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●2020年4月号
■ 通常国会の前半の攻防と後半の課題
    社会民主党全国連合常任幹事  横田 昌三

   

■ はじめに

1月20日、第201回通常国会が召集された。昨年11月に通算在職日数を106年ぶりに更新し憲政史上最長になった安倍首相の施政方針演説は、東京五輪・パラリンピックに触れながら、「新しい時代」、「感動」、「夢」、「希望」、「魅力」、「躍動感」、「未来」、「新しいチャンス」、「新たなフロンティア」等々、言葉ばかりが踊る一方、「説明責任」、「任命責任」は口ばかりで、国民が聞きたい、「桜を見る会」の反省も、IR疑獄への弁明も、菅原前経産相や河井前法相夫妻の公選法違反問題のお詫びも全く語らなかった。また、「日米同盟」60年を評価する一方、憲法の上に安保条約がある実態、辺野古新基地建設の強行や地位協定の改正問題についてはスルーした。閣議決定だけで決定した自衛隊の中東派遣も、さらりと言及するのみで、国会に説明しようという気持ちがうかがえなかった。
   
「私自身の手で憲法改正を成し遂げたい」と述べていた安倍首相は、施政方針演説で、「案を示すのは私たち国会議員の責任」、「歴史的な使命を果たすため、憲法審査会の場で共に責任を果たしていこう」と実現に意欲を示した。憲法を尊重・擁護し、憲法に基づく政治を行うのが、首相を含む国会議員の義務のはずだ。
   
社民党は、「桜を見る会」疑惑、IR疑獄、河井前法相夫妻、菅原前経産相の公選法違反問題、自衛隊の中東派遣問題の4点セットを徹底追及するとともに、「安倍政権を倒す」国会として、ウソとごまかしを暴き、労働者・民衆と一緒に政治を変えていくという問題意識で臨むこととした。
   
   

■ 2019年度補正予算案と2020年度予算案

国会冒頭の焦点は、2019年度補正予算案だった。社民党は、昨年秋の臨時国会のなかで、相次ぐ台風被害に対応するための補正予算の早期編成を求めてきた。ようやく編成された補正予算案は、当初予算から「前倒し計上」して、20年度の防衛費の伸びを小さく見せようというだけでなく、兵器の「爆買い」によって、当初予算では新規兵器の頭金すらまかなえない実態を反映し、防衛費が一度の補正予算としては過去最高の4287億円となっていた。
   
「内需を中心に緩やかな回復を続けている」との経済認識なのに、税収は2兆3150億円も下振れし、消費税増税とその対策の失敗を示すものとなった。アベノミクスがうまくいっていることを見せようとして、経済見通しを高く見積もったものの、日本経済が悪化している傾向が大幅減収にあらわれ、消費税増税をしておきながら消費税収が3300億円も下振れするという本末転倒の事態となった。
   
災害対策関連部分は賛成であるものの、「予算作成後に生じた特に緊要となった経費の支出のために編成する」との補正予算の趣旨を逸脱した内容が多く盛り込まれており、補正予算案には反対した。
   
「令和最初の予算編成」と意気込んだ2020年度予算案は、当初予算としては2年連続で初めて100兆円を超え、過去最大の規模を8年連続で更新した。
   
消費税増税と社会保障の抑制・負担増の「全世代型社会保障」改革についても、国民の暮らし最優先の立場で、論戦に臨んだ。税収が「バブル期を超えて過去最高」というが、消費税収が基幹三税の中で最大の21兆7190億円となり、実際は消費税増税による増収依存に他ならない。また、社会保障費は、8年連続の増で過去最高を更新したが、大半は幼保無償化や高等教育の修学支援であり、概算要求段階で5353億円としていた高齢化や医療の高度化に伴う増加幅(自然増)は4111億円に抑えられた。公的年金の給付水準の引き下げや後期高齢者医療制度の窓口2割負担の22年度導入なども予定されている。
   
一方、防衛費は、本予算案でも過去最大の5兆3133億円が計上されるなど、膨張に歯止めがかからない。戦闘機F2の後継機の開発費111億円が初めて計上された。また政府は昨年12月、防衛省設置法の「必要な調査および研究」を根拠に、海上自衛隊の中東派遣を閣議決定し、国会の審議もないまま、1月11日にP3C哨戒機を、2月2日には護衛艦「たかなみ」を中東海域に派遣したが、護衛艦の燃料費や人件費に加え、護衛艦いずもの空母改修費なども計上された。米国によるバグダットへの空爆やイラン革命防衛隊のソレイマニ司令官の殺害など、緊張の高まっている地域への派遣は、違憲で危険な暴挙であり、許すことはできない。防衛予算の追及とともに、中東派遣の撤回を強く求めている。
   
2月28日に予算案は衆議院を通過したが、社民党は、消費増税依存と防衛費膨張、大企業優遇予算となり、暮らしの安心にほど遠く、「社会を底上げする予算」への転換を求める立場から反対した。なお共同会派として、マイナンバー関連やカジノ関係の予算を削減し、新型コロナウイルス対策の強化などをはかる組み替え動議を提出したが、否決された。
   
   

■ 疑惑の徹底追及

「忖度政治」が横行し、行政と政治の私物化、お友達優遇政治の行き着いた先が首相主催の「桜を見る会」の問題であり、臨時国会に引き続いて追及を強化した。
   
2月5日の衆院予算委員会では、「前夜祭」の会場のホテルと首相の事務所との間で「契約」があったとした1月の国会答弁を修正し、「契約の主体は参加者だ。事務所は合意し、仲介している」と説明した。「募る」と「募集」が違うと言ってみたり、「合意」しているが「契約」ではないと言ってみたり、日本語から勉強し直すべき支離滅裂さである。
   
2月17日の衆院予算委で、辻元清美議員の「前夜祭」の会場となったホテルから文書で得た「明細書を主催者に発行しないケースはない」などとの回答を基にした質問で、「明細書は受け取っていない」、「領収書はホテルの担当者が金額等を手書きし、宛名は空欄であった」との首相の主張との矛盾が明らかになった。ホテル側は「『営業の秘密』と申し上げた事実はない」、「主催者に明細書を提示しないケースはなく、例外はない」と説明し、首相答弁を否定し、首相の話はうそだとはっきりした。
   
「桜を見る会」は決して小さな問題ではない。政治の公平・公正にも関わる問題であり、安倍首相自身の政治とカネの問題であり、安倍首相を信頼できるかという問題だ。
   
臨時国会で敵前逃亡のように大臣を辞任し、説明責任を果たさないまま行方をくらませていた菅原前経済産業大臣と河井前法務大臣夫妻の公選法違反問題、カジノリゾート(IR)事業参入をめぐって、中国企業から賄賂を受け取り逮捕されたIR担当・秋元内閣府副大臣をはじめとする自民党議員の疑惑についても、徹底追及に力を尽くした。
   
特に、参院選直前、河井案里候補の陣営に自民党本部から1億5000万円の巨額資金が振り込まれ、自民党本部からの巨額資金が買収に使われた疑いもある。さらに、克行氏の衆院選、案里氏の県議選でも車上運動員への上限を超えた日当を支払ったことも明らかになり、常態化していたとの疑いも出てきた。議員を辞職してけじめをつけるよう求めるとともに、案里氏を参院議員候補として公認し丸抱えで選挙を行い、克行氏を法相に任命した安倍首相・総裁の責任を徹底追及していく。
   
3月18日、森友学園問題で自殺した近畿財務局職員の手記が公表され、18年6月4日の財務省の決裁文書改ざん等に関する調査報告書が確認している事実は、実は真実ではないということが明らかになった。すべては安倍首相の17年5月17日の「私や妻が関係していたということになれば、総理大臣も国会議員も辞める」との答弁に端を発している。野党合同で森友問題再検証チームを立ち上げ、一つ一つ真実を明らかにしていく。
   
   

■ 東京高検検事長の定年延長問題

これまでも内閣法制局長官やNHK会長、日銀総裁などに政権に都合がいい人事を行ってきた安倍政権は、1月31日、政権の意に沿ってきたといわれる黒川東京高検検事長を国家公務員法の例外的な定年延長の規定を使って半年間勤務延長させることを決定した。そもそも検察庁法は、検事総長は65歳、その他の検察官は63年に達した時に退官するとするのみで、延長の規定は設けていない。検察庁法は特別法であり、一般法である国公法より優先する。何よりも国公法による定年延長は、「前条第一項の規定により退職すべきこととなった場合」(第八一条の三)と明記しており、「別段の定め」である検察庁法第二二条に基づく退官は含んでいない。過去の国会答弁や当時の想定問答集、これまでの政府解釈で、検察官には国家公務員法の定年延長は適用されないことは明らかであった。
   
すると安倍首相が「国公法の規定が適用されると解釈することとした」と答弁したのをきっかけに、人事院は「言い間違えた」と修正を余儀なくされた。その後、解釈変更に関する法務省と人事院との協議文書が「口頭決裁」だったことも明らかになった。法解釈の変更が必要と考えた理由を問われた森雅子法相は、東京電力福島第一原発事故直後に「検察官は最初に逃げた」などと主張し、撤回・謝罪に追い込まれた。一連の経過や法相答弁の迷走は、政府の主張が破綻し、もはや取り繕えなくなっていることを浮き彫りにした。
   
そうした中、安倍政権は、3月13日、検察官の定年を63歳から65歳に引き上げる検察庁法改正案を提出した。今回のような恣意的な人事を可能にするために、内閣が判断すれば、特別に最高検次長検事や高検検事長などのポストにとどまれるとする規定を新たに盛り込んだ。中立・公正たるべき検察に政治が介入し、私物化することは許されない。違法、脱法の定年延長の閣議決定をすみやかに取り消すとともに、検察庁法改正案を国公法等改正案から分離し、撤回することを強く求めている。    
   

■ 新型コロナウイルス感染症対策

新型コロナウイルス肺炎は、世界各国に広がり、1月31日、WHO(世界保健機関)は緊急事態を宣言し、3月12日には、「パンデミック」と述べ対策の強化を訴えた。社民党も対策本部を立ち上げ、国民の健康といのちを守ることを最優先に、国内でのさらなる二次感染、三次感染を防ぐとともに、生活支援策や中小零細事業者支援策などの対策を協議し、共同会派の合同対策本部に反映させる努力をしている。
   
安倍首相は2月27日、専門家会議での議論も、感染症対策として適切かどうかのエビデンスも一切ないまま、「英断を下した」とでも言うかのように、突如として全国すべての小中高校と特別支援学校に一斉臨時休業を要請した。卒業式や受験を控えるなかでの、あまりに唐突な発表に、現場はもとより日本全体に混乱が広がった。社民党は、現場の声や国民の疑問、不安をしっかり受け止め、きめ細かく対策を講じる立場から、非正規労働者やフリーランス、休校の影響を受ける学校に勤務している人たち、日本語学校講師の問題などを質問で取り上げ、徹底追及した。また、野党共同で、学校休業に関する申し入れを行うとともに、新型コロナウイルス検査拡充法案を提出した。
   
3月4日に与野党党首会談が開催され、安倍首相より、現行の新型インフルエンザ等対策特別措置法に新型コロナウイルス肺炎を対象として追加する法改正への協力が求められた。社民党は、

  1. 1〜2週間が山場としている中、法改正は時間がかかること、
  2. 野党提出の検査拡充法案の成立に協力すべきこと、
  3. 緊急事態宣言の発令や私権の制限については謙抑的であるべきである

と主張した。
   
3月10日、新型インフルエンザ等対策特別措置法の一部を改正する法律案が提出された。社民党は、国民生活への影響が非常に大きい私権の制限に係わる法案であり、対応を慎重に検討してきた。そして共同会派とともに、国会の関与のあり方などについて修正を求めてきた。修正案自体は受け入れられなかったものの、内容の多くについて、附帯決議に盛り込むことができ、懸念されていた事項について一定の歯止めがかけられた。また、必要と認められる者へのPCR検査の実施、消費と雇用に重点を置いた万全の金融・財政政策、中小・小規模企業、個人事業主、フリーランスへの配慮なども盛り込まれた。
   
そのうえで、WHOが「パンデミック」の認識を示し各国に対して対策の強化を訴えたことや、日本においても感染症の拡大が続き収束が見通せない中、国民の命と健康を守る観点から一定の立法措置が必要であるとして、賛成やむなしとした。なお参議院の附帯決議では、福島党首の尽力により、放送事業者への指定公共機関の指定の限定、報道・論評の自律の保障、言論その他の表現の自由の確保への特段の配慮、集会の自由等の人権が過度に制約されることのないようにすることなども盛り込んだ。
   
緊急事態宣言の安易な発令は許されない。政府は、新型コロナウイルス感染症対策に万全を期し、緊急事態宣言が発令されることがない状況を早急につくらなければならない。万が一、緊急事態宣言に至る場合には、科学的根拠を持って説明責任を果たすように求めるとともに、国会の事前報告でしっかりチェックしていく。また、緊急事態措置の実施にともなう私権の制限は特措法第五条に基づくことは当然であるし、「国民の自由と権利の制限は最小限」とするなどの附帯決議を遵守するよう、強く求めていく。
   
一方、新型コロナウイルス肺炎を奇貨として、自民党改憲4項目の1つである緊急事態条項の必要性に結びつけ、改憲論議が進められようという動きもある。しかし新型肺炎と憲法改正は何も関係がない。今回の法整備で、憲法を改正して緊急事態条項を盛り込む必要性はないことが逆に明らかになった。
   
3月17日、野党4党1会派は、幹事長・書記局長会談を開き、東日本大震災の際に、当時の野党・自民党の提案に基づき、「各党・政府震災合同会議」を開催したことを踏まえ、政府と野党との新型コロナウイルス対策の協議会を立ち上げることを求めていくことで一致した。そして、同日、幹事長・書記局長会談が開かれ、与党も野党の要求を受け入れ、「新型コロナウイルス対策政府・与野党連絡協議会」が設置され、19日に第1回会合を開いた。
   
米中貿易摩擦、日韓経済摩擦、消費税増税などが重なり、日本経済は急激に落ち込み、19年10〜12月期のGDP改定値が年率7.1%減に下方修正された。そこに新型コロナウイルス感染症の蔓延が追い打ちをかけ、人とモノの移動が大幅に制約されるなど実体経済は分断され大打撃を受けている。金融肥大化で辛うじて維持されてきた経済は、株価も大暴落し、アベノミクスの化けの皮が剥がれてきた。このままでは「コロナ恐慌」になりかねない。グローバルな格差社会で、どの国でも貧困な人びとが犠牲になっている。多くの労働者やフリーランスの国民生活、窮地に追い込まれている個人事業主や中小零細の企業活動を守るため、大胆な財政出動が必要である。安倍政権の姿勢をただすべきはただすが、国民の疑問や不安を政府側にぶつけるとともに、野党の主張や提案を政府の対策や補正予算などに反映させる場として連絡協議会を活用していきたい。
   
   

■ おわりに

東京オリンピック・パラリンピックや解散・総選挙の日程など、新型コロナウイルス感染症がどうなるか次第という面もあり、今後を見通すことは難しい。しかし、新型コロナへの対応を万全にするためにも、ウソとごまかしで「戦争できる国」、「世界で一番企業が活動しやすい国」を目指す安倍政権には、お引き取りを願わないといけないことは間違いない。安倍政権が記録を抜いた第三次桂内閣は、第一次護憲運動で退陣に至った。市民と野党の共闘で、つぎの衆院選で政権交代を実現し、安倍政権を今度こそ終わりにして、政治を私たちの手に取り戻そう。新自由主義・新保守主義への対抗軸である社会民主主義の理念や政策の実現をめざす議員を1人でも多く増やしていくため、主体の強化と前進をはかり、すべての活動を総選挙勝利に結びつけ、全力で奮闘していこう。
   

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