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●2018年11月号
■ 安倍暴走政治を打倒し野党勢力の前進を
     社民党党首・参議院議員 又市征治

   

■ はじめに

80%以上の支持で圧勝と言われた自民党総裁選でしたが、安倍首相は国会議員で20票近く落としたうえに、地方票は55対45という結果でした。これは、自民党の中にも地方に根強い安倍不信があることの証拠ですし、安倍首相が民意を踏みにじってきたことの反映だと思います。総裁選で三選した安倍氏は記者会見で「憲法改正は総裁選挙の最大の争点だった。選挙で結果が出た以上、一致結束して(改正に)進んでいく」と語りました。
   
9月30日、辺野古新基地建設を最大の争点とした沖縄県知事選挙で、建設反対を明確にした玉城デニー氏が大勝しましたが、翌日の会見で菅官房長官は「辺野古移設の方針に変わりはない」と言明しました。
   
そして、10月2日の党役員人事と内閣改造で、公文書改ざん・虚偽答弁、事務次官のセクハラ問題などの責任者である麻生財務大臣を続投させました。また、自民党憲法改正推進本部長に下村氏、総務会長に加藤氏と首相側近を据え、明確に改憲シフトを党内に敷きました。
   
これらは、安倍政権が政治権力を縛る憲法を蹂躙し、沖縄県民の民意を踏みにじり、そして野党や国民の批判を無視し続ける戦後最悪の強権内閣であることを示しています。
   
沖縄県知事選では、辺野古移設問題について、相手候補はまったく触れませんでした。一方で玉城さんは翁長さんの遺志をついで明確に訴えつづけた。これが一番の沖縄県民の声だと思います。国民民主党、立憲民主党も玉城氏を推したことも大きかったわけです。公明党も中央から強い働きかけがあったが、創価学会婦人部などが辺野古移設賛成の候補をやることに反発していた、といわれています。また、自民党は「経済振興」を掲げたが、沖縄では観光を中心として経済が上向いて、むしろ労働力不足が叫ばれ、かつてのようにアメは通用しなかったこともあるようです。
   
たしかに、最近の世論調査では内閣支持・不支持が40%前後で拮抗しています。それは、安倍政権が「一億総活躍社会」「働き方改革」などを掲げて“改革派”然として描かれ、逆に「改憲阻止」などを主張する野党が“保守派”のような印象操作が功を奏し、「一強多弱」状況が続く下で「野党にも期待できない」と、安倍内閣を消極的に支持する傾向が生まれていることなどもあると見られます。
   
こうした状況を克服し、立憲主義も民主主義も度外視して暴走する安倍政権を一日も早く打倒し、立憲主義に基づく政治をどう取り戻すかが、野党はじめ民主的諸勢力の今日的使命と言えます。そこで、安倍政権の現状を検証し、政策的対抗軸や闘いについて、共に考えたいと思います。
   
   

■ 1.通常国会から臨時国会に向けて

・民主主義破壊・腐敗を打破して国民生活の再建を
   
先の通常国会では、

  1. 森友学園への国有地の格安売却をめぐる文書の隠蔽・公文書改ざん・虚偽答弁、
  2. 首相の友人だけをパスさせた加計学園の獣医学部新設、
  3. 自衛隊のPKO活動の日報隠し(と文民統制の機能不全)、
  4. 「働き方」に関するデータねつ造問題

などが次々発覚し、紛糾しました。この本質は、行政府が国会を欺き続けて正常な審議を妨害する、民主主義の根幹を掘り崩す前代未聞の不祥事です。だから立憲野党は、真相究明と再発防止策、そして政治責任としての内閣総辞職を厳しく追及しました。
   
しかし安倍首相は、「膿を出し切る」と言いつつも関係者の国会招致を拒否し、退陣どころか政治家は誰一人責任を取らず、しかも国会を強引に32日間延長して国民の約7割が反対する「働かせ方」改悪法、カジノ実施法、党利党略の改悪公選法などを次々強行しました。
   
そのため、内閣支持率は30%台に低下し、また改憲論議は一切進まず、彼らの国会当初の目論見は崩れたのです。しかし安倍首相の頭には“反省”の二文字はありません。
   
   
・臨時国会の課題と社民党の政策
   
安倍首相の本音は、臨時国会はやりたくなかったようです。来年は参議院選挙もあるから、1月の通常国会をいつもよりも早く開いて、補正からやればいいと思っていたようです。自民党内には、それでは災害対策に後ろ向きだと見られて国民世論が厳しくなる。また安倍首相がいうように憲法改正案を今国会に出すというならば10月10日前後から開くべきだ、といった声があったのですが、官邸は10月下旬でいい、と。そこで10月24日開会で、4つの災害に対する補正予算を編成からとなったようです。そうすると国会日程は40日余りしかありません。しかも自分の外交日程は全部入れ込んだままです。森友・加計問題など新たな材料が出てきている中で、できるだけ自分は国会に出ないようにしたいと、国会論議に真摯に向き合わぬ逃げの姿勢が垣間見られます。
   
憲法改正案を今臨時国会に提出すると繰り返し述べていますが、立憲野党はもとより公明党も慎重で、容易なことではありません。自民党案を国会の憲法審査会に出して、説明だけでもさせてくれ、ということでしょう。もちろん、野党はそのために憲法審査会を開くこと自体に反対ですから、開くかどうかが自民党との攻防になります。
   
外交問題も行き詰っています。安倍政権は5年9カ月あまり拉致問題については何もしてこなかった。「アメリカと100%一致します」といって、「北朝鮮への圧力」を強弁してきた。中国、韓国、ロシア、アメリカに「北朝鮮に拉致問題を言ってください」とお願いしていただけです。1兆円を超えるといわれる有償・無償の賠償問題を手に、拉致問題を何らかの形で解決させて高支持率回復を図りたいと考えています。本来は、平和憲法にもとづき、2002年の「日朝平壌宣言」、2005年の「6カ国共同声明」にもとづいて北朝鮮と向き合っていくべきだ、とわが党は主張してきましたが、安倍政権は全くアベコベでした。
   
ロシアとの関係もそうです。この間23回協議してきて、先ごろプーチン大統領に「前提条件なしの平和条約」とちゃぶ台返しをやられて、抗議もしていない。ロシアにしてみれば、日米安保条約がある日本に北方領土を返してそこに米軍の基地を置かれたら、プーチン政権は吹っ飛んでしまう。「北東アジア総合安全保障機構」を創設する中でこれらの問題の解決も可能となるのです。
   
   
・アベノミクスは失敗――個人消費拡大策こそ
   
“デフレ脱却”を掲げた「アベノミクス」は、円安・輸出増と株価引き上げで大企業と富裕層に毎年高収益を保障しました。例えば17年度の企業の経常利益は前年度比11.4%増の83兆円余で、その内部留保は前年度比9.9%増の446兆円にも上ります。
   
その反面、

  1. この5年間で労働分配率は6.1%、実質賃金は4.1%低下し、
  2. 低賃金の非正規雇用が2000万人を超え(全労働者の4割弱)、
  3. 社会保障の改悪・負担増が相次ぎ、そのため
  4. 世帯の消費支出は低迷し、国民の7〜8割に「景気回復の実感がない」

など、格差と貧困を拡大しアベノミクスの失敗は明らかです。非正規労働者の平均年収は172万円です。これではまともな健康で文化的な生活などできません。貯金もできない。年金の平均支給額も月額5.5万円です。だから、社民党として基礎年金は8万円だ、と15年も前に打ち出しました。しかし安倍政権はこの方針を変えません。
   
そもそも長期のデフレは、政府・財界による労働者への激しい「合理化」――

  1. 賃金抑制(世帯の平均年収は1994年664万円から2016年560万円に104万円減)、
  2. 非正規雇用の増大、
  3. 長時間・過密労働など

――が大きな原因です。
   
だから社民党は、内需主導の景気回復にはGDPの6割を占める個人消費の拡大が不可欠であり、企業の積極的賃上げと、政治は

  1. 非正規雇用の正規化や格差是正、
  2. 時給1000円以上の最低賃金の早期実現、
  3. 社会保障の拡充・負担軽減、
  4. 教育の実質無償化

などの実施を主張してきたのです。
   
   
・消費税増税止め不公平税制の是正で社会保障拡充を
   
社会保障充実と称して1989年に3%消費税が導入され、5%、8%に、そして来年10月には10%への引上げが予定されています。しかし社会保障は改悪・負担増続き、看板に偽りありです。
   
なぜか。89年度と2016年度の税収を比較すると、いずれも税収総額は55兆円前後ですが、中身を見ると所得税3.8兆円と法人税8.7兆円合わせて12.5兆円のマイナスで、消費税が13.9兆円のプラスです。つまり消費税収は所得税と法人税の減収の穴埋めで、社会保障に回っていません。それは、法人税率が30年前の43.3%から現在23.5%に半減し、所得税の最高税率も5000万円以上の所得に60%課税から現在は45%に下げてきたからです。まさに大企業と富裕層優遇のためのやらずぶったくり施策といわねばなりません。
   
だから社民党は、応能負担の原則に立ち、

  1. 所得税の累進制や金融証券課税の強化(年約6兆円)や、中小企業を除く法人税率引き上げや租税特別措置の見直し(年約5兆円)で約10兆円の増収、
  2. 企業の内部留保(内現・預金260兆円)を外形標準課税対象として2%程度課税で約5兆円増収が可能で、また
  3. 増大する防衛費などの削減で歳出を抑制し、
  4. 消費と景気後退の消費税10%は中止し、財政再建と社会保障拡充を図るべき

と考えます。
   
   
・原発再稼働反対、早期の脱原発の目標年次を定めよ
   
安倍政権は、原発を成長戦略に位置づけて再稼働と原発輸出を進め、国民の安全・安心など眼中にありません。
   
一方、溜まり続けた1万9000トンもの危険な使用済み核燃料や廃棄物の最終処分場が未だ存在せず(現在の政治家が誰も生きていない)、約70年後の操業予定で、開いた口が塞がりません。そもそも地震列島日本でこれが無害化するまで10万年以上安全に貯蔵できる場所はありません。電力不足もないのに再稼働で核廃棄物を増やし続けることは、子々孫々へ危険をつけ回す無責任の極みで、この一事をもっても政権を打倒すべきです。
   
国策で始めた原発は国策でその脱却の目標年次(2020年代早期)を定め、再生可能エネルギー転換を図るべきです。その技術力は十分にあります。また廃炉に40年もかかるのですから心配されている雇用問題も生じません。
   
なお、再稼働の動きには、最低

  1. 半径30km圏内自治体との厳しい防災協定、
  2. 政府・自治体による実効性ある避難計画策定、
  3. 30km圏内自治体の住民投票による同意

――の三要件を求め、それがなければ再稼働に断固反対する運動が必要です。
   
   

■2.憲法に則った安保・防衛政策の推進

先の大戦の深刻な反省の上に、日本は憲法前文で「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないように決意」すると宣言し、その具体策として九条に「戦争の放棄、戦力の不保持、交戦権の否認」を明記しました。その後、万が一の備えとして「必要最小限の実力行使」を行う自衛隊が設置されましたが、歴代政権は海外で戦争する「集団的自衛権を行使することは、憲法上許されない」と「専守防衛」を確定しました。
   
ところが安倍政権は、この国是を無視し、15年9月、集団的自衛権の行使を一部容認して自衛隊が海外で武力行使できる戦争法を強行し、そして今、この違憲立法の合憲化を狙っています。つまり多くの国民が専守防衛に徹し、常日頃は災害救助などに携わる自衛隊を容認している現状に付け込んで、新たに海外で武力行使する任務を付与した自衛隊を憲法に明記して九条を有名無実化し、軍事大国化を進めようと企てているのです。
   
イージス・アショアは、昨年11月に、防衛大綱にも入っていないものを、トランプ大統領に求められたからと導入を決めました。6月の米朝首脳会談、朝鮮半島の非核化が課題となっている現情勢に逆行するものであり、「壮大なムダ」と言えます。山口で言えばグアム、秋田で言えばハワイへの核ミサイルを撃ち落とすことが狙いであり、日本のカネで米軍の基地を守るという、まさに集団的自衛権行使です。秋田で言えば設置予定地から300メートルくらいのところに学校がある。電磁波の影響で救急のヘリも飛ばせない、ペースメーカーにも悪影響があるといわれています。イージス・アショアも含めて防衛装備品の購入については、トランプ政権から要求されている対日貿易赤字解消の方策として進められている側面があります。決定時に示された価格が、導入時には高騰しているなど不明瞭な価格設定が行われている有償援助(FMS)での防衛装備品等の調達について検査するようわが党が提起し、参議院として会計検査院に求めました。
   
「九条改憲NO! 3000万人署名」は、改憲の国会発議を断念させる国民多数派を形成し、万一国民投票になればこれを否決する闘いであり、安倍退陣を迫る闘いです。何としても目標達成に頑張りましょう。
   
社民党は、2001年に「北東アジア総合安全保障機構」創設を内外に提唱しました。日米二国間の軍事同盟偏重から脱却し、日本、南・北朝鮮、中国、モンゴル、ロシア、カナダ、米国の多国間による安保機構を創設し、「域内の紛争は武力によらず対話で解決を図る」構想です。わが党の外交努力で、05年の「6カ国共同声明」に「北東アジアの永続的な平和と安定のための共同の努力」「北東アジア地域における安全保障面の協力を促進するための方策について探求していく」ことが盛られました。この具体化努力こそ日本の取るべき道です。例えば、

  1. 早期の朝鮮戦争終結宣言、
  2. 米朝不可侵(平和)条約の締結と国交正常化、
  3. 北朝鮮の核・ミサイル放棄と朝鮮半島の非核化の同時進行、
  4. 「日朝平壌宣言」に基づき拉致問題解決と国交正常化

などの外交を積極的主体的に推進すべきです。この中で北方領土返還問題も前進させることができるでしょう。しかし、安倍政権は全くアベコベで、対米従属の好戦的姿勢に終始しています。
   
そして、参議院選挙と一緒に改憲の国民投票の可能性があることを忘れてはなりません。
   
憲法は一〇条〜四〇条に国民の権利・義務を規定していますが、その実態はどうでしょうか。
   
憲法第二五条は「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を保障していますが、

  1. 2000万人を超える非正規雇用、その平均年収が172万円、税・社会保障費を引かれれば、自由に使える月収は7〜8万円の実態、
  2. 7〜8万円の生活保護費を下回る支給平均5.5万円の国民年金、
  3. 長時間労働規制と称して“残業代ゼロ”や年間720時間まで罰則なしの残業(1日11時間労働)容認

などは、「健康で文化的な生活」権を阻害しています。また男女間、正規・非正規間の賃金・待遇の格差も第一四条「法の下の平等」に反するなど、様々空文化があります。こうした実態を国民に周知する護憲・活憲運動を通して、「いま必要なのは九条改憲ではなく憲法条文の完全履行だ」という認識を広げねばなりません。
   
   

■ 3.野党の現状と共闘強化に向けて

・野党の立ち位置と共闘強化
   
民進党が行き詰まって事実上解党し、国民民主党と立憲民主党ができました。国民民主党(62議席)は、旧同盟・中立系労組(UAゼンセン、電力総連、自動車総連、電機連合、基幹労連など)が後ろ盾だけに旧民社党的性格で、「政権と是々非々の立場」をとり、支持率も低落し地方議員も半減し、動揺著しい状況といわれます。
   
一方の立憲民主党(82議席)は、国民民主党と一線を画し、政策的には市民連合などの主張(つまりは社民党的政策)に傾斜し、主に旧総評系労組(官公労、情報労連、郵政労組、運輸労連など)の支援を受けます。
   
そのため連合は股裂き状態となり、旧民進党グループによる「統一名簿方式」などの選挙協力を模索していますが、両党の溝が深くメドは立ちません。むしろ政策的には社民党、自由党と立憲民主党に共通項が多い現状です。
   
わが党と立憲民主党の主張の近似性から、内外に両党の合流論が依然ありますが、

  1. 立憲民主党は、当面「他党と合併する考え」にはなく、
  2. また、政党の合流には理念や基本政策の一致と共に運動論や信頼関係が大事

です。(憲法理念の実現という)理念では概ね一致しますが、基本政策では現状の自衛隊の認識、安保・防衛・沖縄問題、消費税などで民進党時代の政策を引きずり、国民運動を組織する考えがないなど、相違があります。
   
今日、野党に求められることは、合併・合流ではなく、安倍政権に対する政策的対抗軸(共通政策)を明確にして、「小異を残して大同に就く」共闘を強化し、国民の期待と信頼を高めることです。立憲民主党とは重要な共闘のパートナーとして緊密な連携を図っていく考えです。
   
   
・参院選に向けた共通政策
   
来年は統一自治体選と参院選です。地方議員の拡大なくして参院選の前進は期せません。積極的に候補者を擁立し、候補者は自らの政策と改憲NOなどを訴え、攻めの戦いを進めていくことが重要です。
   
参院選は、各党が「自公に絶対漁夫の利を与えない」ことを確認し、「共通政策」に合意の上、ギブ&テイクを基本に候補者調整(一本化・すみ分け)を行い、選挙区の実態に即した効果的かつ最大限の選挙協力を行うことを求め、32の1人区で野党の候補者一本化を図り、その中にわが党も候補者擁立を図ります。複数区では党公認候補の擁立が必要です。比例代表も4名くらいを擁立し得票率2%獲得、選挙区・比例区合わせて3議席以上獲得を目指します。
   
今度こそ参院選で改憲勢力を過半数割れ(少なくとも3分の2割れ)に追い込まねばなりません。5年前、野党は2勝29敗でしたが、2年前は11勝21敗まで前進し、十分勝機はあります。
   
野党の中には、自衛隊、日米安保条約をどうみるのか、消費増税をどうするのか、行革への対応などさまざまな異見が存在していますが、お互いに一致できる点を、野党の共通政策(政権への対抗軸)にし、安倍政権と対峙することを提案したいと考えています。その骨子は以下の通りです。

  1. 安倍政権打倒、立憲主義・民主主義を守る政治の実現を目指す。
  2. 憲法九条の改悪に反対し、戦争法を廃止し「専守防衛」に徹する。
  3. 内需主導経済への転換、非正規の正規化、格差是正、最低賃金の抜本改善等を図る。
  4. 「応能負担」の原則に則った税制改革と消費増税の中止で、社会保障の拡充を図る。
  5. 早期の脱原発・再稼働中止、再生可能なエネルギーへの転換を促進。
  6. 沖縄の新基地建設中止、日米地位協定改正、基地縮小に関し対米再交渉を進める。
  7. 2005年の「6カ国共同声明」を基本に北東アジアの安全保障確立策を進める

……など。
   
   

■ 4.おわりに

社民党は、社会党の時代から国民の生活と権利向上、平和と民主主義の実現を目指し、護憲を旗印に反戦・反基地、原水禁、脱原発・再稼働反対、反差別・人権擁護などの方針を掲げ、かつては総評、今日では平和センターや市民運動と共に闘い続け、1970〜80年代には国民生活の改善や社会保障・福祉の前進、終身雇用など「一億総中流社会」と称される状況と共に、憲法改悪を阻止に大きく貢献してきました。これはわが党の誇りです。
   
しかし、90年代以降、経済のグローバル化の下、国際的・国内的にも企業間競争が熾烈化し、“企業利益最優先”思想を労働者に植え付ける攻勢が強められ、労働運動も政治闘争も後退しました。同時に多くの労働組合が当時の民主党支援に移ったことも社民党が苦境に陥った要因でした。
   
しかし、格差と貧困の拡大や立憲主義・民主主義・平和主義を踏みにじる安倍暴走政治に対する怒りと闘いが全国に澎湃として起こってきました。脱原発・再稼働反対、沖縄はじめ反基地闘争、そして戦争法反対から「九条改憲NO! 3000万人署名」運動へなどです。社民党はそれを全国で根っこで支え闘っています。これをもっと強く大きくしなければなりません。
   
そのためにもいま労働組合の役割が重要です。
   
労働組合は経済闘争を中心に闘う組織ですが、僅かな賃上げを勝ち取っても増税や物価高、社会保険の負担増があれば無に帰します。経済・政治課題一体で取り組まねば組合の目的は果たせません。現に安倍政権は、法人税や所得税減税の一方で消費増税を行い、連年軍事費を増大して社会保障費を抑制し、実質賃金は低下しています。
   
賃上げや格差是正、長時間労働規制、非正規の正規化などの課題を職場から論議し、合わせて脱原発、憲法上の権利の空洞化や九条改憲・軍事大国化などの教宣活動を強めることが必要です。そして、政党と労組の交流、共に闘うことが必要です。
   
差し迫った九条改憲を阻止し、平和で豊かな未来を築くため、来春闘、統一自治体選挙と参院選挙での前進に向け、一歩二歩、足を前に出し、闘おうではありませんか!
   
(2018年10月18日記)    
   

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