増税前の駆け込み需要がマンション販売、不動産など非製造業にも及んでいる。特に、特徴は電機、鉄鋼の純利益が黒字転換したことである。
   
なお、金融を除く上場企業の純利益は前期に比べ倍増したが、過去最高には届いていない。企業業績の改善で株式取引も活発となり。証券の利益は2倍を超えた。銀行もみずほファイナンシャルなどが最高益を更新している。他方で、原材料の輸入価格上昇など、円安が業績にマイナスに働いた業種としては、製紙の小幅増益、医薬品は減益となっている。
   
他方、図表2の厚労省「毎月勤労統計」(3月)でみると、基本賃金にあたる「所定内給与」は前年同月比608円減の24万0040円と、24カ月連続基本賃金が前年同月を下回った。「生存の不安定性は増大」していたといえる。
   

(図表2・クリックで拡大します)
   
日本経済の分析の詳細は、本誌5月号 立松潔論文を参照して頂くとして、筆者の問題意識を何点か述べたい。
   
一つは、「輸出主導による景気の回復」(輸出はGDPの13%程度)が言われてきたが、円安による輸出の増が、国内の景気の回復、消費の拡大、雇用の増に結びつかない構造という問題である。輸出額は確かに増えているが、過去最高よりも17%低く、国内の中小企業などの生産増に直結していない。その背景は、輸出企業の生産拠点の海外移転による「空洞化」が進んでいることによるものである(自動車は60%以上、家電も70%以上が海外生産)。
   
二つには、皮肉なことに「円安」が原材料価格の上昇をもたらし内需産業、主として中小企業の経営難をもたらしている(日本総研の試算では、1ドル86円から100円の円安で製造業全体で9000億円の減収)。それに、消費増税が追い打ちをかけていることは言うまでもない。
   
三つには、電機産業に象徴されるように、中韓など新興国の追い上げによって、かつての日本の競争力が失われて、生産設備などの生産手段の平準化が進み、人件費を主とした競争態勢での劣勢を強いられていること(これが、法人税のアジア並への引下げの根拠にもされている)。
   
などがあげられる。これは、「あくなき利潤を追い求めて突き進む以外にない」という資本の本質に起因していて、如何ともしがたい経済法則ともいえる。経済政策「アベノミクス」の虚構は露わになりつつある。
   
   

■ 2. 政労使の攻防と主張から考える

「官製春闘」という言葉が新聞紙上で躍ったが、改めて政労使の攻防と主張について、再確認をしておきたい。
   
   
・(1) 政府の「賃上げ」要請をめぐって
安倍首相の主導で、昨年5回に及ぶ「政労使会議」が開催され、12月には「賃上げ」の必要性が政労使で合意された。その担保として政府は復興特別法人税の1年前倒し廃止(8000億円という税金の投入)、賃上げ企業への減税要件の緩和などを打ち出した。
   
そして、経産省の役人が大企業を回って要請し、「個別企業の賃上げ結果を公表する」など、まさにアメとムチを駆使した異例の要請が行われた。
   
「なぜ、ここまで政府が」との意見もあるが、筆者はGDPの6割を占める個人消費の安定した拡大抜きには「アベノミクス」の経済政策とりわけ、「デフレからの脱却」は出来得ない。そのためには大企業を中心とした労働者の賃上げは不可欠、との判断と考える。
   
また、これまでのように労働者が生み出した富を、新たな投資に回し拡大再生産をするのではなく、内部留保と国債、証券など金融商品に投資し、実体経済に投資し得ない企業行動への「牽制」であったといえる。そこには企業が利潤を増やし続ける市場の開拓が容易に進まない、資本主義の行き詰まり、という本質的な矛盾を抱えている。
   
こうした異例の取り組みは、同時に連合をはじめとした労働側のふがいなさをも現わしていると同時に、前述したが労働運動のさらなる弱体化を意図している。
   
こうした動きに対して、労働側から「労使自治」の観点から異論が出されているが当然のことである。政府の行動を容認することは、今後インフレが進んだ時に、逆に政府から「インフレ抑制のためには、賃上げはまかりならん」と、労働側に圧力がかかることにもなる。「労使自治の立場」で、企業に対して当然の権利として堂々と賃上げ要求を行い、産別・単組を超えて統一闘争として闘うことである。
   
   
・(2) 経団連の主張と狙いは何であったか
経団連の『経営労働政策委員会報告』(以下、「報告」と略す)は、サブタイトルに「デフレからの脱却と持続的な成長の実現に向けて」と、政労使合意の文言を掲げた。総括に関連して重要と思われる点について述べてみたい。
   
経営側の認識としては、日本の「良好で安定した企業別労使関係」による「労使自治」を称賛し、「自社の支払い能力に即して労使自治で決定するもの」としている。そして、経営側にとっては「春季労使交渉・協議の意義や重要性はむしろ高まっている」と述べている。これは、賃金水準の社会的横断化をめざして闘う春闘の意義は終焉したが、個別企業の経営環境や課題を労使で共有し、競争力をいかに強化するか話し合う場、として春闘の変質が意図されている。ここに総資本としての戦略がみごとに現れている。
   
そして、政労使の「賃上げ合意」に対して、これまで同様に「総額人件費管理の徹底」を強調し、「ベア」は極力避けて、「選択肢の1つに留めよ」と。すなわち、月例賃金は増やさず、業績改善は一時金で、との主張である。
   
さらに、少子高齢化に伴う「法定福利費」(社会保険料)の引き上げを批判し、「社会保障給付の重点化・効率化」による福祉切りすてに言及している。この間の労働法制の改悪によって「格差・貧困、二極化」が進行したが、その改悪を指南した張本人がその社会的責任を放棄し、社会保障からの自立、自助を迫るとは、言語道断である。
   
また、過労死の危険ラインである月60時間以上の時間外労働に対する割増賃金率が50%以上に引き上げられたが、「単純な割増率の引き上げでは、総額人件費の増加だけをもたらす」と。経団連にはそもそもこうした働き方を防ぐため、傘下の企業を指導し、是正をさせる責任がある。それを放棄し、さらなる長時間労働、健康破壊を強いることを平然と言ってのける経団連に、公器としての資格はない。
   
最後に、今「報告」はここ数年社会的にもその存在と、有用な使途について議論がなされてきた「内部留保」を初めて取り上げている。「内部留保は企業の持続的成長に不可欠」「約168兆円に達しているが、賃上げの原資とすべきとの議論は、企業規模や産業、および個別企業の置かれた状況を無視した、非現実的な議論」と、一蹴している。
   
政労使会議に提出された「経済の好循環実現検討専門チーム」の中間報告では、「企業の利益剰余金は300兆円を超える水準となる一方、賃金は低下した。現状は正常ではない」と述べている。「正常ではない」と認めざるを得ないほど、「他方の極における富の蓄積」は歴然とし、まさにいびつな資本主義の姿を露呈している。この改善抜きに経団連は、「デフレからの脱却」が可能というのだろうか。
   
   
・(3) 連合14春季生活闘争方針の特徴
第一には、5年ぶりのベア要求、「1%以上」を掲げたことである(但し、正確には01年以降全体としてベア要求はされておらず、「賃金改善要求」だから13年ぶり)。
   
第二には、ベア要求づくりに向けて、

  1. 大手組合の賃金カーブ部分を開示することで、中小や未組織労働者も含めた労働者全体の賃金水準の「見える化」に取り組む。
  2. 「地域ミニマム」運動では、産別の個別賃金調査の取り組みを地域で広げるため、単組が組合員の個別賃金を調べ、データーを開示し、要求のミニマム基準づくりにむけ地域での討議に活かす、

とした。
   
第三には、大手と中小の規模間格差の縮小に向け、1つは、中小共闘の賃上げ目標を「率」から「金額」へと変更したこと。2つは、中小企業の改善原資は、公正取引の担保が必要、との観点で「公正な取引関係」、公契約条例制定拡大にむけた取り組みを展開するとした。
   
最後に、正規と非正規の格差の是正の課題である。雇用者の約4割に及ぶ非正規労働者の問題を社会問題として捉え、「底上げ」「底支え」「格差是正」を念頭に強くおいて取り組むとした。そして、まずは「職場から始めよう運動」の実践を打ち出した。
   
   

■ 3. 連合14春季生活闘争中間まとめ(案)から

連合は5月15日、第6回中央闘争委員会で、「2014春季生活闘争中間まとめ(案)」を出した。本格的な総括はこれからだが、現段階の課題を検討してみる。
   
   
・(1) 意義とその成果について
「意義と経過」の中では、景気回復局面の中で4月からの消費増税が確実な中、「物価や負担だけが上がり賃金が上がらなければ、いわゆる『悪いインフレ』となり社会の混乱は必至となる。月例賃金の引き上げにすべての組合がこだわることで社会的相場を形成し、波及させる」と、賃金引き上げの意義を強調している。
   
「要求水準の設定の考え方」では、定昇・賃金カーブ維持分+過年度物価上昇分+生活向上分の獲得を水準の考え方とし、「今後とも物価上昇が続くことが想定されるので、2015闘争以降も、所得をそれらと整合して引き上げていかなければならない」としている。消費税の10%への引き上げを年末には判断するとの流れの中で、最低でも16春闘までは「ベア春闘」を闘うということである。
   
「2014春季生活闘争の成果」では、「月例賃金の引き上げにおいて有額回答を引き出し、長い間一定の水準に貼りついていた賃金水準を引き上げたことは、デフレからの脱却に向けた一歩」と評価し、「内需主導の経済の好循環へのスタートが切れた」としている。この間の「定昇並」、「定昇すら及ばない」妥結結果からみれば、確かに定昇プラスアルファとなっているが、これで果たして「デフレからの脱却の一歩」となるのか、疑問である。
   
   
・(2) 個別要求項目の回答状況と課題
賃上げ結果は、図表3でみるように、5月8日現在で昨年比1103円(0.37ポイント)増。非正規労働者の賃上げは、時給で12円(昨年比+1円)となっている。
   

(図表3・クリックで拡大します)
   
これが「賃金レベルそのものを具体的に引き上げた」内実である。過年度物価上昇率が0.7%、そして消費税増税分の反映がすでに1.6%になっている中で、とても生活防衛すらおぼつかない現実をどう考えるのか。
   
内閣府発表の4月の「街角景気」調査でも、現状判断のDIは41.6と3月に比べ16.3ポイントも悪化し、下落幅は11年3月以来の大きさとなっている(50が好不況の分かれ目)。
   
また、「一時金が増額している」との声もあるが、大和総研の試算では、月給アップで年間所得が2%増加すると、日本全体の個人消費を5.3兆円押し上げる。ボーナスの場合には押し上げ効果は0.7円に留まるとしている。やはり月例賃金の大幅な増による将来への「保障」が、消費の増からデフレ「脱却」への最低条件である。
   
規模間格差の是正(中小共闘)については、平均賃金方式の回答水準は4422円(1.84%)、昨年同月比で542円(0.24ポイント)上回っている。また、前年実績を上回りかつ1歳1年間差4500円以上で妥結した組合割合は、37.8%と昨年同時期より16.9ポイント上回っている。ちなみに、日商の調査(4月15日〜21日、3134社)では、ベア―34%となっていて、連合の結果とほぼ同様の傾向にある。組織率が2割弱、そのうち概ね3分の1がベア獲得とすれば、その波及力は圧倒的多くの中小・地場には及ばないことは冷厳な事実といえる。
   
今後の課題としては、「賃金制度の確立が不可欠」とされ、「賃金制度」・「定昇制度」の確立に向けた連携のあり方の検討を開始する、と。中小は「約6割で定昇制度が未確立」と言われているが、今後その確立にむけて連合、産別の指導性、援助が問われている。
   
非正規共闘については、具体的要求内容、取り組みの進展については調査中とされている。ただ、先行組合の事例集などを作成し、情報交流から進めるとしている。提起されている非正規労働者の処遇改善の取り組みについての産別、単組を超えた交流は喫緊の課題となっている。
   
その他、「ワーク・ライフ・バランスの実現」、「ワークルールの取り組み」など、いずれも要求提出組合は着実に増えているが、回答引き出しは2〜3割と低い現状となっている。その詳細な内容の集約はこれからと思われる。
   
   
(3) 今後の主な検討課題
1つは、15春季生活闘争に向けて、「基本的な要求の考え方を踏襲しつつ、連合全体で取り組むべき項目の集中化をはかる」としている。物価が3%強と確実に上がることが予想されているが、「生活防衛」の意味合いの強い来春闘になることは疑いない。「物価上昇を賃金要求にして良いのですか」という若い役員の声が紹介されていたが、「物価上昇分はベア要求として当然」との意味では、「ベア春闘復活」の流れはつくることが出来たのではないだろうか。それを現わしているのが、図表4で、昨年と比較するとすでに「賃金改善獲得組合」が約4倍の増となっている。
   

(図表4・クリックで拡大します)
   
但し、資本側、政府の「インフレ下におけるベア要求は、景気の足を引っ張る」との攻撃も想定される。また、「物価上昇の責任を企業に求められても困る」との資本側の主張もあったと聞く。「賃金政策の検討」のみならず、そもそも「賃金とは何か」という賃金論の学習がいよいよ問われているのではないだろうか。
   
二つには、政労使会議での合意項目について「成果のチェックとフォローも行う」と記されているが、特に、「復興特別法人税の1年前倒し廃止」について、「労働者に還元されたのか」については、連合として厳しく点検・チェックをし、社会的に明らかにすることが必要である。なにせ国民の「多額の税金」が投入されているのだから。
   
最後に、共闘連絡会議など闘争体制の強化について、例えばとして、「『中小共闘』『非正規共闘』確認事項をより実践的にサポートし、個別具体的な取り組みの推進をはかる」としている。この間の取り組みの実績からみても社会的な影響力の拡大に向けて、二つの共闘組織の強化抜きにはあり得ない。特に、地方連合における共闘組織の強化こそ、中小・地場組合への影響力を広げるカギになる。その強化の経験交流も重要な課題となっていると思われる。
   
   

■ 4. 今後の課題を考える

連合の中間まとめ(案)も、現段階では詳細なデーターの集約、そして運動論の総括には至っていないが、以下問題意識も含めて、今後の課題について考えてみたい。
   
   
・(1)「ベア春闘復活」の流れを確かなものに
第一には、「官製春闘」などと揶揄されたが、例え、政府の「要請」があっても、労働組合として「要求しなければ、賃上げは勝ち取れない」という当たり前のことを教えた。
   
図表4の「要求提出組合」でみると昨年に比べ増加の傾向は見られる。しかし、「アベノミクス効果」どころか、「円安」による原材料高騰の煽りを受け、「経営難」に陥っている中小・地場企業も少なくない。「ベア春闘」への流れを確かなものにするには、そこへの支援、連帯含めた、取り組みの不十分さの総括が必要と思われる。
   
第二には、5年〜10数年ぶりのベア要求は、多くの産別・単組で、「そもそもどう要求していのか分らない」などの声が聞かれた。JAM産別のように約1000名のオルグを対象とした「賃金要求研修会」などの組織化が、それぞれの産別でかつてなく取り組まれたと聞く。
   
また、「スト権投票を実施した組合の増加」も報告されている。
   
その取り組みが、図表4でみる「賃金改善獲得」組合数の飛躍的な増に繋がっていると考えられる。まさに、「要求づくり」が闘いであるし、その討論を通して組合への結集が図られる。組合民主主義の具体的実践である。
   
第三には、総括でも提起されているが、「賃金水準の見える化」の取り組みである。成果主義の導入は個別バラバラな賃金水準をもたらし、一人ひとりの位置、水準すら見えなくされてきた。個人データーの調査から、「あるべき水準」、すなわち要求もより明確になってくる。それは、一人ひとりにとっては将来設計含めた「展望」を見出すことになる。
   
この取り組みを、企業内に留めるのではなく、地域における「ミニマム基準」(中小・地場組合の要求づくり)につなげる意識的な取り組みが求められている。
   
第四には、非正規労働者の処遇改善の取り組み、「職場から始めよう運動」の強化である。この取り組みの詳細な現状集約されていないが、この仲間たちの雇用条件の改善抜きには、正規労働者の雇用条件の下方平準化も押し留めることは出来得ないことは言うまでもない。地方連合含めて意識的な交流会の組織化が求められている。
   
   
・(2) 労働法制改悪反対の大衆運動の組織化
6月末には、政府の成長戦略、いわゆる「骨太方針」が出される。すでに報道されている、ホワイトカラー・エグゼンプション、限定正社員制度、非正規労働者の固定化などである。これは、労働時間の規制をなくし、解雇しやすい制度をつくり、非正社員をもっと活用するというもので、さらなる「雇用破壊・劣化」が目論まれている。
   
労働者の約4割を占める非正規労働者、さらに年収200万円以下のワーキングプアは約25%を占める今日、この雇用条件の改善抜きには「デフレからの脱却」などおぼつかない。しかし、安倍政権は、「経済成長」の名のもとに、逆行する政策を出し、資本の自由な搾取強化を今まで以上に「法律」によって保障しようとしている。
   
古賀連合会長は、「タダ働きを容認するホワイトカラー・エグゼンプションの阻止に向け、社会に訴え全力をあげて闘う」と述べている。ナショナルセンターの枠を越えて、「改悪阻止」の闘いに全力をあげ取り組むことが求められている。まさに連合運動の真価が問われている。
   
公務員労働者は、「民間労働者のこと」と斜に構えている現状もあると聞くが、職場の実態、タダ働き・多忙化、健康破壊など労働条件の点検・改善の取り組みと一体で、民間労働者と連帯して闘う態勢づくりが急務といえる。
   
   
・(3) 解釈改憲を許さない政治闘争に全力を
安倍政権は通常国会において、解釈改憲による集団的自衛権行使容認を打ち出している。その詳細については、本誌5月号の特集を参照して頂きたい。
   
解釈改憲への世論の反応は、マスコミ調査では半数以上が「反対」の意志表示をしている。昨今は、当面閣議決定を行い、国会審議は来年の統一自治体選挙後から、とも報道されているが、支持率の「高い」うちに一気に「戦争の出来る国づくり」へと突き進もうとしている。
   
この間の脱原発運動、秘密保護法反対の闘いなど幅広い戦線での取り組みが積み上げられてきたが、それらよりもさらに幅広い各界・各層の呼びかけで「戦争をさせない1000人委員会」が中央で結成され、全国的にも同様の取り組みが広がりつつある。各県・地区の置かれた条件をふまえて連動した取り組みの組織化に全力をあげよう。
   
最後に、こうした運動を組織するにはそれを担う活動家の育成が不可欠となっている。全国的には単組の中のみでなく、平和労組、平和センターでの学習会が取り組まれだしている。また、先進的な地方連合においても系統的な「労働者教育」を始めているところもある。
   
こうした努力に学び、職場、地域からの「労働者教育」、学習会の組織化を目的意識的に追求することを、労働者を取り巻く情勢が促している。心して取り組もう。
   
   

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