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●2008年5月号
■ 情勢の特徴と私たちの課題
   社民党副党首・参議院議員 又市征治
   
 

■ 一、参院与野党逆転後の政治動向

(1)昨年9月、参院選に惨敗した自民党は、「調整型政治家」福田康夫氏を擁して福田内閣を誕生させた。福田首相は、民意に沿うような与野党協調ポーズをとり、「生活者、消費者が主役の社会づくり」などを唱える一方で、「構造改革」路線を継続し「日米同盟基軸の外交」を推進すると言明した。
 
これは、決して民意に沿って「格差是正」などを進める意味ではなく、参院を思いどおりにできなくなったから、民主党を抱き込んで、従来の小泉・安倍路線を継続していくという意思表示だ、と私たちは受け止めた。
 
案の定、彼らは凄まじい民主党「抱き込み」策を展開し始めた。まず第1弾は、「衆・参ねじれ国会で政治が動かない」「参院第一党の民主党は政治に半分の責任がある」など責任分担論のキャンペーンである。その上に第2弾が、11月の福田・小沢党首会談での「連立政権に向けた政策協議」の勧誘であった。さしもの小沢氏も一旦はこの提案に乗り、民主党は上を下への大騒動・小沢辞任劇を演じた末、これを断った。もしそうなっておれば、国会は大政翼賛会化し、「憲法改正」の動きは一挙に加速していたであろう。
 
わが党はこの時、民主党に対して「野党の重要な使命は政権とその政策を国民の立場から厳しくチェックすることだ。野党が政府案に対案を持つとしても、それは国会での徹底審議を通して修正を図るべきで、与・野党の国会外の談合・政策協議は国会審議を有名無実化するものだ」と、共闘拒否も辞さずの姿勢で迫り、国民新党も含めてわが党の主張を確認することができた。
 
そして第3弾が年末の「社会保障国民会議」への抱き込みであった。これには、全野党が上記確認に基づき、国会審議の中で問題を徹底審議すべきであるとの観点から、参加しないことになった。

(2)わが党はこうした野党分断策を封じる努力と共に、民主党が参院で第一党になったが過半数を制したわけではなく(民主党統一会派120議席で、過半数に2議席不足)、法案成立のカギをわが党が握っている現実を活かして、国会闘争を進めてきた。すなわち、民意である「格差是正」など国民生活改善に関する法案を野党共同で参院に提出して可決し、与党多数の衆院を牽制して政府にそれを認めさせていく戦術を提唱し、野党共闘を強めることにしてきた。被災者生活再建支援法や政治資金規正法の改正、C型肝炎患者救済法、道路関係暫定税率の失効などはその成果である。また与党の審議サボタージュで進んでいないが後期高齢者医療制度廃止法案や障害者自立支援法見直し法案などもそうである。

(3)ここで若干、政権側のデマ・キャンペーンに反論しておこう。
「衆・参ねじれ国会で政治が動かない」と大宣伝されている。そもそも憲法は二院制を採っており、両院で多数派が異なる「ねじれ」は当然あり得ることだ。本来、政府提出であれ野党提出であれ、衆・参両院での徹底した審議の中で、その法案の不十分な点は修正すべきであり、それが立法府の使命である。しかし、政府・与党はこれまで両院で多数を占めて「無修正」で法案を押し通すことに慣れ、それが「政治を動かす」ことだと思い上がってきた。
 
「ねじれ」の下では、まず政府・与党こそが思い上がりを改め、徹底審議と修正の努力を払うべきなのだ。しかし、守旧派の彼らにその良識はない。新テロ特措法の再議決、日銀人事の度重なる不同意、そして道路関係法案の再議決の動きなどがそれを示している。こう見ると、何としても総選挙でもう一ひねり(与野党逆転)して、「衆・参ねじれ」を解消する他ない。
 
また、「ねじれ国会で何一つ進まない」というのも事実に反する。「与党の審議拒否で進まない」のが実態である。先の国会では前述した法案以外に、最低賃金改正法、労働契約法などの与野党協議も行われた。しかし今国会では、野党共同提出の後期高齢者医療制度廃止や障害者自立支援法見直し法案などは、衆院での与党の審議拒否でまったく進んでいない。彼らは国民に「与野党逆転しても何もできないのだ」と印象付ける戦術である。だから、わが党が主張する「法案を野党共同で参院に提出して可決する」策が大事なのである。

(4)このように、政府・与党と財界の民主党「抱き込み」は成功していないばかりかむしろ対決面が多いが、これからも執拗に続くと見るべきだろう。
 
その狙いは、民主党を自民党と共に保守二大政党の一極として定着させることにある。民主党は、2年前まで「自民党とは(政策の)8割は一致している」、「野党ではなく政権準備党だ」などと表明していた。だが、最も保守であるはずの小沢代表の下で、それが選挙戦術であるにしても、「格差是正」や「国民の生活が第一」などと社民主義的主張を展開して参院第一党に躍進した。だからこそ民主党を一刻も早く体制側に取り込んで、自民党と大差ない政党として囲い込もうというのである。言い換えれば、新自由主義経済政策を推進し、また日米同盟を重視して自衛隊海外派兵恒久法や集団的自衛権行使を認め、改憲を進める側に立たせようということであろう。
 
確かに民主党の中には「自民党でも民主党でも政治家に成れれば」という人々も多いが、参院選挙での社民主義的政策主張は、「格差是正」を真剣に考え、改憲に反対ないし懐疑的な雰囲気と議員を増やしたことも事実だ。これも民意の反映である。これらの議員との有形無形の連携を大事にしなければならない。


■二、格差拡大と必要な社会民主主義政策

(1)輸出産業を中心とする大企業は、五期連続で過去最高益を謳歌している。その要因は、7年に及ぶ小泉・安倍政権・市場経済万能主義の「構造改革・規制緩和」の支援を受けて、雇用・設備・債務の「3つの過剰」を解消するリストラ・合理化を断行してきたことにある。
 
その結果、その利潤を生み出す労働者の所得は、9年連続で低下している。特に、年収200万円以下の人々が4人に1人(1200万人)にも拡大した。そして正規労働者が劣悪な賃金・労働条件の非正規労働者に置き換えられ、その数は全勤労者の3分の1(1740万人、若年者では2人に1人)にも拡大した。
 
また、「国際競争力重視」を標榜する大企業は、中小企業の育成にも冷淡なため、大企業からの単価切り下げや内需停滞と相まって依然倒産が高い水準にある。 こうした状況にもかかわらず、政府は、増嵩する社会保障費を抑制するため毎年2200億円削減して年金・医療・介護を次々と改悪してきた。
 
さらに国の財政軽減のために地方交付税を5兆円も削って福祉・行政サービスを大きく後退させた。そのため地域間の格差はさらに拡大した。特に65歳以上が人口の過半数を占める「限界集落」が急速に増え、全国で7800を超える。
 
9年連続で自殺者が3万人を超え、また凶悪犯罪が増えているのもこうした政治の結果である。
 
このように、「構造改革」と大企業の強搾取は、国民の暮らし破壊のみならず、今や健全な社会の持続的発展さえも阻害していることが明白である。

(2)今日、日本のGDP(国内総生産)は世界第2位の約520兆円で、全人口で割れば1人当たり約410万円=4人世帯で約1600万円の年収という計算になる。しかし、勤労世帯の実際の年収はその40%余りで約700万円しかない。社会全体で生み出した富が大企業・富裕層に大きく偏っているのである。因みに06年を00年と比較すると、人件費は0.99倍だが、企業の内部留保は4.3倍、株主配当は3.4倍にも上っている統計もある。
 
そのため、憲法が保障する国民の権利がどんどん蹂躙されてきている。
 
例えば、憲法二五条は「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と規定しているが、年収200万円以下の1200万の人々からこの権利を奪っている。また、二六条は「すべて国民は、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する」と規定するが、家庭が貧困であるために就学援助を受ける約140万人の子ども達にそれは保障されず、将来の夢や希望を奪っている。そして二七条の「すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負う」という規定は、200万余の完全失業者や多くの非正規労働者に保障されていない。
 
こう見ると、「憲法を守れ」の声を本当に大きくしなければならない。公平な所得分配、大幅賃上げ、減税や福祉拡充などを堂々と求めて当然である。

(3)したがって、いま日本の社会に必要なのはまさに社会民主主義的政策の実施である。だからわが党は、所得再分配の強化(格差是正)を求め、当面、年収200万円以下層をなくす最賃制・時給1000円の実現、派遣労働の規制強化と正規雇用拡大、定率減税の復元、後期高齢者医療制度の廃止や障害者自立支援法見直しをはじめ年金・医療・介護制度の抜本改正、地方交付税総額の復元、中小企業の援助・育成、農林業への戸別所得保障制度確立などを要求している。
 
具体的には、1月末に定率減税の復元と低所得層の飲食料品にかかる消費税の戻し税を中心とする5兆円規模(GDPの1%)の「国民生活改善経済対策」を打ち出し、また生活改善関連法案の野党共同提案を積極的に進め、運動としては「500万人署名」を呼びかけてきた。

(4)こうした要求に対して政府・与党は「財源がない」を常套語にしている。しかし、10年前の大企業や高額所得者への減税や証券優遇税制の廃止(年5兆円余り)、特別会計の余剰資金(約30兆円)、道路特定財源の莫大な無駄遣いの是正、米軍のグアム移転3兆円や「専守防衛」の域を超える軍事費の削減など、いくらも財源はある。問題は、これを自公政権がやろうとしないことである。これを動かす大衆運動・国民運動の強化が求められる。
 
因みに、米国は2月中旬にGDPの1%相当の17兆円減税を打ち出し、商品券を家庭郵送することにした。日本と大違いである。


■三、対米追従から平和創造の全方位外交へ

(1)福田内閣と与党は、1月11日、世論の多数を背景として参院で否決された新テロ特措法を、衆院で3分の2以上の多数で再議決した。これは、参院の審議を無視する参院無用論である。ほぼ同等の権能を持つ衆・参のいずれかで法案が否決されるということは国論を二分するということであり、廃案または修正・再提出が当然なのだが、彼らは57年ぶりにこの暴挙に出た。
 
今やインド洋での給油活動はピーク時の一割程度に落ち、たいした役割でないのに、なぜ政権を危うくしてまで彼らはこんな暴挙を行ったのであろうか。それは、日米同盟を重視するからである。

(2)米国が求める同盟の中身は、『アーミテージ報告』(2000年10月、正式には「米国防大学国家戦略研究所(INSS)特別報告」)に明快だ。それは、この『報告』の中で「われわれは、米国と英国の間の特別な関係を、米日同盟のモデルと考えている。 そのためには、次のような要素が必要である」として、「㈰アメリカの三軍すべてと日本の全自衛隊との力強い協力、㈪平和維持・人道的救援活動への(自衛隊の)全面的参加、㈫用途が広く、機動性、柔軟性、多様性に富み、生存能力の高い軍隊づくり、㈬米日のミサイル防衛協力の範囲の拡大」など六項目に明示されている。 自公政権は、これをなんとしても守ろうとしたのである。

(3)このように、自公政権は米国の要求に応えて、01年9月の米国テロ事件を機についに自衛隊の海外派遣に踏み出した。しかしこれは、「専守防衛」の国是を踏み外し「現状の自衛隊は明らかに違憲状態」(社民党宣言)との広範な批判を招くことは当然であった。
 
そこで安倍前内閣は、「戦後レジームからの脱却」を掲げ、防衛「省」昇格、教育基本法改悪、自衛隊を米軍に従属させる在日米軍再編特措法などを次々強行し、さらに憲法そのものを2010年までに改悪してしまおうと改憲国民投票法をも強引に押し通したのである。
 
安倍内閣の後を継いだ福田内閣は、ギラギラした改憲姿勢は手控えているが、何とか民主党を抱き込んで集団的自衛権の行使容認や自衛隊の海外派兵恒久法制定の機をうかがっていることに変わりはない。

(4)日本はいま、日米同盟に傾倒し、アジアにおける英国の役割を引き受けて「戦争のできる国」に突き進むのか、それとも平和憲法を活かして「平和の21世紀を創造する旗手」の役割を果たしていくのかの岐路に立っている。
 
もとより社民党は、一貫して後者の立場で奮闘してきた。21世紀に入り、これをさらに進めるために「平和創造政策」を打ち出した。その中で、(a)北東アジアに信頼と協調による多国間の総合安全保障機構を創設(当面、日本、韓国、朝鮮、中国、モンゴル、ロシア、カナダ、アメリカを想定)し、この地域に国際紛争が生じた場合は平和的話し合い、武力不行使を前提とする。(b)北東アジアの非核地帯化の共同宣言を実現する(当面、日本、韓国、朝鮮、モンゴル)。(c)この進展に対応して日米安保条約を平和友好条約に転換する。また在日米軍基地を縮小・撤去していく。(d)肥大化した自衛隊の規模や装備は、当面、領海・領空・領土を越えて戦闘する能力を削減し改編・縮小する(将来的に、国境警備、国土防衛、災害救助、国際平和協力などに改編)」…などを提唱してきた。
 
わが党の野党外交で、この「北東アジア総合安全保障機構」構想は中国、韓国、モンゴルの賛同を得てきた。その結果、2005年の『六か国共同声明』の第四項に、中国の努力で「六か国は、北東アジア地域の永続的な平和と安定のための共同の努力を約束した。…六か国は、北東アジア地域における安全保障面の協力を促進するための方策について探求していくことに合意した」の文言で結実した。社民党なればこその大きな成果である。さらにこれを大きな世論に高めなければならない。「対米追従一辺倒から平和創造の全方位外交へ」を次期総選挙の大きな争点にしなければならない。


■四、解散含みの直近の国会情勢

(1)福田内閣発足から7カ月、政治の混迷は目を覆わんばかりだ。ふり返ると、福田内閣の前半の約3カ月は、新テロ特措法強行のために2度も国会を延長し、参院での否決を無視して衆院での再議決に汲々としただけだ。そして後半の約3カ月余りは、道路特定財源とりわけ暫定税率の維持に固執し、これまた衆院で再議決することに右往左往してきただけである。
 
この間、(a)株安と円高、原油・物価高から国民生活を守る施策を何一つ打たず、(b)「宙に浮いた」5000万件の年金記録の約4割は特定できず公約違反が明確となり、(c)防衛省の贈収賄事件やイージス艦事故は「国防組織」たり得ない体質を露呈し、(d)日銀総裁人事をめぐる混乱では首相官邸の無能ぶりを明示し、(e)後期高齢者医療制度のお年寄りいじめが浮き彫りになるなど、「政治不在」の体である。内閣の支持率は軒並み20%台に急落し不支持率は50%台後半で、一定の政府危機に陥っている現状だ。

 

(2)わが党は、今国会では、(a)国民の暮らし底上げの「5兆円規模の緊急経済対策」を提唱し、(b)野党共同で国民生活改善の諸法案を提出し、(c)「宙に浮いた」年金記録の照合には早急な全市町村の協力を求め、(d)後期高齢者医療制度の廃止を迫り、(e)道路財源の莫大な無駄遣いを追及しつつ「中期計画」の大幅縮減と暫定税率の廃止に向けた見直しを求め、㈮防衛省問題では事件・事故の真相解明と隠蔽体質や防衛利権を追及するなど、奮闘してきた。そしてただ漂流し続けるだけの福田内閣に解散・総選挙を求め、野党共闘を強めてきた。

(3)本来なら、衆院解散か内閣総辞職になってもおかしくない状況だが、福田内閣は、国民の要求に何一つ応えず、ひたすら衆院での与党3分の2体制にしがみつき、かつこれを維持することに汲々とし、この後、4月末には道路特定財源の歳入諸法案を、そして5月中旬には10年間・59兆円にのぼる特定財源を維持する財源特例法を、それぞれ衆院で再議決しようとしている。
 
合わせて、民主党が日銀人事で不透明な態度をとり、また道路特定財源の暫定税率廃止で大衆迎合的に「ガソリン25円値下げ」にこだわって具体的修正を逃がすなど、自ら支持率を低迷させて、国民に「与野党どっちもどっち」と印象付け、福田内閣を追い詰め込めなかったこともある。
 
だが、福田内閣の支持率は下がる一方で、衆院山口二区補選の勝敗、防衛省の贈収賄事件の政治への波及など、何が起こるか「政治は一寸先が闇」である。機を得た総理大臣問責決議の提出・可決から内閣総辞職、そして自民党総裁選から解散・総選挙に突き進む可能性もなしとはしない。


■五、「2桁議席獲得」に全力を

(1)参院の与野党逆転を踏まえ、次の総選挙は、「政権交代」が最大の焦点となる。マスコミはこぞって自民党か民主党か、二者択一を国民に迫るであろう。
 
以上のように、自公連立政権は、市場経済万能論に立って大企業の国際競争力を強める「構造改革」を押し進め、また憲法を改悪し「戦争のできる国」に突き進むことを基本としているのだから、何としてもわが党が伸びることを含めて与野党逆転を果たし、これを倒さなければならない。

(2)社民党は、国民生活向上や改憲阻止の国民運動が大きく後退させられている今日的政治情況の下で、野党第一党の民主党が「格差是正・国民生活改善」を、また「テロ戦争」やイラク戦争反対(つまり憲法九条擁護)を掲げる限りにおいて、積極的に共闘して政府に対決する立場をとってきた。だが、一致できなければ、先の新テロ特措法に対する民主党案にも反対し、また先の「連立政権に向けた政策協議」などでは毅然と注文も付けてきた。このように、民主党に「勤労国民の側に立て」と迫る社民党の存在と役割は重要であろう。

(3)だが、民主党の政策や姿勢にはいろいろ問題がある。確かに「格差是正」を叫ぶが、それはたぶんに選挙戦術であろう。もし、本気に格差是正が必要と言うのであれば、50人以上の企業の賃金平均に過ぎない公務員賃金について「2割削減」を主張することは勤労者全体の一層の賃下げをもたらす誤りだし、また福祉・行政サービスを切り下げる「市場化テスト」「指定管理者制度」に賛成することや「300自治体への統合」論も問題だ。
 
また「テロ特措法」に反対しながら、国連決議があればISAF(国際治安支援部隊)に参加するとか、自衛隊の海外派兵恒久法を検討するなどはまったくの矛盾であり、憲法違反だ。ここに保守政党としての馬脚が見え隠れする。
 
民主党のわが党に対する現在の一定の配慮と対応も、基本的には参院での過半数確保と総選挙での与野党逆転のためであろう。だから総選挙後の自民・民主の「大連立」の懸念も払拭できない。

(4)今日の日本で、国民生活の改善を真剣に追求し、平和国家としての発展を希求するならば、「平和・自由・平等・共生」を基本理念とする社会民主主義的政策の実施が不可欠であり、その旗頭である社民党の前進がどうしても必要だ。前進してこそ、よい意味で民主党を牽制できるし、その上に自民・民主の保守二大政党が無視できない第二極への前進も展望できる。
 
そのためにはわが党が、当面する総選挙で「2桁の議席獲得と得票増」をなんとしても勝ち取らなければならない。07年参院選の敗因(主要には、公認候補の不足と事前の準備活動の遅れ、組織力量・財政力や日常的宣伝力の低下など)を踏まえ、各県で最低1人以上の候補者を擁立し、500万票獲得に向けて「5000カ所演説会」や「500万署名」など事前運動を従来以上に強化する必要がある。
 
これを基本に、社民・民主両党が協力すれば与党の議席を奪取できる条件のある一部の選挙区では「すみ分け」などで確実に議席増を実現しなければならない(1対複数では比例票が拡大できないことに留意)。党の存亡と使命を賭して、「2桁の議席獲得と得票増」に全力を傾注しよう。
 

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