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●2015年2月号
■ 新春座談会
  2015年の経済・政治・労働情勢と闘い

   

■ 出席者
又市 征治(社民党幹事長)
伊藤 修(埼玉大学教授)
小笠原 福司(労働運動研究部会)
[司会] 善明 建一(社会主義協会事務局長)
   
   

善明 今日は「2015年の情勢と闘いの課題」について、経済・政治・労働それぞれについて、もう少し議論を深めたいと考えて座談会を企画しました。
   
経済では「アベノミクス」の現状と課題について、政治では、安倍自民党政権への対抗軸、その中で社民党の経済政策はどうあるべきか。さらに「改憲阻止」の闘い、統一自治体選挙闘争にどう臨んでいくかということについて、労働では2015春闘と労働法制の改悪など、議論していただいた上で、2015年の展望についてそれぞれ提起していただければと考えています。
   
まず経済情勢について、伊藤さんからお願いいたします。
   
   

■ 「アベノミクス」の対抗策は賃金の引き上げ

伊藤 昨年四月に消費税の税率アップをして予想外に景気の腰が折れてしまったと言われていますが、それだけではないと思います。
   
一番大きいのは実質賃金が大幅に切り下がったことです。消費者物価は、昨年4月以降、前年同月比で3%台の上昇になった。このうち消費税の上乗せ分が2%(3%の税率アップだが、競争力の強くないところは3%まるまる転嫁できない)。消費税分2%、その他1.数%で3%台の消費者物価の上昇があった。それに対して給与総額を見ると、去年の春闘でそれまでのマイナスから、たしかに7月は一時金で2.4%上昇しましたが、年間で見ると0.6〜0.7%増というのが全体の結果です。経営側が賃金を増やしたと言っても、月例賃金で上がってこないと、萎縮している消費の回復にはならない。その結果、消費支出で見ると4月以降は3%、4%、5%という大幅なマイナスになっています。2%を越える大幅な実質賃金の切り下げになったことが、消費の低迷をもたらしたのは明白です。
   
したがって今年の15年春闘は本当に大事になります。去年の切り下がった分を取り返すだけでもベースアップで3%欲しい。連合は2%ということらしいですが、控え目な最低限であって、それ以上が欲しい。しかも一時金ではなくてベースアップで欲しい。消費税率引き上げは国がやったことで、その分まで我が社に要求できないという声も聞きますが、それは全くの誤解です。物価が上がって賃金が変わらなければ実質賃金は切り下がる。損も得もないという状態を維持するには、物価上昇分は賃金が上がらなければいけない。企業の側でも消費税の上乗せ分は、入ってくる金の増加にもなっているのだから、それを要求するのは当然です。
   
企業は利益を上げて抱え込んでいて使わない。下請けにも払わないし、賃金としても払っていない。産業の側は二極分化しています。海外市場でも競争力・ブランド力を持っている自動車を筆頭にした一部輸出型産業は、これまでの円安局面とは違う行動をしている。これまでは円安になったらその分値下げして販路を拡大するという行動をとってきましたが、今回は値下げしていない。値下げしなくても売れる力を持っているところが主な好調部門になっています。するとどういうことが起きるか。国際価格は横ばいで1ドル80円から120円になったので、1億ドル輸出したら80億円の円手取りだったのが120億円の円手取り、5割増になる。それがそういった部門は史上最高益になっている。一方、円安は内需型の中小企業には逆にマイナスに働いて、輸入原材料費の値上がりが圧迫して苦しいという二極分化になっている。
   
さらに最近の動きで大きいのは原油の値下がりです。世界価格は去年の7月の段階で1バレル100ドルだったのが今は50ドルを切って半値以下になっている。これは非常に大きくて、本来なら原発の影響で火力発電に大幅にシフトしている日本の電力料金は猛烈に下がっていい。
   
最後に考え方の問題ですが、一部の企業に利益がたまり、抱え込んで動かない。それはすべて悪循環になります。お金が回らない。一方、負担したくないと小さな政府を指向してきたから、必要な手だて、社会保障のミニマムの整備に手がつかない。これが将来不安を生み、また金回りを悪くするという悪循環にはまっている。
   
新自由主義思想に毒されて、何でも競争、節約、削減、小さな政府論で政府は何も手を出すなと言っていましたが、リーマンショック以後、政府は大介入している。金融救済、その後は景気刺激のための財政出動をやり、財政を悪化させている。事実をもって新自由主義、市場万能主義は破綻している。
   
思想の上で一番大事だと思うのは、内閣は賃金を上げてくれるようにと政労使会議で財界に要請していますが、竹中平蔵さんら競争力会議雇用人材分科会は違うことを言っている。賃上げなんかしなくていい、最賃なんか上げなくていい、本当は最賃制度など廃止したほうがいいとさえ言っている。これが「ホワイトカラー・エグゼンプション(残業代なし)」とか「解雇の容易化」につながっている。
   
結局何を言っているかというと、残業代なし、解雇の容易化、最賃にしても、人件費コストを下げれば雇用はふえる、求人・労働需要は増える、という主張です。しかし、ここは強調しなければいけませんが、ミクロ(個別)では成り立つこともマクロ(全体)になると成り立たず、共倒れ、逆の結果になるという経済の仕組みを今一番考えなければいけない。
   
確かに1つの会社だけ考えると、賃金が半分になれば、雇用は2倍にまではいかないが、ふやすことはできるでしょう。しかし社会全体としては、1社が賃下げすれば競争上みんな賃下げする。賃金は労働力の価格であるけれども、家計の所得の源でもあるから、全体としての家計所得が減り、購買力の支出が縮んで、結局すべての企業の売上を縮めることになり、雇用もふやせない。だからミクロでは成り立つことを社会全体合計すると成り立たない。逆の向きに行って共倒れするという仕組みは、われわれもすっきりと頭の中を整理することが必要です。
   
   

■ 一致する政策課題で野党共闘を求める

善明 伊藤さんから「アベノミクス」の経済政策の対抗策が明確に提起されました。家計賃金を引き上げさせることが我々の対抗政策であるということです。そういう意味では、竹中氏は正規労働者を全部非正規にしろと言い出している。賃金を下げれば雇用はふえるというのは、ケインズはこれを正面から反論しました。そういう意味では社民党の政策ともかかわりますが、理屈も含めて今のお話は非常に説得力があるのではないでしょうか。次に又市さんから今の政治状況をお願いいたします。
   
又市 まず第一に、先の総選挙では「アベノミクス」批判、つまり格差是正を1つ目に訴えました。企業が内部留保をどんどん増やす一方、消費者物価が18カ月連続で上がって実質賃金は17カ月連続でマイナスという現象がまさに「アベノミクス」の失敗を表わしている。1997年をピークに賃金引き下げと非正規労働者の拡大で企業は利益を上げてきたが、そのため消費が低迷し内需が振わない、内需企業が育たないという格好でデフレ・不況が続いてきた。その上に消費税を3%増税したのだからGDPが落ち込むのは当たり前だ。その反動を見込んで公共事業を5兆円も組んだがダメだった。だから私たちは、賃上げや非正規の正規化、時給1000円以上の最賃などとともに消費税を減税して5%に戻すことで可処分所得を増やし、消費拡大で内需振興を図ることを前面に出したのです。
   

(図表1・クリックで拡大します)
   
2つ目は、戦争ができる国に向かう集団的自衛権の行使は認めず、平和憲法をしっかり守っていく。3つ目は、原発再稼働は認めず、再生可能エネルギーを促進する。4つ目は、TPP参加は農林水産業や地域社会を壊し「地方創生」に逆行するもので断固反対する。
   
以上の4本柱を中心に訴えました。これらは当を得たものと確信しますが、突然の総選挙では小選挙区に18名、比例単独に7名しか候補者を擁立できなかったことから、得票率は若干伸びたものの、現有2議席にとどまりました。
   
政策との関連で、いま伊藤さんのお話にあったように、労働組合は、現在の生活実感からして最低3%以上の賃上げを要求して闘ってほしいですね。経済要求であれ政策要求であれ、自分たちの生活や労働条件改善のために闘うことが使命ですから。そうした積極性が今日求められます。
   
第2に、26日から始まる第189通常国会の課題です。来年度予算は大企業や富裕層優遇、庶民冷遇が明白です。先ほどの伊藤先生の話の関連で言えば、依然、トリクルダウン理論をとって、法人税率を2年間で3.29%引き下げ、最終的には現行の34%台を20%台に下げると言っている。1%で約4800億円でしょう。一方では経済状況にかかわらず2年後には消費税は10%に上げると言う。こうした格差拡大施策をはじめ、原発再稼働やTPP問題、防衛費の増大や沖縄の辺野古新基地建設、そして安保法制問題と課題山積みです。徹底して対決していく決意です。
   
第3に、これとの関連で野党共闘の強化です。
   
突然の総選挙という奇襲攻撃で与党は326議席、全議席に68%を占有しましたが、自民党の得票率は33%に過ぎません。安倍政権が国民の信を得たとは言えない。それどころか「アベノミクス」、消費増税、原発再稼働、集団的自衛権行使など安倍政権の主要政策に国民の多数が反対あるいは疑問を呈しています。政権の政策と国民の要求・願いとは大きくねじれています。だから野党は、こうした民意に基づいて政府を厳しく追及していく使命がある。
   
この度、民主党では岡田克也さんが代表になった。その主張を聞くと、格差是正、憲法観や歴史認識、原発問題などで安倍内閣と対決していくとしているから、大筋ではわが党と一致点が多い。ただ個別的には懸念があります。例えば格差是正を主張しながら消費増税に最後まで固執したり、原発再稼働は反対なのか否か、集団的自衛権行使反対で党内が一致するのかなどです。是非、岡田代表の主張を明確にして民主党をまとめ、政策で一致する野党を可能な限り結集し共闘を強化することを求めていきたい。
   
第4に、統一自治体選挙で何としても前進を果たしたい。
   
市場経済至上主義による住民福祉の低下を食い止めるためにも、来年の参議院選挙での前進の基礎を築く上でも、頑張らなければなりません。
   
善明 ありがとうございました。選挙総括の柱と、これからの方向が提起されました。後で議論してほしいと思いますが、要は、労働者と結びつけて「アベノミクス」に対する批判を国民に訴えていくこと。わかりやすかったのは、「アベノミクス=トリクルダウン理論」は間違いだということが強調されたことです。
   
もう1つ言われたのは野党共闘、とりわけ自公政権に対する野党共闘ですが、きのうの民主党代表選挙で岡田代表の決意表明も聞いていましたが、民主党は「中道・リベラル」にかじを切ったということであれば、社民党は民主党待ちではなく、また、取れるか、とれないではなく積極的に攻勢に出ることが必要だと思います。民主党にも働きかけて社民党は徹底的に運動を起こす中から社民党の展望も見えてくるのではないかと思います。一気に野党再編というのは現実性はありませんから、社民党は総選挙で現状維持をしたということを前向きに受け止めて、統一地方選挙に向けて具体的に運動を強化していくことだと思います。
   
   

■ 働き方の改善要求と2015春闘の結合を

善明 労働運動の現状と課題を小笠原さんからお願いいたします。
   
小笠原 春闘の関連で言いますと、ベア2%以上をめぐって、UAゼンセンとかJAMからは、2%というのはいかがなものか。最低でも3%以上を掲げるべきだという意見が出されていました。全体がまとまって統一要求で闘うためには、「2%以上」というまとめを行ったと言われています。外需中心の民間大手産別などから消費税分は制度政策要求でという話があったようです。しかし、89年、97年の春闘でも、消費税分を要求しているという事実があるんです。そして、何よりも賃金は生活費(労働力の再生産費)という観点に立てば、前年度物価上昇分は実質生活維持からしても最低の要求額といえます。だから、民間大手産別が言うのは、理屈としても、今までの経過からしても成り立たないと思います。ただ、実際には2%以上ということで進んでいますから、UAゼンセン、JAM、それからフード連合などは3%以上要求を討論していて、大手との格差をさらに広げないという取り組みになっています。
   
それともう1つは、中小共闘の関連でもさっき意見も出ていましたけれども、中小企業は円安、原材料高騰で厳しい現状というのは間違いなくあるわけですね。だから、地方の中小・地場組合、ここのベースアップ要求づくりをいかに支えるか。そして、民間大手やいわゆる公務員組合が中小共闘と連帯して闘うのか。特に、地方連合、地域の運動が今年の大きな春闘のポイントになると思います。
   
同時に連合古賀伸明会長は2016年も17年もベースアップをしないとだめだと、むろん同床異夢ですが言っているわけですから、今年は中小・地場組合のベースアップをどう勝ち取り、社会的波及力を広げることにどう集中して連帯できるかが、ポイントになってくるだろうと思います。
   
2つ目は、長時間労働の問題です。これも賃上げと制度政策要求と並んで、長時間労働の撲滅というのを掲げたということが、大きな特徴だろうと思います。安倍政権の進める労働法制の改悪に対峙する労働側のタイムリーな対抗軸としての闘いになるだろうと思いますので、この長時間労働をいかになくしていくのか。サービス残業・ただ働きですね。こういうことを是正するような職場からの春闘要求と、今かけられてきている労働法制改悪を一体のものとして闘うことが必要です。ナショナルセンターの連合、全労連、全労協の労働分野における戦線統一で闘いを強化することも必要です。
   
年休取得の平均が2012年の統計で8.5日といわれています。先進国の3分の1です。年休をしっかり取る、それからサービス残業・ただ働きをしないとか、そういう当たり前のことをやれば、社会的な運動課題として、広がる条件はあると思っています。
   
残業に関してさらに問題なのは、「三六協定」を結んでいない企業が、非常に多いということです。45%ぐらい締結していない。この企業に残業が存在しないと言うことは考えられないので、違法のまま残業をさせているということです。厚労省が13年度のサービス残業代の是正額が123億円と発表しています。違法企業が大量に存在しているという事実。トリクルダウンどころか、ただ働きが横行し30代、40代では過労死「予備軍」が20%弱ということをもっと社会的に問題にすべきではないかと思っています。
   
ホワイトカラー・エグゼンプションの問題が具体化をされていますけれども、年収の要件が1075万円といわれていますが、、「小さく産んで大きく育てる」ということで、年収の上限というのは、いくらでも下げられていくということだろうと思う。対象者が3%強程度だと言われていますけれども、榊原経団連会長は、10%ぐらいまでを対象にしたいと言っている。そうなると少なくとも800万、750万の年収ぐらいに下げられるということです。
   
問題と感じるのは、官公労などが、ホワイトカラーエグゼンプションを冷ややかに見ている、一部民間の問題という受け止め方があるのではないか。早晩自分たちにも関わってくるという、そういう受け止めをしながら、労働法制改悪の問題について、官民が連帯して闘っていく必要があると思っています。
   
最後に、改憲阻止、集団的自衛権行使反対の闘いについてです。平和フォーラムを中心にした闘いですが、中心産別は自治労と教組です。自治労、教組が協力しながら、全国的な連携を取って、宗教界、法曹界などそれに社民党が加わって、県段階のみならず幅広く地域まで組織をする取り組みが始まっています。こういう先進的な取り組みはあるのですが、一方で、平和問題、集団的自衛権問題で組合員の立ち上がりが悪いという話も多く聞きます。役員クラスはそれなりに理解して、声をかけながら取組みを進めているけれども、組合員の立ち上がりをどう作るかはみんなが悩んでいる課題です。
   
   

■ 賃金、労働条件の底上げを社会的運動に

善明 格差是正と労働法制の改悪は、民主党岡田代表も、衆院選挙演説でも触れました。その意味では民主党と一致できる課題はたくさんある。この課題は連合も同じ立場ですから、社民党が前に出て大衆運動を盛り上げてほしいと思います。
   
「ブラック企業」と言われているけれども、ただ働きの問題と三六協定の無協定など典型的です。これも社民党が前面に出して、通常国会の中で主張し、統一地方選でも社会的に打って出てやってほしいなという思いがあります。
   
先ほどの賃金問題で言うと、経団連の経営労働政策委員会報告の発表は1月20日でしょう。すでに、チラチラ新聞報道で出ているけれども、結局経団連は賃上げに本気じゃない。生産性を上げているところは支払能力に応じて払えといっているにすぎません。いわゆる一時金ですよね。月例賃金反映はだめだということは変えてないみたいですね。そういう意味では政府に任せるじゃなくて、それこそ労使自治ではないけれど、賃金引き上げは、労働組合が団結力で取るという構えを持たないといけない。伊藤さんが言われたように、2015春闘は、これまで以上に大事です。
   
又市 先ほど話がでた安倍首相が「企業は賃上げしてください」というのは、去年から言い出した。われわれはずっとそれを言い続けてきた。安倍首相は経済の好循環の実現のためにと言ってきたが、政府は、儲かっている企業、つまり全体の3割程度の大企業に対して言っているだけだ。中小企業対策をどうするんだというのが、われわれの主張です。2009年の連立政権のときにには、10年度の予算を組むときに、社民党が相当頑張って中小企業の税率19%を15%に下げさせた。これが今もずっと続いている。我々はあのとき11%ぐらいに落とそう、企業の99%は中小企業なんだからと主張した。財源問題で抵抗されましたが、民主党、社民党、国民新党の政権として15%にさせたのは大きな成果です。
   
中小企業対策費はわずかです。来年度の予算も1850億円余り。勤労者の待遇改善というか、最低賃金を上げるためにも、中小企業対策は必要だ。5000億円ぐらいつけるべきだと訴えていく必要がある。中小企業にしてみれば、経営が大変で、最低賃金を上げるとすれば助成が必要だ。こうした制度要求を、労働組合と一緒に求めていきたい。大企業は、次々と減税がされているけれども、中小企業はそうなっていない。非正規の正規化や、最低賃金の引き上げなど格差是正を言う以上は、中小企業対策ももっとやっていかなければいけないし、「ブラック企業」問題というのは、例えば三六協定も結んでないということについて追及して、それをどう指導させるかが大事なことだと思います。
   
小笠原 関連して、アメリカでは国家予算として日本円にして7000億円くらい中小企業対策費取っている。日本の約3.7倍です。又市さんの提起ともからんで最低賃金の引き上げとも連動させて、これはもっと打ち出したほうがいい。関連して公契約条例運動で、これも社民党自治体議員を中心にして結構頑張り始めていますから、この公契約条例運動とどうリンクさせるかということと、連合運動との絡みで言うと、JAMがずっと一貫して言ってきた公正取引の確立ですよね。円安の問題で原材料上がっている、あるいは消費税でアップになったというけれども、大企業は下請にみんな負担させていますからね。だから中小企業との公正取引をどういうふうに法律的に担保していくのか。こういう国家予算の問題と公正取引の法律的な問題と、そして運動としての公契約条例、さらには最賃の引き上げこういうのを絡めながら、社民党として連合運動含めて一致できる課題になってくるわけですから、そういうことが必要です。
   
   

■ 税収は直接税を基本に課税対象の拡大を

善明 2つ論点があって、1つは、これまで指摘され、議論されてきた運動課題をどのように大衆運動として取り組むかです。2つは、又市さんが言われた格差是正にしろ、中小企業対策にしろ財源問題があります。その意味では社民党が昨年の衆院選挙で財源として14兆円を法人税への課税と、所得税の累進課税強化、そして無駄遣いの排除で作り出すと訴えたでしょう。それは非常によかったと思うんですよ。そういう意味で、伊藤さん社民党の財源問題への考え方についてについてどうお考えになりますか。
   
伊藤 先の衆院選挙で、安倍首相は「アベノミクス」を再び国民に問うと言っていましたが、訳のわからないものを問われても困るわけで、低投票率になった。「地方創生」だ、ウーマノミクスだと、いろんなところから上がってくるアイデアを際限なく取り込み、アメーバみたいに広がっていき、正体不明だ。そんなものを相手にするのは敵の土俵です。
   
もっと具体的には、指摘された財源問題があり、財政が破綻状態で何とかしなければいけない。税金については、消費税は一番後回しにして、まずは直接税改革だというのを前面に出すのが正しい。
   
直接税ではまず所得税。累進制を元に戻す形で、きつくするということ。13年度税制改正で最高税率を45%に引き上げましたが、50%を下限として最高税率を引き上げる。所得税の税収は1992年度26.7兆円が2014年度15.3兆円になっています。かつて払えた額は払えるはずだ。法人税収もピークの1989年度19兆円が2014年度には10兆円です。
   
このように一番税収があったときの法人税と所得税を合わせれば40数兆円あった。そこまで回復すればかなり財政状態は改善する。ですから所得税は累進制の強化でいい。法人税のほうは、今のように実効税率で国際比較の議論をするのは全くおかしい。どこの国も税率の引き下げ競争で税収が減って困っているのだから、ここらを最低限にしよう、切り上げ競争をやめようという国際協定の締結を日本が主導していく。おそらくフランスやドイツは乗ってきます。OECDか何かでそういう提起をしていくのは必要です。
   
日本は課税対象が狭いから税額は低い。つまり実質の負担は少ない。ならば、法人税率を下げるなら課税対象を広げるという議論をすべきだ。ドイツは既にやった。この恩恵を受けているのは大企業です。1つは研究開発費です。それから、過去に出した損失の繰り延べ。一年度に計上できる損失額すなわち免税額が日本は高すぎると言われているので、これを縮小する。もうひとつの検討課題は配当受け取り金減税です。子会社とか関連会社に出資して巨大な配当を得ている。この配当に対する課税が軽い。二重課税を避ける配当軽課という税理論があって難しいけれども、現実を直視して、抜け道をふさぐ。
   
本当は理想論でいえば法人税も累進課税がいい。最近よく聞くのは、中小企業という定義は、従業員と資本金ですが、従業員が少なく、資本金も小さいが、やたら儲けている会社というのはある。IT企業など、こうした企業への法人税率が低いのはおかしい。だったら、稼いだ額に応じて税率が高くなる仕組みがあってもいい。これに実質近づけるようなこともやっていくべきだと思います。突っ込んで勉強して、直接税改革ということを打ち出して、まず独走の構えでいいから、国民の注目に訴えかける必要があると思います。
   
小笠原 税制改正で追加したいのは、大企業にたまっている内部留保、利益剰余金に対して税金をかけて、これを社会保障の財源として充当することも社民党としては大胆に打ち出したほうがいいと思う。労働者が生み出した富が、実体経済に投資されず国債や証券などに回っている。この不条理を問題にすべきと思います。
   
又市 伊藤さんがさっきおっしゃった国際協調による法人税率引き下げ競争の防止について、私も国会で何度か追及しました。民主党政権で安住財務大臣のときに、何のために20カ国も財務大臣が集まってやっているんだ。そこで協調して法人税はこれ以上下げないということをやるべきだと主張しました。安住さんは、検討しなければならない課題とまでは答えた。しかし自民党政権はまったく受け入れる気はありません。まだ下げなければなりませんというのが、自民党の主張です。
   
ただ、ちょっと面倒なのは、法人税率がかなり安いアジア、中国、インド、韓国などとはどうするのかと反論される。これに対しては、実際上はそれらの国との競争は、それほどないし、そちらの国の法人税が安いからと企業が出ていくというものではなく、あっても1割にも満たない。企業はそこに市場があるかどうかで出ていくのですね。また、内部留保問題は、自動車などは二重課税だとか何とかと言うけれども、こんなにたまりたまったものならば、かけたらどうだというのは、決算委員会などでは主張したことはあるけれども、自民党は全然問題にもしない。
   
伊藤 低い法人税にしている国には関税をかけるぞという手もある。
   
小笠原 経産省の昨年5月の企業調査で見たら、海外進出をする理由のうち、日本の法人税が高いからというのは、6番目ですし、現地政府の税制・融資等の優遇措置があるも6位です。1番目は、やっぱり物が売れるかどうか、つまり現地、さらには近隣国の需要、市場があるかどうか。そこが問題です。
   
又市 消費税の税収の問題について言えば、まだ浸透しているとは言えないけれど、24年間で消費税収の累計は282兆円。一方で、法人税減税などによる法人税の減収の累計は255兆円なんです。消費税収の約9割が、法人税減税の穴埋めになってしまった。だから、消費税収が、増えてきたにもかかわらず、社会保障は充実どころか、後退をしている。こういうことをよくわかるようにしないといけない。消費税は社会保障の財源だから、増税もやむを得ないのだ、と年配者を中心にずいぶん騙されている。
   
伊藤 税制は直接税改革、社会保障についてはミニマム保障、もう1つは労働規制の問題、3本柱だと思います。
   
社会保障については財政状況もあるし、高齢化で金がかかるのは当然なので、考え方は「必要最低限を確保する」ということでしょう。費用の効率化は、医療については限界がある。介護も労働条件が悪くて人が定着しない状況で、これも限界がある。効率化できるとすれば年金です。
   
年金は、私の計算だと、2030年でも、1人月10万円、夫婦で20万円を一律で出しても年間30兆円ちょっとの財源で済む。今その倍近く使っています。報酬比例の二階建て部分に金がかかる。確かに拠出部分を全部カットするといったら大変だが、戻ってくる率をなだらかにする形で、ミニマム、必要最低限を年金は一律に保障する。これでのみ財政的に持続もできるし、その最低限をなるべく高くするよう努力するという線で行くしかない。
   
労働規制についてですが、解雇の容易化論は、確かに会社に拘束されるんじゃなくて、もっと流動できたほうがいいかもしれないけれど、流動するためには出るほうの自由と入るほうの自由が揃わなければならない。入るほうは今みたいな就職活動を会社側がまだやっていて、出るほうだけ自由にしたら、ただ切るだけになる。
   
ホワイトカラー・エグゼンプションについて、「労働時間じゃなくて成果で測るようにしないと、だらだら残業するやつが出て困る」と推進する方は主張しますが、これは間違っている。成果を測りやすい職種とそうでない職種がある。たとえばチームでする事務仕事でどうやって成果を測るのか。もし、これだけの仕事をひと月でやってくれればどう働いてもいいというのだったら、そのノルマの量の契約がポイントになる。高いノルマを設定されれば、「働き方は自由だ」といわれても、結局長時間労働になる。問題はノルマの水準の決定です。
   
実は日本の職場は、特にホワイトカラーの生産性は国際的に低く、湯水のように労働を投入している。これは仕事の組み方が不合理なのです。そして仕事を組むのは本来管理職、経営者の仕事です。これを昔から日本は現場の1人ひとりに責任転嫁してきた。「だらだら残業しているやつがいて困る」などといっている経営者、管理職は資格がありません。
   
サービス残業ももちろん法律違反です。ですから、労働法制でもっと罰則をつくっていくということと併せて、労働基準監督の行政を強化するというのを打ち出すことがあっていいと思います。
   
善明 実際には労働基準監督行政では人員が減っていて対応できない。
   
伊藤 税務署と労基署は増やしていい。
   
善明 政策、運動課題は、セットで議論されたと思うんですけれど、政策についてはたくさん並べてもしようがないので、絞って提起して、その中で理念と財源問題も含めて、運動を起こすことだと思います。そういう意味では私は、今度の衆院選で社民党が出した政策を基本にして、それに今日議論されたことを付け加えれば良いと思う。強調点を挙げるならば、直接税改革の強化を打ち出す、それから賃金の問題とからめて「アベノミクス」の問題で言うと、トリクルダウン説は破綻している。そうはなっていないことを主張する。それから、働き方、長時間労働、ただ働き、三六協定含めて、いわゆる「ブラック企業」について徹底的に問題にしていくことです、ここを問題にして、働き方の改善を要求していく。それから、労働時間でなく、成果での賃金論に対して、理論的な面で研究する必要があるのかなと思います。労働行政の強化、労働基準監督署の体制の強化も必要ですね。こうした課題については、今後、『社会主義』でも取り上げて掲載していくことを検討することにします。
   
   

■ 改憲阻止に向けた理論武装と大衆運動を

又市 集団的自衛権反対運動について、前向きな労働組合は、旧総評系の一部にとどまっている。やっぱりここは社民党の議員が、党が本気になって呼びかけて、学習会・講演会をまずきっかけとしてやらないと、なかなか進んでいかない。
   
なぜ、そうなっているか。衆院選挙の総括に書いていますが、やっぱり組織力量がないから無理なんですと、そこで諦めてしまっている。じゃあ集団的自衛権の行使、こういうことを認めるんですか。原発の再稼働許していくんですかと、候補者も立てないということはそういうことになりませんか。ここのところの論議がやっぱり欠落しています。そのときの政治情勢に対応して、政党の考え方を有権者に広く訴えて、その延長線上に、支持を積み上げていくことを展望するのであって、議席取れそうだから出る、取れないから出さないみたいな、そういうことを克服しないといけない。
   
今年は戦後70年の節目の年だけに、決意を新たに改憲阻止の運動を強化していかなければならない。昨年は当初からずっと全国行脚して回って党首対話をやってきたけれども、党としてそうした宣伝活動に、講演会だとか、街頭演説だとかを組み合わせて、議員が先頭になって全国に出向くことをやらないといけない。
   
5月連休明けから、集団的自衛権行使容認を具体化する法案が出てくる。多分特別委員会をつくると思いますけれど、毎日のようにやられて、あっという間に、今の議席数でいったらやられてしまう。前段の運動を相当広げておかないといけないということでありますから、5月段階ぐらい、フォーラムの皆さんとも相談をして、大衆集会を全国的にいくつも入れなければならいないと考えています。
   
善明 又市さんが選挙闘争に関して言われた候補者の問題もそうだけれど、取れたらやるとか、勝ちそうだからやるという意識はものすごくある。ここをどう党内、党員の議論で払拭するか。これはやっぱり総括の中でちゃんとやらなければいけない。1つヒントとして言われたのは、どういう社民党をつくるかというところの議論を理念を含めてもう1度やる必要がある。これがぼやっとしてしまって、曖昧になっている。そういうところを総括の中でもしっかり議論して、社民党らしい、自分の足下からの運動をもう一遍つくりかえる、再建する運動を構築していくことが求められています。それが統一自治体選挙でもあるし、将来の国政選挙につながっていくことにもなる。
   
それと又市さんが最後で言われた戦後70年についてですが、安倍首相は、「戦後レジームからの脱却」路線です。任期をあと4年確保したからその間に「憲法改正」をやろうとしている。それに対する闘いです。これに対抗する運動としてはこの間の全国で組織されている「1000人委員会」の運動があります。
   
この運動は平和フォーラムとの連携ですが、名称はそれぞれですが県段階でかなり広がっており、いままでと違う広がりを生む可能性がある。新しい層にどう訴えるのか、いままで通りのスタイル、たとえば街頭宣伝だけではだめだ、地域の住民との対話を重視すること。そこから、統一自治体選挙までつなげていくことなどが重視されています。
   
それからもう1つは、集団的自衛権行使に関する関連法案に対して、自民党政権は、国民の安全と財産を守るためには、自衛隊の海外派兵が必要だといってごまかしてくるわけですから、防衛のあり方などについても自民党政権に反論できる、打ち勝つ、理論武装を早急にやらないといけない。大衆運動と理論武装を、党の中で、そして労働組合の中でも、政治学習をちゃんとやっていくことが必要です。
   

■ 職場からの基礎的活動と学習会作り

又市 先程どういう社民党をつくるかという話がありましたが、私は、本来何をするところなのかを突き詰めて議論をしておかないといけないと痛感している。
   
社民党の中でも、本当に自分たちが社会民主主義だと言って、あるいは平和、自由、平等、共生というまさに理念の実現のためにと、こう言っているけれども、本当に日常的に議論しているか。そのことが不足しているからいざ選挙となっても受け身になる。本来選挙は自分たちの日常活動の集約点であり、日頃訴えていることを集中的にやることができる時期で、打って出なければいけないのだけれども、受け身で、選挙になって困ったとなり、萎縮している社民党の現状と、労働組合の現状に共通点が見える。
   
資本主義社会の中で労働者階級がどう闘うのかという問題では、労働組合も党も共通の課題なんだと思います。これは分析をして、方策を考えていかないといけない。たとえば、春闘をしっかりやろう、労働者の要求を吸い上げ集約して、会社・当局に突き付け、大衆運動を提起をして目一杯闘う。やっているところある。富山の三菱ふそうバス製造労組は、賃上げで5回ぐらいストライキをかまえて、非正規の正規化まで課題に掲げて闘い、実際に非正規何十人かを正規化したりして頑張っています。こういう闘いをもっと広げていかなければいけない。あるいはタクシーの組合なんかでも、ものは取れないけれども、ストライキを提起する。それで場合によっては空打ちストライキになるんだけれども、しかし、それは後々のためにもやらなければいけないという、そういう指導部のかまえというか、そういうのは昔から頑張っている人はそうやっている。しかし、全体としてはずっと低下をしてきている。党も高齢化の中で、取れるかどうか、金があるかどうかというばっかりが先へ行ってしまって、必要だから金を集めるのではなくて、金ないからやらないという話になっているという点をもう一遍立て直さないといけない。戦後70年という節目に集団的自衛権問題があるだけに、そこらの論理をもう1度2月16日の社民党全国代表者会議で呼びかけもしなければいけないし、今年の5月3日、憲法の記念日を中心に、全国で最大限の新聞への意見広告運動を党が本気になって前面に出てやろう。どれだけ金に集めるかによって、新聞の半分しか買えないかもしれないし、4分の1しか買えないかもしれない。一面丸々買い切って余るところも出てくるだろうけれど、そういうことをやっぱりみんなが一斉にやってみようよ。あるいは街頭演説、1万カ所といったのを本気に各県に割り振ってみれば、例えば私の富山県なんかで言ったら、100万県なら100箇所なわけですよね。ただこの提起は、大都市が受け止めきれない。東京でいうと1200箇所となる。しかし、そういうことをみんなが全国どこでも一緒にやっているんだという形で努力をしなければいけないなと思っています。
   
小笠原 僕もあちこちの学習会にかかわってきて、特に今年強調しているのは、職場闘争です。その中身は、やはり組合員1人ひとりの不平・不満を引き出し、それを集約した職場要求づくりと、それを解決するための当局に対する大衆行動に1人でも多くの組合員を結集させることに集中すべきだと思います。そういう運動や行動があまりにもない。全部役員が背負って、役員と当局との交渉で終わってしまっている。組合員1人ひとりをどうそういう行動に、運動に参加をさせるか、そこを通して組合への結集と、働きざまへの怒り、憤りを引き出し皆で共有化していくことが大切だと思います。。そこに学習が入っていく条件が出てくるということを強調しています。
   
1人ひとりの要求づくりと大衆行動を、選挙闘争に置き換えても同じことが言えるような気がします。
   
伊藤 私は皆さん方と比べると、われわれの運動からは遠い人たちとよく接触します。今、本当に世代交代期だと思う。70年代までに運動に入ってきた人の山がありましたが、80年代以降に関わってきた人は、運動の経験を積んできていない。70年代までに運動に入った人たちが終わりつつある。今組合と言っても、新しく役員になった人が、本当に何も知らない。さっき、反戦平和の課題で組合の立ち上がりが弱いとのお話でしたが、そんなこと聞いたこともない、考えたこともない人が役員になって、1年交代でやっていたりするところがいっぱいあるわけです。ならば、戦後の原点に帰るみたいな形で基本からやらないと、意識が低いだの言っても始まらない。平和の課題などは、自分の職場、単産の中だけで、放っておいて進むわけがない。地方レベルで一生懸命やっている人たち、1000人委員会の人たちとか、こういうところへ出ていって、組合、組織労働者が学ぶ必要があるでしょう。立てこもらないで。中央はあまり期待できないので、地方レベルで、少し大胆に提起して、交流ですよね。職場を超えるだけじゃなくて、労働組合の外まで含めた交流を図って、そこで外から刺激を受けて学んでいくことだと思います。
   
又市 公務員バッシングやられて、選挙やっちゃいけないものだというふうに思い込んでいる人が圧倒的です。だから私は、なぜ公務員は選挙をやってはいけないのか。公務員がやってはいけないのは、地位を利用して、たとえば自分はどこどこの係長です、どこどこのこういう仕事をしています、投票してくれたらこういう便宜を図ります、こういう便宜供与が禁止されているのであって、それ以外は問題ないことを周知しなければなりませんね。
   
伊藤 労働組合で非正規の組織化というのはまず自分の職場からですが、世の中にはもっと沢山の非正規労働者がいるわけで、それを結びつけて組織するにあたっては党の役割が大事かもしれませんね。
   
又市 先日、富山の地元で話したとき、非正規の課題について、自分のまわりには何人いるのか、その人たちの待遇改善や、賃金はどうなっているのか。その上で、今春闘で、市役所の中で、最低・限時給20〜30円上げろと要求を掲げて、非正規のみんなから署名を集める。そしてできれば各課にいる非正規の人の代表を選んで、組合との連絡係で出てきてくれと呼びかけていくと、組織化につながっていく。当事者を抜きにして単に組合として要求出している、当事者の意見も聞いていない。それでは組織化にならない。
   
ではそれをどこがやるのか。地区労はない。平和運動センターでそれをやれるかといったら、それは連合の役割だ、となっていないか。連合がやっている地域もあるんだろうけれど。
   
小笠原 そこはここ3年ぐらいで少し変わり始めた。平和センター、平和労組は、平和問題だけという仕切りではなく、逆に、平和労組、平和センターが春闘問題、合理化問題を交流して、それを連合内に持ち込んでいく努力も始まっています。地方に行けば重なっているところがほとんどですから。まだ頑なにやってはいけないというところがあるのも事実ですが。
   
非正規問題への党の関わり方という面では、社民党の地方議員が市議会の中で非正規問題を取り上げて、雇用改善を地道にやってきています。労働組合の組織化も含めて。議員が議会で、自治体がワーキングプアを作り出していいのかと問題提起して、時給を5円、20円と引き上げさせるということも追求されています。こうした闘い、取り組みはまた社民党のみならず、他の野党ふくめて、野党共闘、統一戦線運動の地方版を組織していく工夫と、その経験交流が必要だと思います。
   
又市 私は格差是正、護憲、脱原発、この3つを基本に一致できる政党が結集できるように努力すべきと思います。そこらの結集が図れるように次の統一自治体選挙を組んで、参議院選挙を展望していくという、そういう人々が結集できるような努力をも重ねながら、参議院選挙の準備に入っていかないといけない。
   
衆参で3分の2体制をつくることに努力すると安倍首相は明確に言っている。つまりは、衆参ダブル選挙を考えてくると思う。私たちは政党の枠を越えて、参議院で3分の1以上の護憲派をどう確保するかが問われている。党としては、29日の常任幹事会で参議院選挙の一応の準備方針を出します。その上で、候補者を立てなければ話にならない。
   
善明 本日は貴重な問題提起をしていただき、相互討論ができました。これを活かして、これからの運動に役立てていきたいと思います。
   
どうも長時間ありがとうございました。(了)
   
   

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