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●2007年12月号
■ 憲法が保障する「国民の権利」に依拠して、国会で闘いたい
  ――重野安正・社民党国会対策委員長に聞く
 

■ 国の方向性が、国会以外の場で動かされるのは問題

編集部 参議院選挙後の国会情勢について、社民党の国会対策委員長としてご苦労されているお立場から見えるものをお話しください。

重野 わが党は参議院選挙では敗北したと率直に認めなければならない。一方で民主党は大躍進です。それによって、自民、公明の与党に対して、民主、社民、共産、国民新党の野党という枠組みの中では、野党のほうが多くなったというのは、画期的なことではあります。参議院では野党が統一できれば、法案が通るということです。しかし、衆議院では小泉さんの郵政解散によって、自民党が大勝利し、憲法改正を発議するに足る数を擁しているわけです。そういう意味ではまさにねじれ国会です。そのなかで、わが党が果たせる役割を考えていかねばならない。

編集部 民主党の大勝は、国民の付託が預けられたということ、自民党政治への批判ということだと思いますが

重野 そこは判断が難しいところです。社民党の政策よりも民主党の政策を選択したのか、とりあえず対抗できうる勢力・民主党ということで選択したのかです。どちらもあるんでしょう。

編集部 いずれにせよ、国民が期待していたわけで、それを裏切る形で小沢氏が福田政権との連立を模索したことは、問題だと思いますが。

重野 唐突ですよ。中曽根氏と渡辺氏が話して、それに森喜朗氏が加わってなどと推測されていますが、連立の話がどこから出たのかがある。推測のように、個人が仕掛けたことに、二大政党の党首が動いたのだとしたら、国会という場の上にもう一つ仕掛けがあることになります。
 
民主党が、参議院選挙の大勝利を受けて、次の衆議院選挙でも勝利していく、という筋道をたてるのは当然です。ですが、次回の衆議院選挙だけで、勝利して政権を担えると考えたとすれば、僕は懐疑的です。これだけ圧倒的議席の差があるのを一回だけで逆転できるはずがない。参議院は六年間続くのですから、そのスパンのなかで、少なくとも二回の総選挙はある逆転状態と思いますので、勝てる戦略をたてるということがふつうでしょう。
 
小沢さんが政権逆転の構想をどんなふうに考えているのかが今ひとつ分からない。言い訳かもしれないが、「次の総選挙で政権交代できるとは思わない、だから連立を考えた」というのは飛躍ですよね。
 
民主党の議員のなかには出身が元自民党という人も多いわけですから、連立をすれば先祖がえりする議員も出てくるかもしれない。小沢さんは少なくとも野党の党首なんですから、けじめが欲しい。われわれとしては連立は絶対に認められない。結果的に民主党は連立を拒否したので、野党第一党としての良識はあったのかなとは思います。

編集部 連立を否定されて辞意を表明した小沢さんが党首であり続けるというのは、国民には分かりづらい話だと思われますが。

重野 「小沢さんに非は無い」としたのは分かりづらい。しかし、現在の民主党には小沢さん以上の党首はいない、敵にはしたくない、ということでしょう。 なんといっても衆議院では圧倒的与党に対し少数野党ですから、結束していかねばなりません。その野党の要が民主党であることは間違いないわけで、民主党がまとまったのはよかったと思います。
 
それにしても、11月10日までにテロ新法を通す、通さないとやっているときに、3、4日とはいえ、空白が出来たことは、自民党に余裕を持たせ、マイナスでした。

■テロ特措法をめぐる民主党の姿勢への疑問も

編集部 民主党のテロ特措法へのスタンスは社民党とは距離がありますね。

重野 民主の議員の中には、「こういう法律は必要だ。問題は中味だ」という議員もいるわけですから、われわれとは違います。小沢さんも国連軍への参加、NATO中心のISAFには参加するという。これは武力行使を伴うわけで、自衛隊に戦死者がでるかもしれない。さすがに民主は舵を切りました。アフガン支援は民生安定にすべき、水、道路、住宅建設などが必要で、民もそのほうが喜ぶというわれわれの認識に近いものを盛り込んだ法案を提出するようです。
 
ISAFに参加して、「この作戦には参加しない」などということはできるはずもなく、それよりも我が国とアフガンとの関わりにおいて、世界の国からどう言われるかなどは気にせず、アフガンの復興に貢献する方法を取ればいい。それが平和憲法をもつ日本の関わり方でしょう。
 
この種の問題の評価は時間が掛かると思う。アメリカやイギリス等から評価されなくても、当事国の方々から感謝されることを実践しながら、「我が国がもつ固有の憲法、我が国が何をするのか示している憲法に則ったかかわり方はこうなんだ」ということを粘り強く世に問うていくことだと思います。今回の行動だけで国際的な評価を得ようと思っても無理です。
 
アフガンの方々が、日本がテロ対策で給油活動をしていたなんて知っていると思いますか。それがアフガンと何の関係があるのかと言われるだけでしょう。アフガンでは毎日、出兵している兵士も死ぬし、自爆テロで200人もが巻き添えになるような事態が続いているわけですから、そういう情勢の中でアフガンの人々が必要なことを援助するのが基本でしょう。
 
われわれは国内で「憲法をくらしに生かす」と言っている。そういう思想を活かすことです。憲法は国の基です。だから憲法に照らして物事を考えていけば、国際社会における我が国の在り様というのは認知されていきますよ。役に立つ技術資金は持っているのですから。

■ 憲法に則った権利を自らのものにする

編集部 国際関係のありようでは力強い提言をいただきましたが、国内問題ではどうでしょうか。福田内閣になっても、労働法制の規制緩和が続いていますが。

重野 私が法案審議のなかで感じるのは、使用者側の力が労働者側に比してはるかに越えているということです。そのなかで、連合労働運動がOKするものについては、労働運動との政治パワーを結合させていかなくてはならないので、整合性をもたせるとかしつつ、賛成しているものもあります。
 
それにしてもこの間著しくでているのは労働法制の規制緩和です。非正規雇用の増え方は尋常じゃない。民間企業においては正規を非正規に置き換えているでしょう。それは単に当該企業の労賃を切り下げるだけに止まらず、流れのなかに放り込まれた労働者は完全にセーフティネットをはがされた状態になります。経営者は株主にいかに高配当するかということばかり考えていて、パイを労働者に分けるということをしなくなってしまった。事実、株主配当は増え続けています。
 
かつては社長が家長で、働く労働者は子どもたちだから守らなくちゃいかんというのがありました。ところが小泉政権以降、規制緩和路線を明確に打ち出してきたために、かつては社員を大事にしていた経営者たちまでもが、自分たちだけやるのはバカらしいと考えるようになってしまった。家族を持っているのに年間300万円に届かない労働者が増えているじゃないですか。誠に不安定な形で働いている労働者が、3分の1になろうとしている。
 
そういう流れに歯止めをかけるのは、労働組合は頑張らねばならないが、同時に法による調整機能を働かせねばなりません。弱いものを守るのはガバナンス、国や地方公共団体がある種の規制をかけて、守らないといけない。そうでないと労働者は限りなく搾取されていくんです。
 
小泉政権から安倍政権へと規制緩和が続いた中で、この国の多くの労働者が被害者になっている。そういう現状認識を持つことが大事です。
 
8時間労働というのは世界の常識なんですよ。8時間だって長すぎる。時間外にもっともっと割り増しをつけるのは当然でしょう。最賃制は、連合の方から要請もあり通すことにしました。
 
労働法制に関しては、国の関与をどんどん減らしている。労働組合の組織率が低下するなかで、一方の経営者側は経営者協会とか、経団連とか、あるいは業種別、企業別に年中集まって団結しているわけですから、労働者は野獣の群れの中にバンビが飛び込んでいくようなものです。野党は、労働組合と労働者を結ぼうと団結しているんですが。大企業も中小企業もそれぞれに塊を作って、経営者は統一的な訓練を受けているわけで、労働者は野放し状態、組織しないほうが悪いと言われるかもしれませんが、非力です。
 
国民が、憲法を自分のものにしていれば「これはおかしい」となるはずなんです。が、この国はあまりにも憲法を教えなさ過ぎる。英語とか数学とかいう前に、この国の規範たる憲法をしっかり自分のものにしていれば、もっとノーマルな国になっているはずです。憲法は9条だけではないんです。全部言っているんです。権利義務も書いてある。国からは義務ばかりが強調されているが、権利をもっともっと主張していいんだと思います。
 
「社民党はまだ憲法のことを言っているのか」とよく言われますが、私は「よく考えて欲しい。憲法のことがほんとうに分かっているのか」と問い返します。「労働組合がある人はいい」「公務員はいい」と言う前に、「あなたも1個の人間でしょう。憲法に則って自分たちの権利、あり方を認識して欲しい」と。政府や自民党は、国民のそうした意識を利用して公務員バッシングをやっている。規制緩和、規制緩和で国民の生活も労働も疲弊しているのに、その不満、怒りの矛先を公務員に向かわせるように誘導していることに気付いていない。テレビのワイドショーなども煽り方がひどい。悪い循環に陥ってしまっている。
 
志は高く持ちながらも、現状をしっかりとらえて、目線はあくまでも現実において、目線が合う人がいれば仲間に加える、そうした努力を1人ひとりがしていくしかない。

■ 規制緩和のやりすぎで「国が滅ぶ」事態に

編集部 労働法制のあり方については「憲法に照らして、これでいいのか」という本源的な問い直しが大事だというお話になりましたが、労働組合の側にも、労働者全体の団結を追及していたかという点では弱さがあったことは否めないのではないでしょうか。

重野 総評時代も産業別労働組合でしたが、地区労運動に力を入れました。それから、大産別に組織されない労働者を「全国一般」という労働組合に組織してきましたが、それは正しかったと思うんです。総評がめざした労働運動を、連合で継承しきれなかったことが問題です。産別自決にしてしまったことで、どこかが闘っていても、それを全体が知ることにならなくなってしまった。組織された労働者というのはパワーを持っています。そのパワーを全ての労働者のためにどう活かすかという思想がなくなってしまった。産別が出せばいいけれど黙っている。だからせっかくのパワーが地域に出てこないんです。
 
1つの企業のなかでみた時、正規は労働組合に組織されていても、そこで働く非正規の人たちを組織していないんですよ。今ようやく「それではいけないんではないか」となり始めているのはいいことです。労働運動の側にも憲法によるありようが押さえられていなかった弱さがある。気がついてみたら、非正規の層ができていたわけです。その非正規のなかにも、派遣がいるし、臨時がいるし、パートがいる。それを横軸で組織せねばならないということが、連合加盟の労働組合の中に出始めたということはいいことだと思います。
 
これほど非正規の労働者が増えていることは、結果的に国力を低下させていると思いますよ。税金払えっていったって、税金払うような賃金はもらっていないわけでしょう。逆に国が面倒見なくちゃいかんわけでしょう。そのコストがかかるんですよ。気がついたら、企業栄えて国滅ぶになっているじゃないですか。
 
政府の方も企業優遇税制については見直すと言い出している。当たり前のことだから。

■ 少数でも主張し続けることが大事

編集部 最後に次期国会のことと選挙についてお話しください。

重野 党員がみんな候補者になるぐらいの気構えが必要です。これまでの選挙ではずっと後退を強いられてきているんだから、「後がない」と知ってほしい。
 
せめて全ての委員会にうちの議員がいるという数が欲しい。そしていろいろ発言し続けないと、無視されます。
 
衆議院では野党は圧倒的に少数だし、参議院では民主は多いけれど、社民、共産が統一行動をとらないと過半数は超えないわけですから、野党国会対策委員長会談はしょっちゅう開いて綿密に打ち合わせをやっています。それを大事にしながら、社民党が主張すべきところは主張していくということをやって行きたいと思っています。

編集部 会期延長が取りざたされる、お忙しい時期にありがとうございました。

<10月8日>  

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