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●2008年2月号
■ 臨時国会から通常国会の焦点
   社民党国会対策委員長 日森文尋
   
 

■1、参議院における与野党逆転下の臨時国会

参議院選挙では、わが党は3議席中1議席を失うという大変厳しい結果となった。しかし民主党が大勝し、与野党の勢力が逆転し、新たな政治状況が生まれた。

辻元清美政審会長代理が本誌昨年10月号で述べているように、社民党は議席を減少させたが、民主単独では過半数を制することはできず、社民党が加わってはじめて過半数になるため、社民党の役割は以前と優るとも劣らない重要性を持つようになったといえる。

参議院選後、早速、阿部知子政策審議会会長のもと、野党協議を行うテーマについてペーパーをまとめた。項目的には、「国民生活向上・格差是正」、「人権擁護」、「政治とカネ」、「外交・安全保障」、「憲法」が協議の対象としてあげられた。これらのテーマについて本格的な協議が行われたわけではないが、一定のテーマについては民主党との間で協議が行われた。

また参議院における与野党逆転という情勢を背景に、与野党協議のなかで被災者の長年の要求であった住宅本体への支援を認めた被災者生活再建支援法一部改正、国の責任を認めカルテや投薬証明が残っている被害者を対象としたC型肝炎患者救済法が実現した。

さらに政治とカネの問題では「政治資金規正法改正問題に関する与野党協議会」が設置され、そこでの協議をとおして不十分なものではあるが政治資金規正法の一部改正案を成立させることができた。これによって国会議員関係の政治団体については、1円以上のすべての支出(人件費を除く)の領収書等について道を開くことができたと評価できる。

衆参において多数派が異なることを「ネジレ現象」と表現し、何か異常な事態としてとらえる意見もある。しかしその時々の政治情勢により選挙によって民意が異なることは、当然のことである。重要なことは政治が、つねに民意にそって行われるべきであり、「新テロ特措法」の扱いに見られるように衆議院の優位性をもって国政を運営することは許されない。

予算案には衆議院を通過した後には自然承認が認められており、他の法案も参議院で否決されても衆議院での3分の2による再議決の道が残されている。これに対しいわゆる同意人事は参議院で否決された場合は、それが最終結論となる。この臨時国会でも同意人事案件があり、民主、国民新党と社民党が反対し、3人について不同意となった。これまで同意人事についての国会のチェック機能は形骸化しており、参議院での新たな状況を踏まえその機能を強化することで与野党間において一定の合意が見られたことは評価される。

先の通常国会で憲法改正のための国民投票法が自民・公明の賛成で成立した。それに伴い、衆参両院に憲法改正原案を提出する憲法審査会の設置が決まった。しかしこれまた参議院選挙の結果により、審査会の員数、議事手続等の詳細を定める『衆議院憲法審査会規程(仮称)』が制定されておらず委員の選任もされていない。つまり国民投票法は成立したが、憲法審査会はいまだ始動していない。民主党は基本的には改憲論議には前向きな姿勢をとっているので、社民党から民主党に積極的に働きかけ、調査会の始動を阻止することは、重要な課題だと認識している。

臨時国会においては大連立へ向けた動きも表面化し、また国会審議を無視し、民主党を密室協議へ誘い込む自民党の働きかけも陰に陽に行われ、参議院における与野党逆転が必ずしも国会機能の強化にプラス面をもたらしただけではないこともはっきりしてきた。現在の状況は、一種の綱渡り状態といえなくもない。国会機能の強化のために、野党共闘を粘り強く推し進めていくことが重要である。


■2、吹き上げた防衛省の腐敗と「新テロ特措法」審議

臨時国会における最大の攻防は、いうまでもなく「新テロ特措法」であった。また同時並行的に防衛省の企業との構造的な癒着が明らかになり、審議に大きな影響を与えた。

今年の1月で防衛庁が防衛省に昇格して1年になった。この1年に海上自衛隊イージス艦の情報流出、守屋前事務次官と業者の癒着、商社の水増し請求が発覚し、新テロ対策法の審議過程では給油量に関する情報隠蔽も明らかになった。大臣も3人代わり、ボロボロの船出としか言いようがない状態がつづいている。

また守屋前事務次官と業者との癒着解明のなかで、多数の国会議員が名を連ねている外務省所管の(社)日米平和・文化交流協会の存在がクローズアップされた。そこを窓口とした国会議員と日米の防衛産業の結びつきも、明らかになりつつある。

守屋前事務次官をめぐる贈収賄事件に端を発した捜査は終局しておらず、政界へ広がりを見せるかは未知数である。いずれにしてもこのような防衛省が主導的な役割を果してきた、そして果していく旧・新テロ特措法は、その審議の前提条件が整っていないといっても過言ではなかった。実際、給油量の隠蔽、対イラク戦争への流用問題等、まともな答弁はできずじまいであった。


■3、許されない「新テロ特措法」再議決

臨時国会における最大の攻防は、いうまでもなく「新テロ特措法」であった。また同時並行的に防衛省の企業との構造的な癒着が明らかになり、審議に大きな影響を与えた。

今年の1月で防衛庁が防衛省に昇格して1年になった。この1年に海上自衛隊イージス艦の情報流出、守屋前事務次官と業者の癒着、商社の水増し請求が発覚し、新テロ対策法の審議過程では給油量に関する情報隠蔽も明らかになった。大臣も3人代わり、ボロボロの船出としか言いようがない状態がつづいている。

また守屋前事務次官と業者との癒着解明のなかで、多数の国会議員が名を連ねている外務省所管の(社)日米平和・文化交流協会の存在がクローズアップされた。そこを窓口とした国会議員と日米の防衛産業の結びつきも、明らかになりつつある。

守屋前事務次官をめぐる贈収賄事件に端を発した捜査は終局しておらず、政界へ広がりを見せるかは未知数である。いずれにしてもこのような防衛省が主導的な役割を果してきた、そして果していく旧・新テロ特措法は、その審議の前提条件が整っていないといっても過言ではなかった。実際、給油量の隠蔽、対イラク戦争への流用問題等、まともな答弁はできずじまいであった。

参議院選挙の結果を受け、新テロ特措法は当初から審議の難航は予想されていたが、結局、参議院での否決を見越し、政府、自民・公明は臨時国会を越年延長し衆議院での3分の2による再議決の道を選択した。

経過からいえば、既述のように防衛省の腐敗、疑惑解明が進まないなかでは、参議院における審議未了・廃案が筋であったといえる。しかし、自民・公明が再議決を既定路線としている以上、参議院としての結論を明確にする必要があり、参議院での採決、否決となった。

この過程で民主党が対案を参議院に提出し、対案とのセットで新テロ特措法の継続審議という意向も民主党にあった。その主観的意図は別として、社民党としては政府案にたいしても、自衛隊の海外派兵のための恒久法制定への道を拓く民主党案にたいしても、継続審議などという選択肢はありえなかった。

自民・公明党は、衆議院での再議決について憲法で定められているのだから、当然のことであると主張している。

しかし直近の世論調査では概ね給油活動の再開に反対の意見が賛成を上回っている点や、直近の民意は参議院選挙の結果に示されていることを考えるならば、最初から衆議院での再議決を予定した国会運営は到底許されるものではない。とりわけ同じく憲法で定められている参議院との協議の場である両院協議会の設置をすることなく、いきなり再議決を行ったことは二院制の否定といわざるを得ない。


■4、国民生活を無視しつつ、支持率上昇に奔走する福田政権の政治姿勢

発足当時こそ支持53%、不支持27%(朝日新聞調べ)であった福田内閣も、年金記録問題で支持率を急落させた。

昨年12月11日に枡添厚労大臣が「宙に浮いた年金記録」5000万件のうち、1975万件が特定困難と発表し、それまでの内閣の公約、「最後の1人まで記録をチェックし、支払うことを保証する」(安倍前総理)を福田総理は「公約違反というほど大げさなものか」と、いとも簡単に投げすてたのである。町村官房長官も、「選挙中だから『年度内にすべて』と縮めて言ってしまった」と平然と発言した。これは国民生活の実態を省みない福田政権の政治姿勢の一端を示している。

福田政権は、当面、解散を許されない政権である。当面とは、衆議院での現有議席に限りなく近い議席の確保の目途がつかない限りということである。支持率をなるべく上昇させることが、彼の基本的課題である。したがって彼は、年金の公約問題に関しては陳謝し、さらにC型肝炎被害者の救済に関しても議員立法という逃げ道でこれ以上の支持率の低下を食い止めようとしたのである。

被害者の必死の訴え、それを支持する広範な世論、野党の要求により、原告団によって「命の線引き」とも呼ばれた同じ被害者でありながら差別する政府の当初の和解案に代わり、国の責任の明確化、一律救済を定めた議員立法が行なわれた。このこと自体は、運動の成果として高く評価しなければならない。

しかし今回の救済法案では、投与の事実が証明される被害者の救済に限定されてしまう。カルテがない、病院が閉鎖された、担当だった医師と連絡がつかない等の患者は救済されない。さらに、血友病等の先天性疾患の患者も製剤投与は有用だったとして、肝炎にかかっても救済されない。つまり基本的な問題には、手がつけられていない。

同様なことは、後期高齢者医療制度の取り扱いにもいえる。75歳以上の高齢者を他の世代と分離し、独立させた医療保険制度の創設は、年齢による差別的な医療、医療サービスの地域間格差の拡大、保険証の取り上げなどによって、いつでも、どこでも、だれでも医療が受けられる国民皆保険制度の崩壊を生じかねないものである。とりわけ75歳以上の高齢者200万人には新たな保険料が生じ、70〜74歳の窓口負担は1割から2割負担に上昇する。

この新制度にたいし各自治体で議論され、具体化されるにしたがって高齢者を中心に不安が高まっている。あわてた政府は、負担の増大を08年は限定的であるが削減・凍結することを決定した。この2年の意味は何か。選挙が予想される期間だけは、負担を軽減するという意味である。小手先というか、姑息な手段としか言いようがない。

独立行政法人の整理合理化計画についても、住宅建設に対する公的責任を完全に放棄するとして、旧公団住宅の住民から強く反対されていた都市再生機構、住宅金融支援機構の見直しも結論を2〜3年先送りとした。福田政権を、「先送り内閣」と名づけたいほどである。


■5、通常国会を取り巻く経済・社会情勢

アメリカのサブプライム問題によって世界的に広がる景気後退の懸念は、大きくなっている。また原油価格の高騰がもたらす日本経済への影響も、ガソリン価格の高騰から食料品価格の高騰へと広がっている。

これらの問題と同時に忘れてはならないのが、「いざなぎ景気」を超えるといわれている現在の景気拡大が多くの国民が実感できない、つまり個人消費が拡大せず、景気が従来のような本格的な景気上昇の波にのれないという深刻な事態である。

さすがに経団連も昨春から賃上げ容認の姿勢を見せはじめ、今年は、「我が国の安定した成長を確保していくには、企業と家計を両輪として」と、その経済的意義を強調せざるを得なくなっている。マクロ的には賃上げによる内需拡大が求められているにもかかわらず、ミクロ的には企業間競争の激化により業績を上げられるのは一部の企業に限られ、一部通信関係の労組は経営環境の悪化により賃上げ要求の自粛を決定する事態になっている。

国民所得の配分の不均衡は格差問題として表面化し、景気回復局面として位置づけられてきながら外需依存の日本経済の脆弱性が指摘され、その上に立って内需拡大の必要性が訴えられてきた。しかしそれを克服できない企業経営、日本経済の実態は、単なる労使関係の問題にとどまらず、日本経済全体の深刻な問題としてとらえるべき時期に入りつつあるのではないか。

そのような情勢の下で、もはや格差ではなく貧困が問題となりつつある非正規労働者の労働・生活実態、それに影響を受けた正規労働者の労働・生活条件の後退を放置する労働法制、さらには財政再建の名の下に進められてきた医療費削減のあおりを受け、助かる生命も助からない救急医療の崩壊等をもたらした医療政策、これらは明らかに政府の責任である。これらの政府責任を追及し、勤労者の労働・生活条件の再建路線を明確に打ち出すのが通常国会の課題である。


■6、通常国会の課題

政府予算案についての分析も、簡単に触れておきたい。

政府原案が閣議決定されたときの党見解でも示されているように、「賃金増加を伴わないまま、原油高騰はじめ物価上昇が進み、生活の困難をもたらしている」のが現状である。したがって、「格差是正と国民生活の安全・安心の予算が求められていた」といえる。

政府は、政府・与党内の意見を折衷する「成長と改革の予算」(額賀福志郎財務相)と説明している。一方で解散含みの政治情勢では格差是正に向けたポーズをとる必要もあり、「ジョブカード」制度の創設などを打ち出したが、それ以上のものはない。他方では財政再建を大義名分として歳出削減をすすめている。小泉政権以来つづけられてきた社会保障費の自然増分2200億円が今年も抑制された。医療保険改悪の影響などで08年度の家計負担は、1兆円増になるとの試算もある。

参議院選挙における与党の敗北を招いた原因の1つといわれる、地方の疲弊にたいする対策もきわめて不十分である。「地方の元気再生事業」や「地域力再生機構」が目玉といわれている。しかし地方の疲弊は、基本的には財政格差是正機能をもった地方交付税が、この間5兆円以上削減されたことによって加速されているのであり、地方の共有財源である地方交付税の復元・増額こそが求められている。

全体としては選挙を、意識し一般歳出が2年連続して増大した結果、「財政再建」はさらに困難を増し、さらに09年度からの基礎年金の国庫負担を引き上げなければならないこともあいまって、消費税率の引き上げが射程距離に入ったことを示している政府予算案である。

通常国会では冒頭、補正予算案が審議され、その後、本予算案の審議に入る。予算案は衆議院が先議権をもち、衆議院が可決をすれば30日後にはいわゆる自然承認となる。したがって2月末までの衆議院通過を政府は目指している。これに対し予算関連法案は、このような自然承認は認められていないので、参議院が否決した場合、あるいは60日以内に採決が行われない場合は、新テロ特措法案のように衆議院での再議決が必要となる。

このため通常国会で注目を集めているのが、税制関連法案であり、とくに3月31日で失効するガソリン税の暫定税率が焦点となっている。政府・与党案は、59兆円の道路整備を前提に暫定税率を10年間延長することを目指している。民主党は、道路特定財源の一般財源化、暫定税率の廃止をすでに決定している。

社民党は従来から、「道路財源を含む道路特別会計と航空機燃料税を含む空港整備特会、港湾整備特会を一本化し、交通関係の社会資本整備や公共交通維持を総合的に推進するための、『総合交通会計』制度の創設」を主張してきている。その意味で、民主党の一般財源化については異論がある。また暫定税率の廃止についても、地方に交付される1兆円の財源がなくなること等の影響、地方によっては道路整備が十分ではなく、住民要求として道路整備が求められていることも十分に考慮すべきと考えている。他方、暫定といいながら30年以上も維持されている不合理さや、与党の道路族の利権確保のために道路建設ありきで、十分な吟味なく59兆円の道路整備を決め、それにあわせて暫定税率を10年も維持するというのも許しがたい。また最近の原油価格の高騰が、国民生活に深刻な影響を与えていることにも留意しなければならないと考える。

党としては、「総合交通会計」制度の創設を求めつづけることを前提にして、暫定税率については、廃止の方向で検討する一方、交通政策全般の建て直しを行い、新たな制度設計について国民的議論を行う必要があると考えている。

この問題は、地方バス路線の維持、駅舎のバリアフリー化、鉄道の安全輸送の確保等の政策問題であると同時に、税金を官業の利権の巣として維持しつづけ、参議院選挙の結果を無視し、解散・総選挙を避け、居座りをつづける福田政権を放置するのかという政治問題として位置づける必要がある。

通常国会では、他に労働者の貧困化を推し進めてきた労働者派遣法の抜本的見直しを求めていくことが重要である。具体的には直接雇用、無期限雇用が原則であるとの「雇用の原則」を法律に明記すること、派遣が認められる業種の抜本的見直し(99年時前の規制に戻る)、日雇派遣の禁止、派遣先の雇用責任を明確化する、マージン取得率の規制等である。

またこの間影を潜めていた憲法審査会を始動させる動きが、通常国会では民主党の一部議員を巻き込んで活発化する可能性がある。会期末近くに超党派の元・現職議員で組織されている「新憲法制定議員同盟」(中曽根康弘会長)が国会議員318名の署名を集めて衆参議長に憲法審査会の立ち上げを求めた。議院運営委員会においても自民党側から、始動をめざす動きがみられる。憲法改正を公約に掲げた安倍政権の退陣、解散含みの国会情勢が続いていることによって、憲法改正議論の機運が遠のいたようにも見えるが油断はできない。


■7、福田政権を解散・総選挙に追い込む

政府・与党が解散・総選挙に追い込まれることになれば、政権交代が実現するかどうかは別として、現在の情勢では議席の3分の2を確保することは大変困難といわざるを得ない。そのためにすでに述べたように福田政権は解散を避けようと、支持率の低下を防ぐあらゆる手段をとると予想される。

しかし予算関連法案をめぐる再議決により、参議院において内閣の問責決議が提出される可能性も高く、それが解散・総選挙への引き金となるかもしれない。あるいは世論の動向しだいでは、問責決議にも頬かむりして逃げ切る可能性もないとはいえない。いずれにしても解散・総選挙含みの国会情勢が、続くことになる。

政権選択の選挙として位置づけられる次期総選挙は、参議院選挙につづき社民党にとって大変厳しい選挙になると予想される。政権選択が仮に実現したとしても、大連立政権構想が一時浮上したように、そのことによって国民生活の向上が保障されることはなく、社民党の存在こそが大連立政権構想に歯止めをかけることができることをしっかりと訴えていかなければならない。そのためにもすべての労働者の労働・生活条件回復の道筋を示す政策を立案し、しっかりとした選挙闘争を担える党組織の建設に邁進する必要がある。その意味で12月に開催された党全国大会は、それに向けた足がかりを得たといえる。


■8、前進への萌芽見せた党全国大会

昨年12月22〜23日の両日、総選挙準備を加速させるために党全国大会が繰り上げて開催された。

大会前に党首選挙が実施され、福島みずほ現党首以外に立候補者がおらず福島党首の三選が決定されており、大会で確認された。大会冒頭、党首は3期目の目標として「いのちと暮らしを守ること」、「衆議院選挙での勝利」を掲げ、積極的に平和をつくっていく社民党の使命を強調した。

大会討論では統一自治体選挙、参議院選挙闘争の総括、地域での党活動、政策問題等について発言があり、とりわけ若い代議員の発言が目立ったといえる。

党員、党支持者の高齢化が指摘され、若い世代の育成がこの間、強調されてきたが、辻元清美女性青年委員長のもと各県連合は統一自治体選挙で積極的に若い人の擁立を追求してきた。選挙だから勝敗は様々であるが、そのなかで次の時代の社民党を担う世代が着実に増えてきていることを感じることができた。

発言内容としては、既述のとおり2つの選挙の総括、運動課題として反原発、格差、米軍再編・基地強化に反対する運動、後期高齢者医療制度、医師不足問題、公立保育園の民間委託に反対する自治労運動等々、広範囲にわたった。これは全国政党として当然のことで、それぞれの課題での自治体議員、党員のがんばりが際立ったといえる。

次の総選挙が政権選択の選挙として位置づけられ自民、民主党の激しい選挙戦に社民党が埋没するのではないかいという危機感も表明された。しかし同時に自民、民主党では代表できない勤労者の利益が現実に存在し、それを代表するのが社民党だという確信も代議員全員が共有していると言える。

今回の大会では役員人事が行なわれ又市幹事長が副党首に就任し、重野安正国対委員長が新たに幹事長に就任する等の役員変更があった。

社民党が全国政党として活動できるのは、国会議員の存在も大きいが、地域・職場で、党員が所属するそれぞれの組織で献身的に活動をしているからこそである。こういった党員を信頼し、現場の声に耳を傾け、党活動に活かしていけば党の展望も開けていくと確信している。

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