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●2016年10月号
■ 参議院選挙総括から今後の政局と課題を考える
   社会民主党幹事長・参議院議員  又市征治

   

■ 参議院選挙の戦略的視点

まず、今度の選挙の意義をどう捉えたかですが、第一に、格差と貧困を拡大してきた「アベノミクス」にノーの国民の意思を突き付け、その転換を迫ることでした。2年経っても3年半経っても国民の7〜8割が「景気回復の実感がない」と答え、首相自身が「道半ば」と言わざるを得ない経済政策は失敗というよりも元々が誤った政策ですから、政策論争で国民生活の実態を突き付け、この転換を今度の選挙で安倍政権に迫ることが大きな課題でした。
   
第二に、安倍首相自身が「在任中の憲法改正」を唱えて、「改憲勢力で3分の2の議席を確保する」と表明をしてきたのですから、これを何としても阻止するという極めて重大かつ歴史的な政治決戦だったわけです。
   
したがって社民党としては、こうした政治決戦に当たり、これに反対する野党勢力は「今こそ小異を残して大同に就く」よう戦略的対応を強く求めました。具体的には、「一定の政策合意のもと、32の1人区で野党候補を一本化」して自公連合への対抗軸を形成し、国民の期待に応えて戦おうと強く主張してきました。従来の状況をみれば、共産党は全選挙区に候補者を立てる、民主党も最大限立てる、わが党も生活の党もそうだ。結果として自公を利して、「一強多弱」と揶揄される政治状況が生まれたわけです。政策が違うからやむを得ない面もありました。
   
また、昨年9月、共産党からは戦争法廃止と立憲主義回復のための「国民連合政府構想」が提唱されました。これは、民主党が共闘を拒否する理由を与えるばかりか、多くの国民は格差・貧困の解消、消費増税反対や脱原発なども強く求めている状況に対処することにならない、国民的重要課題に対する野党の共通政策を打ち出すべきだとして、「構想」の棚上げを強く求めました。
   
なかなか調整に手間取りましたが、まずは4月の北海道5区の衆議院補欠選挙で候補者の一本化にこぎつけることができました。そして、2月19日の五野党党首会談では、「立憲主義の回復、安保法制の廃止、安倍政権打倒、国政選挙での協力」という4項目の内容で合意に至りました。とりわけ「国政選挙での協力」を民主党と維新の党、そして共産党も合意し、自公 VS 野党連合という構図を作り出すことになったことは画期的なことでした。
   
参議院選挙については、私は3月20日頃までに「1人区の候補者一本化」と「共通政策」を実現して、それぞれの政党が力合わせをして統一候補と政策の支持を浸透させていくことを強調してきましたが、結果的には随分遅れてしまいました。具体的には、2月23日の幹事長・書記局長会談で私の方から、国民の多くが求めている六項目の内容、

  1. 安倍政権が蹂躙する立憲主義と民主主義の回復、
  2. 憲法違反の安全保障法制の廃止、
  3. アベノミクスで広がった格差と貧困の是正、
  4. 消費税10%への引き上げ反対、
  5. 早期の原発ゼロ、再生可能エネルギーへのシフト促進、
  6. 民意を蹂躙した辺野古新基地建設中止

の政策協定案を提案し、野党五党ですり合わせて共通政策にするよう求めてきました。3月下旬に民主党と維新の党が合流し民進党になりましたが、支持率は全然伸びませんでした。ですから私は、なおさら野党四党の政策合意を早く進めようと主張し汗もかいてきましたが、結果として6月上旬までかかりました。この遅れが、国民の中に野党共闘の政策を浸透させることが不十分になった一つの要因だと思います。
   
次に、社民党の基本方針ですが、「党にとっては存亡の危機」という認識の下、これまで1人区でも我が党も候補を立ててきましたが、32の1人区は候補を一本化することになったわけですから、「3人区の9選挙区、11ブロックの比例区候補を擁立」して、何としても「250万票以上、2議席以上」の当選を確保するとしました。
   

■ 選挙結果をどうとらえるのか

選挙の結果ですが、残念ながら改憲勢力に改選前よりも16議席増、165議席を与えてしまいました。3分の2は162ですから、それを3議席も上回る結果を許したという点で、野党側は全体としては敗北だと言わざるを得ないと思います。
   
また、わが党は、比例区では153.6万票を獲得し、前回から28万票、22%増と復調傾向を示しましたが、2議席獲得には至らず、吉田党首が苦杯をなめる厳しい結果となりました。
   
しかし、我々は敗北したけれども、その中で今後の展望であるとか、あるいは教訓にしなければならない課題は沢山ありますので、そこをしっかりと学んで次の闘いに活かしていきたいと考えています。    
その前に、負けた要因について考えてみたいと思います。
   
まずは、我々は「アベノミクスは失敗」と言ったのですが、その中身の政策、ではどうするのか、については浸透させられなかったと言えます。政権側はアベノミクスの一部の「成果」を強調しました。例えば、「雇用が増えた」とか、これは団塊世代が大量に退職したため、それとの関連で雇用が増えたのですが、しかしそれも圧倒的には非正規雇用です。また「3年連続で賃金が増えた」と言うのですが、実質賃金は低下の一途をたどっているのが現実です。
   
しかし、問題はその格差や貧困の拡大を選挙の争点として戦う前に、安倍首相が「在任中の憲法改正」を行うために「3分の2を確保する」と述べてきたことに対して、「安倍政権の憲法改悪反対、3分の2を阻止する」と各党代表が集中して主張することになり、安倍首相が憲法問題を封印し、「アベノミクスのエンジンを全開にふかして景気対策に繋げる」と主張することとかみあわずに選挙戦が進んだのが実情だったと言えます。みごとに安倍政権の「改憲を封印した争点隠し、ずらし」の術中にはまったわけです。
   
経済政策アベノミクスの破たんに対して、野党の政策としては最低賃金を含む大幅な賃金引き上げ、非正規雇用の正規化、社会保障の拡充などで国民の実質可処分所得を拡大し、消費を増やす政策に転換すること、消費増税ではなく現在の不公平税制の是正をすることで財源を確保することなどの政策を真正面から対置した論戦が求められていたと思いますが、短時間の野党競演では不十分でした。
   
もう一点は、候補者一本化はできたが、実態としては社民党と共産党が中心、あるいは連合が推薦をしないなどの弱さが露呈し、野党共闘の実を上げることができず、結果としては与党候補に大きく負けたところも出ました。
   
しかし、全体としては敗北しましたが、今後の教訓・展望という点で言えば、自民党が勝利したように言われていますが、自民党の比例区の得票率はたかだか36%、絶対得票率では有権者の18%ぐらいに過ぎないわけです。これはとても「勝利」と言える中身ではないと思います。また32の1人区でも野党側は候補者一本化したことによって11勝21敗で、前回は2勝29敗でしたから、これは大きく前進したことは疑う余地はありません。さらに11勝だけにとどまらず、それ以外に7選挙区で得票率40%以上と、自公候補を随分と追い上げているわけです。愛媛などは1000票差まで迫っています。
   
それから選挙結果を比例票のトータルで見ると、野党四党の比例票は前回より588万票伸ばしています。これに対して自公は166万票の増でしかありません。無論、今回は投票率が2%余り上がりましたが、その中でも前述した結果となっているのです。以上述べた点からしても、野党共闘の成果というのは明白だと言えます。
   

■ 野党共闘善戦の要因は何か

では、野党が善戦した要因は何だったかということです。その第一は、やはり経済政策アベノミクスによる格差・貧困がより多くの国民、勤労諸階層に拡大をしていること、そして、将来の生活、社会保障への不安が大きく広がっている点です。その上に安保法制・戦争法が強行採決をされ、政治反動が進んだこと。加えてTPPによって農業が地域社会がつぶされていくのではないかと、農業団体などは非常にそのことに対して不安を高めているということなどがあったと思います。
   
そういう意味では、客観的情勢という意味で勤労国民の側にとっては、実際の政治は自分達にとっては良いことは何一つなかった。しかし、野党が分裂して戦っていて、「期待のしようがない」「選挙の結果が見えている」というある種の諦め、政治不信、無関心があったことは間違いありません。そして、それがこれまでの選挙では安倍政権が「他の政権よりまし」との「期待感」となり、安倍反動政権の維持を許してきたと思います。
   
しかし、今度の場合は自公 VS 野党連合の構図が明確になって、有権者に安倍政権批判の一票が勝敗を左右する、自分の一票が政治を変えるかもしれない、こういう期待感を与えたことが大きかったと思います。そういう期待感や現実感を本当にしっかりと票に結び付ける、野党側あるいは労働組合や市民連合などの力合わせができたところが、やはり勝利していると思います。
   
この安倍政治の矛盾の深まりという点でいうと、典型的なのは東北6県プラス甲信越3県、9選挙区で8勝1敗という結果です。これまでの地方の疲弊、格差・貧困の深まりにプラスしてTPPの問題で農業や地域がどうなっていくか、という不安、怒りが蔓延していたと報告されています。こうした客観的な矛盾の深まりと、野党共闘という主体側の奮闘・働きかけが結びついての勝利と言えます。ですから、自民党側も内心は背筋を寒くしている状況があったと思います。
   
こうした教訓を、今度は衆議院選挙に活かすために、やはり早い段階から安倍政権に対しての対抗軸、共通政策を明確にして野党が結集し、保守層も含めて「安倍政権への包囲網」を築くなどの取り組みが求められています。TPPにみられたように、そうした政治的、政策的な戦う条件は安倍政治がつくりだしています。
   
と同時に、これは全国が学ぶべき点ですが、典型的な事例として沖縄では衆議院も参議院も、選挙区では自民党を全部駆逐してしまったのですが、今回の参議院選で自民の沖縄の最後の1議席を、大差をもって野党側が奪い勝利をしたわけです。これはやはり基地のもたらす弊害に対して住民と一緒になって日常的に粘り強く闘い続けてきた。そのことを通して県民・住民の信頼を勝ち取ってきたからだといえます。
   
沖縄県議会では、社民党会派が公認6名と推薦候補6名で最大会派、いわゆる与党第一党となっています。さらに、いま社民党県議(前県連合代表)が議長をされているのです。このことは、特殊沖縄の問題ではなくて、全国的にも原発問題、TPP、復興問題、基地問題などの課題があります。問題はそれをどうやって県民・住民にしっかりと訴えて一緒に闘っているかが問われていると思いますし、その教訓を沖縄から学ぶことが必要だと思います。
   

■ 統一名簿問題を巡る経過

次に、お話ししておきたいのは、統一名簿問題です。
   
去年秋に私たちは民主党に対して、32の1人区での候補者の一本化を追求しようと働きかけました。そして、1人区を一本化していくならば、それに連動して比例代表でもやはり野党共闘を追求すべきだと申し上げてきました。それが統一名簿方式です。政党そのものはそれぞれ固有の政策を持っているわけですが、参議院選挙に限って一定の政策合意に基づいて比例代表についても野党共闘を進めるというものでした。当時、共産党はそれに乗らないとはっきりしていましたから、民主党、維新の党、社民党、生活の党が、「今こそ野党共闘を」と市民連合などから強く求められていましたので、その期待に応えようじゃないかと内々提起をしていきました。
   
が、実現性がまだ薄く、また社民党が最初に公式的に主張することへの他党への影響も考慮して、2月の党大会では具体的な方針として提起できる状況にはありませんでした。しかし32の1人区での一本化と言っている以上、これは追求すべきだということでやってきました。これが4月の上旬頃でした。小林節さんも言い始め、それを亀井静香さんが持ち出して混乱のもとになり、結局、一旦は断念となりました。
   
しかし、5月に入り、民進党内部からも、また候補者を擁立する労働組合の一部からも「統一名簿方式でやるべきだ」という声が寄せられ、現実性も出てきたので、わが党としては生活の党と相談しながら、民進党に水面下で粘り強く働きかけをしたのです。
   
できる姿とすれば、「民進・社民・生活・市民連合」という長ったらしい名前になり、「民進党」と書いても、「社民党」と書いても、あるいは「吉田忠智」や「福島みずほ」でも有効ということです。名称が長ったらしいということならば、別の名前、例えば「民主連合でもいい」と5月下旬には提起しました。その中に社民党も生活の党も民進党もみんな入っていることを早く宣伝しないといけないから、時間との競争だったわけです。6月22日公示予定でしたから。そして、ついに連合も「社民党案でもいい」と、やはり統一名簿で比例も戦うべきだとなりました。それは各党が取る票以上に相乗効果をもって得票は伸びるという分析からでした。しかし、民進党に変わって時間があまりないから民進党という名前を消すわけにはいかない、「民進党・市民連合」がギリギリ譲れる線だと5月末まで折り合えず、結局は時間切れとなったのです。これが事実です。
   
これは、比例区選挙を野党共闘による統一名簿で戦って議席拡大を図る問題であって、それを勘違いして「社民党が民進党に合流するものだ」という受け止めがありましたが、それは全くの誤りです。公然と論議できなかった事情も理解してほしいと思います。
   
その関連で、党首が5月12日に「民進党との合流も一つの選択肢」と言ったことで大問題になりました。党首は前述した統一名簿問題の民進党との混乱が整理されないまま、そういう発言をしたのです。つまり民進党の岡田代表から「民進党・市民連合の中に社民党も生活の党も一緒に合流できませんか」と、統一名簿の話として提案されたのですが、それを混同し短絡的に党首は「民進党との合流も一つの選択肢」という話をしたわけです。
   
これまで吉田党首は、社民・リベラル勢力の結集とか、あるいは護憲・リベラル勢力の結集とかについて発言はされてきていますが、社民党の解体、民進党への合流などについて一度も発言したことはありません。しかし、混同したとはいえ党首が言ったことですから、当然影響は大きく、県連合からも抗議文が寄せられました。直ちに、その日のうちに全くそれは誤解で、違うという声明も出して、翌週の常任幹事会で「民進党との合流はあり得ない」と明確にしたわけです。
   
この混乱は、別の意味で社民党の存在意義について考える機会になりました。
   
わが党は明確に今の安倍政権がやっている、競争最優先の市場万能主義に立つ経済政策・アベノミクス、さらに戦争ができる国をめざす新保守主義政治の強行に対して、これと真正面から対決することを明確に方針化しています。
   
その具体の中身は、つまり格差や貧困が拡大していること、これを何としても是正しなければいけない。消費税を上げるべきではなく、むしろ不公平税制の是正を行うこと。社会保障や福祉の拡充、反TPP、さらには反戦、反基地、脱原発など、そういう国民の中にある願いや要求をくみ上げで闘うことを課題・使命としています。まさに社会民主主義的政策の実現を掲げて闘う社民党が解党して、民進党に合流するなんていうことはあり得ません。これは『社民党宣言』で明確です。先ほど述べたような課題を民進党が国民運動として闘う現状にはないのですから、その意味で「民進党との合流はあり得ない」と全国常任幹事会でも全会一致で再確認したわけです。
   
もしわが党が解党に追い込まれていくことになれば、前述した課題を闘っている平和運動センター、脱原発運動、原水禁、さらに護憲運動を闘っておられる皆さんの運動が一気に弱体化し、憲法改悪と政治反動が一挙に進んでいくことになります。こうした運動の弱体化はなんとしても許してはなりませんし、そうした闘いの中心に社民党が位置すべき情勢にあること、もっと言えば、社民党は先に挙げた諸課題の実現を求める国民諸階層の闘いの砦なのだという自負心を党員の皆さんには持って頑張ってほしいし、支持者や、党を支持いただいている労組のみなさんにも理解いただきたいと考えています。
   

■ 野党共闘の発展にむけた課題

今回の野党共闘の評価については、単に各県選対レベルだけで考えるのではなく、先ほども申し上げましたが、東北、甲信越、沖縄など、さらに善戦したところの成果もきちっと学びつつ、それを次の戦いに活かすことが求められています。
   
32の1人区をすべて野党共闘で戦うのは初めての経験でしたが、参議院選挙は期日がわかっていますから、5月いっぱいまでに衆議院の小選挙区単位で政談演説会を何としても開催し、社民党の政策を訴えよう、との方針を提起しましたが、残念ながら不十分であったことは否めません。野党共闘で戦うということは、本格的な選挙戦になると統一候補を中心に訴えるわけですから、直接的には社民党の政策を訴え支持を求めることには当然なりません。ですから前段の党独自の活動、取り組みが重要になるわけです。その意味でも戦争法廃止の2000万人署名運動と結合して全力をあげて支持を広げようと取り組んできました。
   
もちろん県連合として市町村単位の得票目標を決め、それを総支部・支部連合段階におろして、全党員を結集する努力を行いながら、自治体選挙並みのオルグ、支持の確認、獲得行動が取り組まれたところもあります。
   
また、自治体議員活動の延長として、中央の政策とセットで身近な政策をつくり、それをビラにして訴えていくなどの活動の報告もなされています。今後はこのように自治体議員活動と連動した身近な政策をつくり支持者、住民に訴えて支持を広げていく取り組みをぜひとも全国的に広げていくことが求められていると思います。
   
今後の野党共闘の課題については、早期に衆議院選挙が行われる情勢ですので、9月9日の全国代でも提起しましたが、10月上旬までにどの小選挙区で公認候補を立てるのかを内定し、野党の中で棲み分けをするように提起しました。具体的には、1区は社民党の候補者、2区は民進党の候補者、3区は共産党の候補者とか、そういう棲み分けをやり、選挙区内の野党も自分の支持者にそこで立った統一候補に投票することを呼びかけていく、そうした取り組みをしっかりやろうと提起をしました。
   
肝心な政策については、参議院選挙と大きく変わるわけではないですから、若干補強するものはあるとしても、それを踏襲します。また2月の党大会や先の全国代でも出ましたが、今必要なことは憲法改正ではなくて、むしろ憲法がどう生活や職場に活かされているのか、憲法を活かす運動を大々的に展開しようよということです。ですからこの現憲法が生活に活かされているのか、という観点からのチェックリストみたいなものを作り、それを使っての点検を含めて行い、改革の課題、政策づくりに反映をさせる取り組みです。
   
さらには、自民党の改憲草案への批判パンフの発行と、それを使っての大衆的な学習会などの組織化も含めて、政策づくりと運動、組織づくりをセットでの取り組みなどを急ぐことを提起し、意思統一をしました。
   
衆院選は政権選択を問う闘いであり、自公側は「野合」批判をさらに強めてきます。これに対する備えも必要です。例えば民進党には、改憲、消費増税、TPP、辺野古新基地建設、原発再稼働の賛否などで他の党との摺り合わせが求められます。社民党は改憲でなく護憲・活憲、反消費増税・不公平税制是正、反TPP、米軍基地の国外移設、脱原発・再稼働反対です。一方、共産党には天皇制と憲法の関係の整理、「国民連合政府構想」の棚上げだけでなく、場合によれば「閣外協力」も視野に入れた柔軟さも必要ではないかと思います。
   

■ 今後の政局の動向と戦いの課題

過日の党全国代表者会議では、今のところ、「来年1月通常国会冒頭解散、2月総選挙の可能性が高い」という情勢報告をしました。実は、安倍首相は国会を9月13日から開きたい、自民党は民進党の代表選挙や公明党の大会もあるから9月26日に、と官邸との年内解散を巡って綱引きがあったのですが、結局は自民党側はあまりにもそれは無茶だということになり、9月26日から11月いっぱいまでの臨時国会ということになりました。さらに、日露首脳会談が12月15日になりましたので、これでもう年内解散はあり得なくなったということだと思います。日露首脳会談、これはちょっとくせ者で、場合によると「2島返還の可能性」などと、見込みで宣伝し、外交上の最大の成果みたいなことを宣伝する可能性もあると思います。この間のサミットを日本でやって、まるで自分が討議をリードしたみたいなことを言いましたが、実はあれは恥をかいたのですが、そういうことも起こり得るかもしれません。
   
また、「アベノミクスは道半ば」と言ってきましたが、なかなか成果が上がらない中で、だから事業規模28兆円規模の「未来への投資」というものを出して、補正予算を今度の臨時国会にも出す。さらに続けて来年度予算をまた100兆円超規模のものを打ち出す。これは、この間のばらまきと同じで、経済問題で国民の「期待」をつないで選挙をやってしまおう、という思いがあるとみています。
   
つまり来年春以降はもう選挙をやれる状況にないわけです。何故なら、夏には都議会議員選挙がある。そして来年の5月頃には今年通った公選法、0増10減の中で6県の小選挙区で区割りを変えなければいけません。これは来年の5月頃に法案が通ることになると思いますが、その周知期間と、そこの選挙区に出ている議員などにしてみれば後援会までやり替えないといけないわけです。そう考えると来年中の選挙はほとんど無理だろう。それ以降でやっても、経済が本当にどうなるかという点については、政権側は全く自信が持てない現状だと思います。
   
これまで莫大な政府資金を投入してきましたが、GDPはご案内のとおり年率で0.2%程度と、一向に上向かない現状で推移しています。その結果は当然のこととして個人消費は伸び悩んでいるわけですから、そこを刺激するために先ほど述べた借金をしてまで膨大な資金を投入し、ばらまきで国民の支持を繋ごうとする戦略だと思います。
   
したがって、来年2月の総選挙をにらんでブロック比例の候補者を決め、さらに小選挙区の候補者も含めて選考を進め、他の党との棲み分けの協議も行わなければなりません。むろん、それについては中央でも行いますので連携を強めて進めなければなりません。
   
具体的には、5議席以上の確保を目標にしました。単にこれはスローガン的に5議席と言っているのではなくて、取れる可能性があるということです。前回の衆議院選挙の比例代表で最下位当選者の得票と、わが党が今度の参議院選挙の比例区取った票の引き算をすると、東北は4万4000票足りませんが、逆に6県であと4万4000票を上乗せすれば1議席を取れる可能性は十分にあります。まして棲み分けをやるわけですから、東北が1議席取れる可能性があると思います。
   
それから、九州では沖縄2区と大分2区を何としても取ることに力を入れて取り組んでいます。私は、比例でも九州では2議席を取りましょうと提案しました。2議席までに17万票足りないのですが、これも8県で候補者を擁立して達成する目標です。福岡は複数の擁立、他の県もすべて候補者を擁立する、そして棲み分けという方針ですから、全力を挙げれば目標達成も可能ではと思います。
   
その他の県でも棲み分けによって勝ち上がってくるところもあり得ると思います。最初から諦めるのではなく、まず小選挙区に候補者を立てるという構えと準備があってこそ、棲み分けの協議・調整も進み、勝ち上がる可能性も生まれてくるということだと思います。何としても5議席、最低でも3議席以上は勝ち取りたいと考えています。
   
最後に、運動の方向性という意味で、先ほども述べましたが、「活憲」運動を提起しています。単に憲法の条文を守るだけではなく生活、労働、社会保障などの現実、実態がどうなっているのか、現憲法が活かされているのか、現憲法に保障されている中身が実現しているのかどうか、という観点で総点検運動を取り組むことだと思います。
   
社会民主主義の党としてどの党よりも「格差、貧困の是正」を取り上げてきた社民党として、憲法で「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」が謳われているけれども、じゃあ非正規労働者の状態はその権利を保障されているのか、生活保護世帯は本当に「健康で文化的な最低限度の生活」を保障されているのかなど、あらためて憲法条文にそって現実の生活や職場の状態を徹底的に点検して、そこから具体的な改善の政策・要求を作っていくこと、こうした取り組みが弱くなっていると痛感しています。ですから、この「活憲」運動を社民党としての全国的な統一闘争、運動として展開し、そこから具体的な総選挙政策に結実させていく取り組みが喫緊の課題ではないかと思っています。
   
それは、支持労組の皆さん、さらには住民の皆さんとの共同闘争と言ってもいいと思います。それぞれの職場で労働基準法が守られているのか、自分の隣で同じ仕事をしている非正規労働者の賃金や権利の格差は看過してよいのか、地域での社会保障や福祉への不満・要望調査、原発再稼働反対や反基地の要求署名運動、改めて戦争法廃止やTPP批准反対署名運動などとも結合した何らかの運動を党の支部で取り組むことが求められる情勢でしょう。
   
こうした取り組みを全国から積み上げ、社民党への支持をもう一回り大きくしていくことで、展望を見出していきましょう。
   
   
(本稿は、9月12日 社民党幹事長 又市征治氏にお話を伺い、編集部の責任でまとめたものです)

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