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●2011年5月号
■  統一地方選挙前半戦で民主党は「敗北」する
   柏井 一郎
 

第17回統一地方選挙(以下、統一地方選)の前半戦が、4月10日投開票された。前半戦は、12都道県知事選(岩手は大震災の影響で延期された)、41道府県議選挙(総定数2330議席)、4政令指定市長選、15政令市議選(総定数924議席)が戦われたが、党派別当選者数は、別表の通りである。
 
民主党は、政権獲得後、初の統一地方選であったが、東日本大震災や福島第一原発事故の対応で、選挙前の世論調査では菅政権の統治能力に対する有権者の不信は強く、昨年7月の参院選以降、各種選挙で連敗を続けてきた退潮傾向に歯止めはかからず敗北した。
 
そこで統一地方選前半戦の結果について、政党ごとの獲得議席を中心に分析してみることにしたい。
 

■ 選挙結果からいえることは何か

まず都道県知事選挙であるが、民主党と自民党がぶつかるのは、北海道と三重だけで、両県とも自民党が勝利した。2大政党の対立は前回の5つから半減しているが、これは民主党が候補者擁立を見送ったことによるものである。残る10選挙も不戦敗か、自民党との事実上の相乗りで、政権党のふがいなさが際立っている。
 
東京都知事選挙は、石原慎太郎に対立候補をたてられずに、都議会会派が渡辺美樹候補を応援したが、これは推薦より弱い「支援」となった。民主党の不選敗は、東京、奈良、島根、大分の計4都県に及び、首都決戦で土俵にすら上がれなかったことは、民主党の衰退を象徴するものと国民の目に映ったことは痛手であった。また、民主、自民が事実上相乗りするのは、福井、鳥取、徳島、福岡、佐賀など計6県、前回の2県にくらべて大幅に増え、ここでも民主党の弱体ぶりが目立った。
 

(表・クリックで拡大します)
 
41道府県議選挙でも民主党は、野党で戦った前回の335議席をかろうじて確保する11議席増の346議席である。候補者擁立では当初1000人以上の公認候補を擁立するとしたがようやく半分強の571人に終わった。公認・推薦料を2倍以上に引き上げたが、それでも公認、推薦返上が相次ぐなど、戦う前からの事実上の敗北であり、政権与党であるにもかかわらず、41道府県議会で、第一党の座を確保することができなかった。
 
なかでも民主党の議席は、これまで比較的強いとされた都市部での退潮が目立っていることが指摘される。さらに今回無所属候補の当選が大幅に増加しているが、これも民主党公認では当選できないとする候補者が、少なからず無所属で立候補したことが考えられる。
 
一方、自民党の公認候補は前回より131人少ないものの1244人を擁立した。当選者は1119人で、このうち現職は8割以上を占める1032人で、大震災で自粛ムードの選挙では、知名度の高い現職に有利に働いたということができる。
 
公明党は、前回より1人減の172人を擁立し、組織力を生かして前回、前々回に続き、全員当選をめざしたが、1議席及ばず171議席となった。
 
共産党の公認候補者は、前回に比べ67人減の225人、当選議席は前回より、14議席減の80議席となった。
 
社会民主党の公認候補者は前回より16人減の45人で当選議席は前回より14議席減の30議席と厳しい結果となった。これは候補者擁立が前回より大幅に減少したことが大きい。だが推薦候補31人を合わせると61人が当選、政令市議選では、公認候補7人、推薦7人の計14人が当選している。なかでも道府県議選挙では比較的若い新人候補が当選し、また、原発反対を訴えた推薦候補が当選するなど、その教訓点も大きい。
 
いずれにしても、共産党、社会民主党は、選挙ごとに議席を減少させており、退潮傾向に歯止めをかけることはできなかった。
 
注目されたみんなの党は、道府県議選挙で栃木、神奈川などを中心に103人を擁立した。改選前勢力の11議席から41議席に増えているが、これまでの国政選挙の勢いはなく、地方選挙ではワンフレーズの政策ではその限界性が明らかとなっている。
 
道府県議選挙のもう1つの特徴は、橋下徹・大阪府知事が代表の地域政党「大阪維新の会」は府議選(定数109)で57人、大阪市議選挙(同86人)で33人が当選した。それぞれ改選前議席の29と13議席から大幅に議席を増やし、府議会では目標の過半数を確保する躍進ぶりを見せた。市議会では過半数に届かなかったが、公明党(19議席)、自民党(17議席)を大きく引き離し第一党を確保した。また、堺市議選挙(同52議席)でも、改選前の7議席から13議席に増やし、第一党を確保している。
 
だが「大阪都構想」の実現には府議会と大阪、堺両市議会の賛同が必要であり、その立て直しがせまられることになる。
 
一方で、河村たかし・名古屋市長の地域政党「減税日本」と、大村秀章・愛知県知事の地域政党「日本一愛知の会」は、愛知県議選挙(同103議席)で公認・推薦合わせて45議席を獲得し、最大勢力となったが、目標の過半数には届かなかった。これで両氏が掲げる「県民税10%減税」の実現には、屈折が予想される。
 
「減税日本」は、24日に投開票される衆院愛知六区補欠選挙で初めて新人を公認し、国政への進出を狙う。民主党はここでも擁立を見送っている。
 
これらの地域政党の躍進は、大阪の橋下人気、名古屋の川村人気に負うところが大きいが、それにしても彼らの地域政党は無党派層のほか、民主党、自民党の支持層にも浸透しており、既成政党、すなわち、地域住民の「議会不信」の拡大の現れと見るべきである。こうした状況は政治、経済の閉塞状況が続く中で、この種の現象はラジカルな政治家の煽動によって、形を変えていつでも起こりえるもので、危険な兆候といわなければならない。
 
これが増幅すればいずれ議会不要論やカリスマ的首長待望論に行きつくことにもなりかねない。首長主導の地域政党が議会の多数を握ると、首長をチェックする議会の機能が損なわれ、独裁的な色合いが強まる懸念があり、民主主義の後退、地方自治の危機にもつながりかねない。住民の「議会不信」を克服していくためには、既成政党が市民生活と結びついた日常的な地方議会活動の改善が強く求められているといえよう。
 

■ 「大震災復興」に向けた政治が果たす役割

それにしても、今回の統一選挙は、東日本大震災や福島第一原発事故によって、各陣営が選挙カーの利用を手控え、また、党首の街頭第一声演説もとりやめたように、「自粛」ムードに包まれる静かな選挙戦となった。これによって、候補者は十分な訴えができず、有権者も選択しづらい選挙となった。
 
それとの関係は定かではないが、41道府県議選挙の無投票当選が、前回より18人増加、割合は17.6%になったこと、また、投票率は知事選挙が52.77%で戦後2番目に低く、都道府県議会選挙では、48.15%で戦後最低を更新し、初めて40%台に落ち込んだ。地域政党が大幅に議席を増やした大阪と愛知でも投票率は40%台で、愛知は戦後最低である。
 
これを「大震災」だったからという理由で片づけることはできない。投票率の低下の理由は、さまざまに指摘されるだろうが、要は国民の「議会不信」と共に、民主党がこの間、「生活再建」に向けて、新自由主義的政策を転換するとした国民との約束をあいまいにしてきたことが考えられる。
 
「大震災」だからこそ住民の連帯の大切さや自治体の役割、危機管理などを見直す契機となるのだが、そうはならなかった。選挙の争点も「大震災」だから、政権政党の民主党批判を避けるという配慮が、自民党など野党にあり、「大震災復興」では、「大震災」が与えている全体像が明らかにされずに与野党の対立の構図を示すことができなかったこともある。
 
唯一の争点といえば、脱原発をめぐるものであったが、これまで原発を推進・容認してきた自民党、公明党両党や政権政党の民主党は「争点隠し」ともいえる態度に終始した。脱原発をアピールしたのは、唯一、社会民主党で、共産党は、「いますぐ原発を止めるというのは無責任」との立場で、「将来的には原発依存のエネルギー政策からの脱却をめざす」というものであった。
 
これらの政策が国民にどのように判断されたかは、選挙結果では判然としないが、社会民主党の候補者が原発を抱えている地域で、脱原発を訴え当選している。
 
さて、統一地方選挙後半戦は、4月24日投開票で戦われることになる。その結果は、本号では言及できないが、社会民主党の前進に全力をあげなければならない。選挙後は、2011年度政府予算で積み残しの特例法案の処理が待ったなしであり、合わせて「大震災」の復興にむけた第一次補正予算はともかくとしても、第二次補正、第三次補正をめぐっては、与野党の攻防は激しさを増すことは必至である。
 
統一地方選挙での民主党敗北は、これからの菅政権の政局運営に影響することは必至であり、政局は「ねじれ国会」の攻防の中で大きく動くことも予想される。
 
この中で真に国民の「安全、安心の暮らし」を確立する政策の実現、そして人災ともいえる三陸海岸地域の復興と抜本的な津波対策、福島第一原発事故の責任追及と補償、脱原発推進の国民運動、「大震災復興」に向けた国民参加の運動などに全力をあげることが必要である。
 
また、「大震災」で住居を失い、仕事を失った人への緊急に必要な住宅対策、雇用対策、そして学校、道路、港湾、医療、文化施設などライフラインの整備も急がなければならない。
 
巨額の復興費用も大きな課題となるが、第一次補正では4兆円規模になるといわれている。第二次、第三次補正はそれをはるかに超えるものになると予測されるだけに政府、独占資本が目論む安易な増税路線を、国民参加による徹底した合意を抜きに進めることには反対していくことが必要である。
 
こうした「大震災復興」に向けた政策を政府の責任で行わせていくためにも、社民党の党再建論議は待ったなしの現状であり、統一地方選挙総括から党再建の議論に全力をあげることが必要である。
 
(4月20日、記)

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