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●2007年11月号
■ 臨時国会の焦点と社民党の課題
  社会民主党幹事長 又市征治
 

■ 一、福田内閣の本質

(1)与野党逆転の要因
 第21回参議院選挙では、30議席以上の大差で与野党が逆転しました。それは、年金の膨大な不明記録と政府の無責任な対応の表面化、相次ぐ閣僚の政治資金疑惑や失態なども要因ではありましたが、基本的には6年余りにわたって小泉・安倍内閣が推し進めてきた市場経済万能論による「構造改革」路線(新自由主義)と、憲法を改悪して「戦争のできる国」に転換する動き(新保守主義)に対する国民の激しい批判や不満であったと言えます。
 
 (2)党後退の要因
 こうした新自由主義・新保守主義政治への批判の高まりは、「平和・自由・平等・共生」の理念を掲げ、小泉・安倍「改革」を批判し対決してきたわが党の先見性の正しさを示しており、全野党が「格差是正」などわが党と同じ主張をするようになった、一定の役割を果たしてきたと言えます。ですから、前進の条件があったと言えます。しかし結果は、3年前と同じく比例2議席獲得ながら、票数は263万票で39万票減となりました。これは、全野党がわが党と同じく「格差是正」「生活が第一」と主張した、またメディアが異常に「二大政党の選択」を煽ったこともありますが、基本的にはわが党の候補者不足と事前運動の遅れ、それをもたらした組織力・財政力の低下、支持基盤の減少などが要因と言えます。この弱点克服に向けた全党の真剣な論議と対策が不可欠です。
 
(3)「経済成長重視の改革と憲法改悪」の路線変わらず
 安倍前首相は、参議院選惨敗の民意を読めず、続投を決め込みましたが、内閣支持率は下がり続け、ついに臨時国会での所信表明演説の2日後に、突如、政権を投げ出しました。
 
 その後、自民党の派閥談合で福田内閣が誕生しました。福田首相は、選挙の結果を踏まえて、低姿勢で野党との協調ポーズを取り「格差是正」なども口にしますが、「改革」路線は継続するとし、また日米同盟重視の外交姿勢を堅持するとしています。つまり、中身が同じ本の表紙が安倍から福田に変ったに過ぎません。ですから、民意に沿った大胆な政策転換など、期待すべくもありません。
 
(4)民主党をどう見るか
民主党は参議院で第一党となり、当面、民意を背景に国民生活改善に関する法案を次々参議院で成立させ、早期に解散・総選挙に追い込んで政権交代を実現しようと意気軒昂です。この立法対応については、わが党も当然同調できる点が多くあります。そこで、民主党が参議院で過半数を制したわけではありませんから、わが党は、国民新党などと共にキャスチィングボードを握った利点を生かし、注文を付けるべきは付けて野党共闘を進め、積極的に国民の付託に応えて格差是正などに関する法案成立を図っていきます。
 
 ところで、民主党は、「小泉内閣と改革のスピードを競う」と言ってきたことを忘れたように選挙で「格差是正」や「生活が第一」などを唱えました。しかしそれはどうも選挙戦術です。格差是正を唱えながら、公務員給与の20%削減や300基礎自治体などを主張するのは矛盾ですし、憲法に絡む問題では党内はバラバラです。
 
そもそも民主党は、つい昨年まで前原前代表が「自民党とは(政策の)8割は一致している。残り2割で違いをどう現すのかだ」「憲法九条二項を削除して自衛権を明記する」と公言してきました。これが変わったとは聞きません。また民主党の議員や候補者の大半は自民党と同じ保守階層です。つまり「保守二大政党」を目指す方針が転換されたわけでないことを見ておくべきでしょう。

■ 二、今日必要なのは社会民主主義的政策の実現

(1)健全な社会の持続発展をも壊した「改革」
さて、当面の内政の課題です。6年半にわたる「改革」は、一方では大企業に五期連続で過去最高益を保障し、他方では、依然250万の完全失業者や全勤労者の3分の1=1700万人の非正規労働者を生み出し、勤労世帯の所得を9年連続で低下させました。中でも年収200万円以下の人々が5人に1人にも拡大しました。
 
 その上、年金・医療・介護や福祉を次々と改悪し、地域間格差も拡大しました。つまり、「改革」は、国民の暮らし破壊に止まらず、健全な社会の持続発展をも壊しています。
 
 たとえば、憲法第二五条は「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と規定していますが、1000万人を超える年収200万円以下の人々にこの権利は保障されていません。また、憲法第二六条は「すべて国民は、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する」とありますが、今日、就学援助を受ける約138万人の子ども達にそれは保障されていません。そして憲法第二七条は「すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負う」と規定していますが、約250万人の完全失業者や約170万人のフリーターにそれは保障されていません。これが市場万能主義=新自由主義のもたらした実態です。この観点からも「憲法を守れ」の声を大きく上げるべきです。
 
 今日、日本のGDP(国内総生産)は約560兆円で、1億2700万人で割れば1人当たり約440万円(4人世帯で約1700万円)の年収という計算になります。もっと「公平な所得分配を」主張して当然ではありませんか。
 
(2)求められる憲法理念の実現
 こう見てくると、いま日本の社会に必要なのは、「平和・自由・平等・共生」を理念とする社会民主主義の政治です。それは、憲法理念の実現と言い換えることができます。
 
 ですから私たちは、当面、年収200万円以下層をなくす最賃制・時給1000円の実現、派遣労働の規制と正規雇用拡大、高齢者医療負担の凍結、障害者自立支援法見直し、年金・医療・介護制度の抜本改正、地方交付税総額の復元、農・林業への所得保障制度、消費税率引き上げ反対、大企業や高額所得者への減税廃止と特別会計の見直しなどを、院内外で徹底して追求していきます。

■ 三、今こそ対米追従外交の見直しが必要

(1)「戦争のできる国」へ傾斜
 次に、外交・防衛問題です。歴代の自民党政権は、「自主憲法制定」という名の憲法改悪を掲げ、自衛隊の増強を進めてきました。そして今や日本は、アジアで最も近代的な装備を有する自衛隊を持ち、軍事費も世界第5位の軍事大国です。加えて政府は、自衛隊の海外派兵装備の比重を高め長距離輸送能力を持たせ、ついにテロ特措法やイラク特措法で自衛隊を海外派遣してきました。明らかに「専守防衛」の国是を踏みはずしています。まさに「現状の自衛隊は明らかに違憲状態」です。
 安倍前内閣は、その上に、一気に憲法を変えようと「戦後レジームからの脱却」を叫び、防衛「省」昇格と自衛隊法改悪、教育基本法改悪、日米軍事一体化の在日米軍再編特措法などを次々強行し、そして改憲準備の国民投票法も押し通したのです。参議院選挙で手痛い打撃を蒙り、当面、福田内閣は明文改憲路線は手控え、なし崩し改憲を進めると見られます。それは、集団的自衛権の行使容認や自衛隊の海外派兵恒久法の制定などとして具体化しそうです。
 
(2)対米追従外交の見直しを
政府は、自衛隊による地球の裏側での米軍への後方支援も「防衛」の一環だと強弁しますが、これは明らかに憲法違反です。このように米国が引き起こす戦争に加担しておれば、相手国は、当然、日本も敵国と見なして攻撃します。その際、福井の15基や新潟の7基の原発が空爆されたらどうなるか。原発1基爆砕されれば広島型原爆の1000倍以上の被害と言われますから、日本の中央部は壊滅するでしょう。政府は、憲法九条で戦争放棄を世界に宣言しているから攻撃される恐れはないという確信があって、危険な原発の建設を推進してきたはずです。これを忘れた如くです。
 
世界第2位の経済大国・日本が積極的に国際貢献をすることは当然です。日本は、戦後60年余り、いかなる国や地域の紛争にも武力介入せず、1人も殺さず殺されず、また武器輸出も核武装もしてきませんでした。そしてODA大国として発展途上国を支援してきました。だからこそ世界の中で論理的正当性を持ち、尊敬と信頼を勝ち得てきたのです。紛争や戦争の根底には貧困や差別問題があります。だから社民党は、このことを踏まえて、ODAによる教育・医療衛生・食糧農業・福祉・経済建設の援助、大規模災害などへの緊急援助隊の派遣、紛争後の社会建設への国際平和協力隊の派遣など、「非軍事・文民・民政」分野での貢献策は多くあるし、平和憲法を持つわが国はこうした貢献こそ重視すべきだと考えます。アフガニスタンやイラクにもこれこそが必要です。
 
(3)テロ特措法とイラク特措法を廃案に
私たちは、「テロ撲滅」は重要だと考えます。それは、テロを生み出す原因である貧困や経済格差、差別、専制と弾圧、大国の専横、教育の欠如などの克服に向けた国際的な粘り強い対策・協力こそが必要なのであって、軍事力によっては解決できないことは、今日のアフガニスタンやイラクの状態が証明しています。
 
 2001年に米国が始めたアフガニスタンへの「テロ戦争」は、1970年の「武力行使を伴う復仇行為」禁止の国連総会決議を踏みにじった暴挙であり、それを支援するテロ特措法は武力行使を伴わないとしても集団的自衛権の行使に当たるものですから、私たちは反対してきたのです。またイラク戦争は、体制転覆を禁止した国連憲章第二条、自衛以外の戦争を禁じた同五一条にも違反する米英主導の戦争であって、これを支援することも憲法違反です。
 
(4)社民党の平和創造政策
私たち社民党は、今こそ「改憲ではなくて現実を憲法理念に着実に近づけていく時代」だ、そして日本が二一世紀の世界の平和構築に向けて積極的な役割を果たすべきだと考えています。そのため、

  • 北東アジアに信頼と協調による多国間の総合安全保障機構を創設し(当面、日本、韓国、朝鮮、中国、モンゴル、ロシア、カナダ、アメリカを想定)、国際紛争が生じた場合は平和的話し合い、武力不行使を前提とする。併せて北東アジアの非核地帯化の共同宣言を実現する(当面、日本、韓国、朝鮮、モンゴル)。
  • この進展に対応して、日米安保条約を平和友好条約に転換する。また在日米軍基地を縮小・撤去していく。
  • これを前進させるために、日本は「非核・不戦国家宣言」を衆・参両院で決議し国連総会で認知を求める(同様の立場をとる国を広げていく)。
  • そして、肥大化した自衛隊の規模や装備は、当面、領海・領空・領土を越えて戦闘する能力を削減し改編・縮小する(将来的に、国境警備、国土防衛、災害救助、国際平和協力などに改編)。その「平和の配当」を人道支援に充当する。
…などを提唱してきました。
 
 わが党のこの平和創造政策は、韓国、中国、モンゴルなどとの党間外交の中で賛同を得、例えば2005年の『六か国共同声明』の第四項に、中国の努力で「六か国は、北東アジア地域の永続的な平和と安定のための共同の努力を約束した。…六か国は、北東アジア地域における安全保障面の協力を促進するための方策について探求していくことに合意した」として、取り入れられました。さらにこうした党の提唱を大きな世論にしていかねばなりません。

■ 四、総選挙勝利へ――2桁議席確保を

 さて、低姿勢で野党と協調ポーズを取る福田内閣は50%台後半へ支持率を戻しました。他方、民主党幹部の政治とカネの問題が噴き出し、また小沢代表の「私が政権を取れば、アフガニスタンでのISAF(国際治安支援部隊)への参加を実現したい」旨の主張が政権側の反転攻勢を呼んでいます。そのため、年末、通常国会冒頭、あるいは来春の解散・総選挙が取り沙汰されています。政治の世界は一寸先が闇です。いずれにしても早期解散・総選挙を想定し、その準備を急がねばなりません。
 
 前述したように、いま日本の政治に求められるのは、「平和・自由・平等・共生」を基本理念とする社会民主主義的政策の実現です。そのために社民党の議席増が不可欠です。「もし社民党の議席がなかったら」日本の政治はどうなっていたか、憲法改悪はすいすいと進んでいたでしょう。保守二大政党をチェックする第三極・社民党の存在が不可欠です。
 
 わが党は、11比例ブロックと可能な小選挙区での「2桁議席獲得」を展望して、12月の全国大会までに候補擁立に全力を挙げます。そのため可能最大限候補者を擁立し、一部の選挙区で民主党との「すみ分け」なども進めます。
 
 同時に、支持基盤を広げ固めるための運動が不可欠です。たとえば、「3000カ所演説会」と銘打って年内に街頭演説や時局講演会などを積極的に展開する、また憲法九条改悪反対の憲法意見広告運動を拡大する、10〜11月を護憲・平和運動期間と位置づけて平和運動センターなどと共に可能最大限の大衆運動を起こしていく、労働組合の秋季年末闘争を激励しその立ち上がりを支援するなど、9月29日の沖縄の11万人大集会に学びながら、各地域で大衆運動を積極的に起こしていくことです。その延長線上に解散・総選挙があるのです。

 

(10月15日談)  

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