●2011年10月号
■ 民主党政権の行方と今後の課題
社民党副党首・参議院議員 又市征治
■ 民主党「短期政権」の原因と背景
周知のように、衆議院で不信任決議を突きつけられた菅首相は、6月2日の民主党代議士会で「震災復興等に一定の目途」がつけば退陣する意向を表明した。それは常識的には6月末又は7月上旬の退陣を意味した。しかし菅首相は、不信任決議案が否決された途端、民主党の分裂回避で自らの続投が可能になったと過信して、「原発事故の収束も一つの目途」だと述べ、明年1月頃まで続投する意欲を示した。そのため、70日間延長された国会は、野党ばかりか与党からも菅首相への激しい非難や批判が噴出し混乱と空転を繰り返して事実上の政治空白を生み、震災対策の具体案も野党側が次々提案する始末で、多くの国民も菅内閣と民主党を見放した。
因みに各メディアの8月の世論調査では、内閣支持率は14〜18%、不支持率は65〜72%に上り、また民主党の支持率は13〜17%に落ち込み、自民党の19〜25%を下回る結果となった。民主党政権下で最低・最悪を記録するに至ったのである。
そこで民主党執行部はなりふり構わず首相退陣のお膳立てを進め、会期末目前の8月26日、公債特例法と再生可能エネルギー特措法の成立をもって菅首相もついに退陣表明せざるを得なくなった。
民主党政権2年間で2人の首相降板である。何が短期政権の原因であったか。
鳩山内閣は、自らの「政治とカネ」の問題と、公約違反の米軍普天間基地の移設問題でわが社民党の政権離脱を招いて信を失い、退陣に追い込まれた。
後継の菅内閣は、「小沢叩き」で支持率を回復したが、民主・社民・国新三党の連立政権合意からますます離れ、
- 消費税増税と法人税減税を推進し、
- 沖縄県民や国民世論を無視した辺野古への基地移設に固執し、
- TPP(環太平洋経済連携協定)参加での企業の国際競争力強化を目指し、
- デフレ脱却と矛盾する公務員賃金の削減を図るなど、政権交代の原点である「国民生活が第一」から財界寄りの「経済成長が第一」への転換、つまり新自由主義政治への回帰を強め、
急速に国民の信を失った。加えて
- 大震災と原発事故への後手後手に回った対策
も国民から見放される要因であったと言えよう。
そのため、民主党は昨年の参院選以降の各種選挙で連敗を重ねた。しかし菅首相と民主党執行部にはこれに対する深刻な反省はなかった。すなわち自民党政権(安倍――福田――麻生内閣)が市場経済万能論の新自由主義政治で社会のあらゆる分野に格差を拡大し、国民の不満や怒りを増大させ、それぞれ1年で退陣に追い込まれた総括がないため、昨年の参院選での与野党逆転を受けて新自由主義の立場の自民・公明などに急速にすり寄り始めた。そのために「国民生活が第一」を掲げて当選してきた民主党議員の中に違和感と反発が広がり、党内対立と亀裂を深め、それがまた国民の中に「自民党も嫌いだが民主党もだめだ」の気分を広げたと言えよう。
このような菅内閣の変質・新自由主義回帰はなぜ起きたのか。
「国民生活が第一」を掲げる民主党政権の「子ども手当、高校無償化、農業戸別所得補償、高速道路無料化」などの諸政策は、大企業優遇・国際競争力強化をめざし「経済成長が第一」を唱える財界・自民党などにはまったく「ムダ」だと映る。その立場から巻き返し攻勢がかけられ、菅内閣はこれに譲歩することで批判を和らげようとした。換言すれば、この巻き返し攻勢にふらつく政府・民主党を激励し時には突き上げて、政権公約を守らせようとする勤労国民の側の運動の弱さの表れでもあった。
■ 野田内閣に求められること
民主党は、菅首相の退陣表明を受けて8月29日に代表選挙を行い、野田佳彦氏を新代表に選出した。そして30日、衆・参両院の首班指名で野田氏は第95代内閣総理大臣に指名された。民主党政権2年間で3人目(この5年間で6人目)の首相である。
因みに、野田内閣発足時の三大紙の世論調査によると、内閣支持率は53〜65%に上り、不支持率は14〜19%を示している。何もしていない内閣への高い支持率は、野田首相が党内融和・挙党態勢に腐心した様子が好感されたのであろう。もう一歩突っ込んで言えば「もう1回だけ民主党に期待してみる」意識の表れではないか。
新しく船出した野田内閣と民主党には一体何が求められるのであろうか。
2年前、『国民生活が第一』を柱としたマニフェストを国民に訴え、その支持を得て政権交代を実現したのであるから、当然、「『国民生活が第一』の理念に立ち戻って政策大綱を確立」し、「それを基盤に挙党態勢を築く」ことである。どんな組織も「方針を論議して確定し、それを基に結束して事に当たる」。幅広い「保守・中道政党」である民主党では尚更である。
この間、これをないがしろにして菅内閣・民主党執行部がバラマキ批判などにふらつき、自民・公明両党にすり寄り党の不団結を招いたことを真摯に反省すべきだ。『国民生活が第一』の理念に立ち戻った政策大綱を抜きに「挙党態勢」を追い求めても菅政権の二の舞になりかねない。
なお、民主党のマニフェストには確かに「2万6000円の子ども手当」や「高速道路無料化」のようにバラマキの部分もあるし、またリーマンショックに端を発した世界同時不況で税収が年間約9兆円も落ちこむという新たな事態も加味されていない。したがって、金額など具体的施策は現実を踏まえて当然変更はあり得るが、その政策の理念は堅持し、その変更理由は国民に丁寧に説明すべきだ。
では、野田内閣はその期待に応え得るか、現状では懐疑的にならざるを得ない。
それは第一に、野田首相は就任に当たって「(11年8月9日の)民主・自民・公明の三党合意は遵守する」と述べた。その中身は、
- 「子ども手当、高校無償化、農業戸別所得補償、高速道路無料化」の「見直し」合意であり、
- 第三次補正予算の編成に当たって「法人税減税を含む税制改正法案」「復興債財源」「年金財源」などを三党で「検討する」合意
である。そして「震災復興、税制改正、経済対策」で三党の実務者協議を約束した。
これは、事実上の民主・自民・公明三党の「パーシャル連合(政策による部分連合)」を進める意思表示と言えよう。
第二に、野田首相自身が
- 消費税増税と復興増税に積極的であり、
- 普天間基地を辺野古に移設する日米合意は継承するとし、
- 原発の新設には慎重なものの点検中の原発の再稼働には同意し、そして
- 「A級戦犯は戦争犯罪人ではない」と歴史認識にも問題がある
など、民主党内でも合意されていない発言が多く見受けられ、国会論戦と民主党内で今後の火種となりかねない。
これらを『国民生活が第一』の理念に立ち戻って修正していくのか否か、直ちに問われることになる。わが党は修正を求めて質していかねばならない。
ところで、よく「衆・参ねじれ国会で政治が進まない」と言われるが、これは間違いである。そもそも衆・参両院が存在し、それぞれの選挙が行われるのだから、当然「ねじれ」は想定されているのである。長年の自民党独裁とも言える状況下で、政府提出法案が修正されることなく衆・参両院で可決されてきたために、「ねじれ」が異常であるように言われてきたのである。
しかし、国権の最高機関である衆・参両院で、政府提出法案を徹底審議する中でその修正は当然あり得るし、現に最近は修正議決が結構なされている。それが国会の本来の姿である。国会での熟議の結果、成立しない法案はそこまで民意が収斂されていないことの表れであり、その場合、廃案・出し直しも当然である。したがって政府・与党の姿勢としては、「政府案ありき」ではなく「徹底審議と修正ありうべし」で国会審議に臨むことが大事であろう。
先の通常国会では、「衆・参ねじれ」の解消と政権安定のために、大連立やパーシャル連合が取り沙汰された(現にその動きもある)が、これは大きな問題をはらんでいる。
衆・参両院は立法行為と共に、巨大な行政府を監視・監督する機能を有している。議院内閣制の下で与党が組閣や予算などで政府と一体性を持つとしても、個々の議員は法案審議や行政府監視の役割と責務がある。もし民主・自民・公明の大連立やパーシャル連合ができれば、衆・参両院で9割以上を占める巨大与党が生まれることを意味するし、そうなれば国会審議は形骸化しその機能は著しく低下することは必定である。まさに議会制民主主義の危機と言わねばならない。一般論として与野党協議は悪いことではない。しかしそれは、国会審議の中で、すべての政党が参加することが前提であることを忘れてはならない。
なお、憲法審査会の始動を強く求める自民・公明両党が政府・民主党に大幅な政策譲歩を求める下で大連立やパーシャル連合が進むとすれば、改憲内閣へと変質することを危惧せざるを得ない。
■ 野田内閣・民主党とどう向き合うか
以上を踏まえて、わが党や労働組合・市民団体などは政府・民主党とどう向き合うべきか。
第一は、政府・民主党に対して「09年の民主・社民・国新三党の『政権政策合意』〈10分類33個別政策〉は4年かけてその実現を国民に公約したものであり、与・野党に分かれても三党の共同責任だ」と引き続きその実現を求め、また新たに発生してくる事態への対策もその延長線上に毅然と政策要求していくことが大事である。この観点から、後述する当面の主要政策の実現も強く求めていく。
三党の『政権政策合意』は政権離脱後自動的に失効したとの見方があるが、「生活再建内閣」として合意した諸政策は、わが党の要求の域を超えて国民への公約であり、民主党にとっても「政権交代の原点」であるから、野田内閣もこれを否定することはできない。これらの諸政策を「ムダ」だと批判する財界・自民党などとの攻防線であるから、この要求実現に向けた取り組みは重要である。
2つ目は、前述した「政権公約を守らせる勤労国民の側の運動の弱さ」を克服する大衆運動が重要である。10年余にわたる新自由主義政策によって社会のあらゆる分野に広がった格差への国民の不満や怒りの高まりと、それを背景とする様々な要求運動の相乗作用が2年前の歴史的な政権交代をもたらした。だから鳩山内閣は、これを受け止めて「憲法の保障する諸権利の実現を第一とし、国民の生活再建に全力を挙げる」と宣言し、社会保障の拡充や、子ども手当・高校授業料無償化・農家の戸別所得補償など国民の可処分所得を増やす政策を次々打ち出したのである。
その内閣を支えるのであれば、組織された労働者が企業・経営側に賃金引き上げ(企業内最賃含む)や非正規の正規化をはじめとする労働条件改善を求めて闘い、政府と連帯することが当然必要である。それを抜きに政府に「諸権利の実現」や「国民生活再建」を要請するだけでは、その実現はおぼつかない。また、自ら支持する政権といえども、誤った施策(例えば公務員給与削減、普天間基地の辺野古移設、消費税増税・法人税減税、TPP参加など)には、毅然と抗議し改善を求めることも必要である。
■ 「生活再建」に向けた主要政策
ここ10年余にわたる新自由主義「構造改革・規制緩和」によって社会のあらゆる分野に格差が拡大し、日本社会が壊されてきた。これに追い打ちをかけて東日本大震災と深刻な原発事故である。当然、円高・経済対策、外交・防衛政策なども必要であるが、今日、日本社会を勤労国民の立場から再生・再建していくには、以下4点の主要政策の実現は大事であろう。これを野田内閣に強く求めていく。
□□ (1) 大震災の復旧・復興と脱原発社会への転換
まず、未曽有の大震災からの復旧・復興は当面の最大かつ緊急の課題である。それは開発業者中心の大規模都市開発であってはならない。その地に生まれ育ち生活する人々の歴史・伝統や文化を大切にした意思を何よりも尊重し、そして雇用とコミュニティーを大事にした「人間の復興」でなければならない。社民党はこれを一貫して国会で主張し、政府にも強く求めてきた。大筋、この方向は復興基本方針に盛り込まれたが、引き続きその財源手当て(基金や一括交付金)を含めて求めていかねばならない。また、復興債の償還を短期に求めて安易に復興増税することは避けるべきである。
一方、東京電力福島第一原発4基の事故は深刻である。放射能漏れの収束には少なくとも10年以上かかると言われる。その被害は福島県はじめ15県に及んでいる。一日も早い収束と除染等に全力を上げなければならない。
社民党は、全政党の中で唯一、「核と人類は共存できない」と一貫して脱原発・自然エネルギーへの転換を掲げて闘ってきた。残念ながら、福島の原発事故はその警鐘が現実のものとなってしまった。力不足も含め痛恨の極みである。
ところで、全国54基の原発に貯まった使用済み核燃料は2010年末時点で約1万6530トン〈広島原爆換算で約66万発分〉にも上り、なお増え続けている。これを数万年にわたって安全に保管する場所も施設も造れないまま、危険な核廃棄物が垂れ流し状態である。仮に貯蔵施設を建設したとしても、地震列島・日本で絶対安全に数万年も貯蔵できるか、疑問である。子々孫々の代まで放射能汚染の危険が付きまとう。またその貯蔵や廃炉にかかる莫大な費用は、当然、国民に電気料金や税金として負担転嫁される。「原発電力は安い」どころか、大変高くつくことになる。極めて無責任な原発推進政策がとられてきたのである。
不幸な福島原発事故を経験した今こそ、原発に依存する社会を太陽光・風力・水力・天然ガス・地熱発電、燃料電池など再生可能な自然エネルギーに依存する社会に転換しなければならない。産業界や一部の政治家とメディアは国民の生命や安全よりも「安い電力」のために原発稼働を求め、その非人間性を露わにしているが、朝日新聞の世論調査(7月12日)では、「原発の段階的廃止」に国民の77%が賛成の意思表示をしている。この声を戴して、国民の生命・財産、安心・安全を守ることこそが政治の使命であり責務である。
わが党は、5月25日、これまでの脱原発政策を整理し『脱原発アクションプログラム』を発表した。その要点は、
- 新規原発建設中止、震源域立地や40年を超える原発の廃炉、稼働中の原発には厳しい安全基準を適用する、
- 自然エネルギーへの転換を急ぎ、2020年までに原発をゼロにする、
- 2050年までには自然エネルギー100%の日本にする
――である。これは大多数の国民に理解と共感を頂けると思う。いま必要なことは、これを大きく確かな世論に高め、速やかに国策にすることである。そのためにわが党は全力を挙げている。
□□ (2) 雇用の創出と安定
今日、完全失業者は約300万人、そして働く人々の38.7%=約1900万人が劣悪な労働条件の非正規社員である。特に若者の2人に1人以上が非正規の職しかないのが実状である。未来を担う若者が将来への夢や希望を奪われている。
憲法の第二七条は「すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負う」と規定し、また第二五条は「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」と定めている。つまり、「すべての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営むことができるために、勤労の権利を保障されている。国はそのために努力しなければならない」と言い換えることができよう。これをぶち壊してきたのが自民党政権の「構造改革」路線であった。
したがって、「憲法の保障する諸権利の実現」をめざし、
- 依然、不足している医療や介護、福祉、子育て、教育や環境などの分野の雇用創出、
- 非正規労働の正規への転換、
- 長時間労働の規制、
- 最低賃金を時給1000円以上に
――などを求める「生活護憲」の要求と運動を大きく盛り上げることが、「生活再建」の要である。
□□ (3) 社会保障・福祉の拡充
かつて医療費は1割負担、高齢者や乳幼児医療費は都道府県レベルの運動で無料にさせてきた。それが剥ぎ取られ、今や3割負担が当たり前のように進んでいる。
「老後に安心できる年金とほとんどお金がかからない医療・介護制度や教育・保育の確立」は社会発展の成り行きのはずであり、全国民の切実な要求である。これも憲法二五条の理念実現の課題である。
この改善が進めば、高額の生命保険もいらず、将来不安による多額の個人貯蓄(標準世帯で約1900万円)も一定部分は消費に回り、内需拡大・景気回復、そして税収増にもつながるのである。この正当な要求をもっと強く大きな声にする必要がある。
□□ (4) これらを担保する税財政改革
これらの政策実現にはそれ相応の財源が必要である。一方で深刻な財政危機にもある。そこで先の菅内閣は、6月30日、『社会保障と税制の一体改革』を決定し、その中で2010年代半ばには「社会保障の財源不足分で消費税5%アップ」が必要であり、合わせて法人税の引き下げを盛り込んだ。野田内閣も来年の通常国会にはこの法案を提出するという。この流れで行けば、次には「財政危機打開」を理由に20年代初頭には消費税5〜6%アップが追い打ちをかけることになろう。
私たちはこれには断固反対である。その理由は、
- 第一に、1989年の消費税導入以来22年間に国民が納めた消費税総額は224兆円で同期間の企業減税は208兆円であった。つまり消費税は福祉目的にではなく企業減税の穴埋めにされた勘定である。
- 第二に、1988年と2010年の税収構造を比べると、法人税が35.3%から18.4%に半減し、消費課税が18.9%から43.9%に2.3倍にもなっている。「弱い者いじめ」そのものである。
- 第三に、こうした企業優遇策によって、例えば資本金10億円以上の企業の09年の内部留保金は国の一般歳出70兆円余の3.5〜2倍に当たる244兆円(うち預金残高は144兆円)に上っている
――からである。
したがって増税策の前にやるべきことがまだまだある。それは、例えば
- 国から補助金や事業発注を受けた公益法人・民間企業への支出総額7兆円余(08年度)の徹底した見直し・削減、高額天下り役員の削減、不要不急の公共事業の削減、
- 租税特別措置など不公平税制の徹底是正(「法人間配当無税」約2兆円含む)、法人税・所得税の累進税制強化、資産課税の強化、
- 特別会計の積立金・剰余金などの活用、
- 防衛費や米軍への「思いやり予算」の削減
――などで年間8〜10兆円の財源を生み出すことが先決である。
こうした改革を放置し、てっとり早く財源を確保する消費税増税や公務員賃金の削減などは認めることはできない。換言すれば、これらの改革が明確にされた上で、例えば年収400〜500万円以下の所得の低い人たちの税負担を避ける戻し税付き消費税論までは否定しない。
■ 自信と確信をもって運動を起こそう
私たちは、「『平和・自由・平等・共生』の理念を掲げる社会民主主義の政治が、岐路に立つ日本社会の改革にとって必要不可欠な存在だと確信」する(06年2月「社民党宣言」)。その観点に立って、21世紀初頭の四半世紀の世界と日本を見据え、また国民の生活実態を見据えて様々な分野の政策を打ち出してきた。特に「社会保障の拡充と所得再分配機能の強化」を中心に据えてきた。
そうした努力の中で、例えば、わが党が掲げた「生活再建」は鳩山内閣のスローガンとなった。また「米軍普天間基地の国外・県外移設」の主張は沖縄県民のみならず国民多数の声となった。さらに長年訴え続けた「脱原発・自然エネルギー転換」は今や国内世論の大勢となった。そして浜岡原発停止も政府方針になった。このように、わが党の政策・主張は先見性を持ち国民の共感を得てきている。このことに自信をもってよいのではないか。
しかし、わが党の宣伝力の低下と大衆運動の弱体化故に、党への理解や支持を広げ切れていない。もう一歩二歩足を前に出して奮闘することを情勢が求めている。「護憲の党」を掲げてきたわが党こそが、憲法第一二条の「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない」という規定を再認識しよう。
当面、「脱原発・自然エネルギーへの転換」の世論形成の諸活動に全力を上げて国民の共感と支持を広げ、また「普天間基地の国外・県外移設」や前述した主要政策実現に向けて院内外呼応した闘いを強めなければならない。
(9月20日)
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