■ サイト内検索


AND OR
 
 
 月刊『社会主義』
 過去の特集テーマは
こちら
■ 2017年
■ 2016年
■ 2015年
■ 2014年
■ 2013年
■ 2012年
■ 2011年
■ 2010年
■ 2009年
■ 2008年
■ 2007年
■ 2006年
■ 2005年
■ 2004年
■ 2003年
■ 2002年
■ 2001年
■ 2000年
■ 1999年
■ 1998年


 


●2007年6月号
■ 七月参院選挙を総力で戦おう
                 (善明建一)
 

■ 「二極化」をもたらす新自由主義政治との対決を

 市場原理に基づく小泉政権の「構造改革」「規制緩和」諸施策断行の5年間と、これを継承する安倍内閣のもとで、所得、雇用、税制、福祉の「二極化」が進んだ。さらに男女間格差、企業規模間格差、同一企業内の労働者相互間の格差、地域間格差が拡大するなど、「格差社会」の固定化傾向は、国民生活に直結する全ての分野に及んでいるのだ。
 
 日本経済は「いざなぎ景気」を上回る戦後最長の景気回復局面にあるといわれ、上場企業の07年3月期決算は5期連続の増収増益となり、経常利益は4期連続で過去最高を更新している。過去最高の経常利益は、輸出関連産業など一部の大企業に偏重し、中小企業には景気回復の恩恵は少なく、小・零細企業の企業倒産は増加する傾向である。
 
 経常利益は企業のリストラ合理化、賃下げ、雇用形態の改編、そして、生産性向上運動に協力してきた労働者の働きによってもたらされたのであるが、企業の業績回復が著しく高まった中でも、働く者の賃金には還元されない。
 
 そこで、この間の小泉・安倍政権の「構造改革」で、「格差社会」がどのように進捗してきたか、すでに承知のことであるが、以下、一通り見ることにする。
  所得格差は、国税庁の民間給与実態調査(06年9月28日公表)では、01年から05年までの5年間に年収300万円未満の人が約142万人増え、300万以上800万円以下の人は約113万人減り、勤労者給与は、1998年から2005年まで8年連続で低下している。
 
 最近のワーキングプア(働く貧困層)は、企業によるリストラ合理化と賃金引下げ、さらに企業が進める正規雇用労働者から非正規雇用労働者の置き換え、ニート、フリーターなど不安定労働者の増大によるものである。
 
 内閣府の『国民生活白書』(06年版)によれば、雇用者全体に占めるパートタイム・派遣・契約・アルバイトなど非正規雇用労働者は、1663万人に達し、勤労者全体に占める割合は、33.2%、実に3人に1人が非正規雇用労働者で、特に女性は2人に1人以上に達している。
 
 また、厚生労働省の賃金構造基本統計調査(05年度)によると、非正規雇用労働者の平均賃金は正規雇用労働者の64%、年間所得は265万2000円で、女性の場合は201万1600円にすぎず、年収200万円以下の極貧困層は、勤労者の5人に1人になろうとしている。
 
 正規雇用労働者も企業の人減らしと共に、企業の高収益が正当に分配されずに、徹底した成果主義に基づく労務管理のもとで長時間労働と労働強化が強いられ、「過労死」や健康破壊、精神障害が急増する状況が続いている。
 
 企業規模による賃金格差も、同調査によると男性の場合、大企業で働く人の賃金を100とすると、中企業で81、小企業では73に、女性の場合は、中企業で89、小企業で81というように、大企業で働く人と中小企業で働く人の賃金格差は拡大する傾向である。
 
 所得格差は地方間でも拡大しており、一人あたり県民所得を比較すると青森、沖縄県民の平均所得水準は、東京都民の平均の50%前後の低水準である。所得格差は、社会的にも大きな歪をもたらしており、自殺者は8年連続で3万人を上回り、そのうち4人に1人以上が「経済・生活問題」が理由に上げられ、「過労自殺」は過去最多になっている。生活保護世帯数は、受給資格は大変厳しいにもかかわらず、受給者は100万世帯を超え、05年度の1カ月平均は104万世帯と過去最高に達している。
 
 こうした生活困窮者の増大は、少子化傾向に拍車をかけ、さらに児童の給食費の未払い、高校中途退学、大学進学の断念など、将来の日本を担う若者の希望を奪う深刻な問題を発生させている。
 
 小泉前内閣から、この六年余、福祉と社会保障の切捨ても目に余るものがある。政府は11年度までに国と地方で社会保障費を1兆6000億円抑制する目標を掲げているが、医療制度では、サラーリーマンの窓口負担が2割から3割に、70歳以上で現役並み所得者の窓口負担も2割から3割に、06年10月から引き上げられた。70歳以上の療養病床入院患者の食費・居住費も一定額が有料となった。さらに70〜74歳の高齢者は08年4月以降、窓口負担が1割から2割になる。また、厚生労働省は高齢者が入院する38万人の療養病床を6年間で15万病床に削減する計画を立て、これは現在進捗中である。
 
 08年4月からは、75歳以上の高齢者が加入する「後期高齢者医療制度」が始まる。この制度では全加入者から保険料を徴収し、滞納すれば保険証を取り上げるというものである。
 
 高齢化社会の到来で、高齢者にやさしい医療制度が求められている中で、必要な医療もお金のために受けることができなくなり、このままでは高齢者は病院から追い出され、行き場のない介護難民が大量に発生することになる。
 
 さらに介護保険は、施設入所者の食費が有料になった他、居住費(光熱・水道費を含む)が全額自己負担化された。
 
 年金では、04年の年金法改正で、厚生年金保険料は17年度まで毎年自動的に引き上げられ、給付水準額は現役世代の平均手取り賃金の59.2%から50.2%に引き下げられた。
 
 税制の面でも、この6年間で「格差社会」を加速する政策がとられてきた。07年度予算に顕著なように、法人税を中心に大幅な税収増が見込まれる中で、07年1月から所得税の定率減税が全廃され、さらに6月から住民税の定率減税が全廃される。これによって例えば、30歳で年収300万円の場合、単身者、夫婦世帯のいずれも負担は2倍に、年収400万円では単身者で1.9倍、夫婦世帯で2.1倍になる。定率減税全廃による国民の負担増は1.7兆円にのぼる。
 
 他方で減税の98%は一部大企業と高額所得者である。企業の設備投資に関わる減価償却制度「見直し」で、大企業には巨額の減税効果を与え、証券優遇税制の一年延長により株式投資で莫大な儲けをあげる高額所得者は大きな減税の恩恵を受けているのだ。
 
 両減税の総額は、年間約1.7兆円になり、これは定率減税全廃の増税額に相当する。さらに先送りされた法人実効税率(法人税、法人事業税・住民税を勘案した企業の理論上の所得税負担率)の引き下げ、消費税率の引き上げが、財界の強い要求で参院選後には動き出す。経済同友会は、4月23日に「税制改革提言」を発表したが、現在約40%の法人実効税率を法人事業税の廃止により、35%程度に引き下げ、さらに消費税率を2010年代までに16%に引き上げることを求めているからだ。
 
 国と地方の財政赤字を理由に、行政改革推進法を柱にして、国家公務員、地方公務員の削減と総人件費抑制も断行され、さらに公務員制度「改革」では、民間並みの能力主義賃金・人事評価制度が導入された。地方行革では地方財政の深刻化や市町村合併により、徹底した自治体職場の合理化が進められている。公務員が担ってきた公共サービスを「官から民へ」をスローガンに、指定管理者制度、PFI法、市場化テスト法、地方独立行政法人制度などによって、自治体の市場化・民営化が加速している。
 
 また、「三位一体改革」では、補助金は削減され、その分を税源移譲で補填されることはなく、地方交付税も削減され、財政力の弱い地方自治体の破壊は全国に広がっている。その結果、地域住民の公共サービスも次から次に切り下げられているのだ。
 
 こうした行財政改革を断行する上で、「簡素で効率的な政府」が叫ばれ、「公務員バッシング」が最大限、利用された。この狙いは「政府もこれだけ努力したのだから、次は福祉削減や、それでも足りない分は消費税引き上げを認めろ」という国民意識の統合を作り出すことにあった。すなわち、「公務員バッシング」は公務員労組・労働者と国民を分断し、財政赤字の原因をすりかえるもので、「分断して、支配せよ」は何時の時代も支配者側の常套手段である。
 
  森元首相は、「日教組・自治労を壊滅できるかどうかが、次の参院選の争点」と発言し、さらに露骨な公務員労組攻撃を強めるとしている。こうした彼らの狙いを、勤労国民、労働者に広く訴え、反撃していかなければならない。
 
 一方で、国家公務員の天下りや繰り返される政・官・財の癒着腐敗問題、松岡農水相の政治資金収支報告の虚偽記載にみられるように、「国家公務員の天下り規制」、「政治とカネ」の問題については、安倍首相は指導力を発揮しない。国民が求める政治の「構造改革」に取り組む姿勢はみられず、しぶしぶ取り組んでも「ザル法」に終わるのである。また、さきにみたように、税収の増収分は、勤労者の所得、雇用、福祉分野への再配分を図ることが国民多数の願いであったが、政府・与党はこれを受け入れることはなかった。
 
 安倍内閣が進めている社会、政治、経済分野の「構造改革」は、総じて「経済成長戦略」を理由に、さらなる企業の総人件費抑制と雇用形態の改編、企業減税など大企業優遇、一方で社会保障の切捨て、地方自治の破壊と公共サービスの低下、増税による家計への負担転化のなにものでもない。これで富裕層と低所得者層、中央と地方などの格差はさらに広がる。
 
 みてきたように、小泉・安倍内閣の「構造改革」は、勤労国民、労働者に多大な犠牲を強いているのだ。この間の政府・与党の政治を批判し、転換させる闘いは参院選を置いて他にない。年金、教育、医療、税財政、地方分権、雇用など働く者の生活と労働実態からその内実を明らかにし、大きな争点に押し上げて闘うことが必要である。
 

■ 「再チャレンジ支援総合プラン」の批判を
 
 小泉内閣、これを継承する安倍内閣でもたらされている「格差社会」の固定化傾向は、日本経団連をはじめとする財界団体の強い要求とその結果によるものである。
 
 日本経団連が1月25日に答申した「日本経済の進路と戦略」、さらに「希望の国 日本」(通称、御手洗ビジョン)では、「新経済成長」に向けて、生産性向上を第一義に掲げ、「公正な競争の結果としての経済的な受益の違いは経済活力の源泉として是認される」としているように、格差を公然と肯定しているばかりか、経済発展の原動力にさえ位置づけているのだ。これらはすでに閣議決定されている「骨太方針2006」や「経済成長戦略大綱」などに盛り込まれているが、こうした矢継ぎ早に打出される「成長戦略」は、国際展開する日本企業が競争力を強めるためのさらなる支援策である。それは結局、一部の大企業には空前の利益と資本の蓄積をもたらし、競争力の弱い中小・零細企業、農業、運輸業、流通業などは容赦なく淘汰される。
 
 安倍内閣と財界は、「経済成長が格差是正につながる」というが、新自由主義政治では、「格差社会」を是正し、平等社会を実現することはできない。安倍内閣は小泉前内閣下で露呈した社会的歪、軋轢を緩和するかのような装いを凝らして登場し、その目玉の一つとされた「再チャレンジ支援総合プラン」の内容は、基本的に「格差是正」は「自助努力」と「自己責任」でというもので、その政策の具体化の過程をみると、まやかしでしかないことは明らかだ。
 
 例えばこれからみる一連の労働法制「改革」を断行する強行姿勢と、一方でまやかしであれ「格差社会」を緩和する政策は両立するはずはないからである。
  このことは166通常国会に提案された労働関連6法に端的に表れている。ここでは労働関連3法の「改正案」を見ることにするが、労働基準法「改正案」ではホワイトカラー・イグゼンプション(労働時間規制の適用除外)は、国民的反対で、盛り込むことを断念したが、1カ月80時間を超える労働時間の割増率を50%に引き上げることを柱とする「改正」を提案した。80時間は「過労死」の認定目安とされている超過勤務時間である。これは98年12月の「労働省告示154号」に示されている1週15時間、1カ月45時間、1年360時間という「労働時間の延長の限度等に関する基準」を、政府自らが反故にすることを意味するもので、断じて容認できるものではない。
 
 しかも日本経団連は、ホワイトカラー・イグゼンプシヨンの導入に、相変わらず意欲を示していることからも、参院選後に労働者派遣法の「完全自由化」(派遣労働法に年限を設けていることを撤廃するなど)を含め、再浮上することは必至である。
 
 パート労働法「改正案」も166通常国会で可決されようとしている。「改正案」では、正規雇用労働者と職務が同一で実質的に期間の定めのない雇用契約をしている短時間労働者に限り、「差別禁止」(罰則規定はない)を定めている。
 
「正社員パート」の差別禁止は謳われているが、有期雇用であったり、職務内容が少しでも違っていたり、配転や転勤ができなければ「差別してもよい」ことになる。さらに正社員と同じか、それ以上に働くパートの人は、パート労働法の対象外で差別禁止の対象とならない。契約を反復していれば「契約期間がない」とみなすとされているが、何回更新すればいいのか、正社員と同じ仕事とは何か、などは法改正後に厚生労働省が示す強制力のない「例示」で示すとされている。
 
 現在、約1205万人(06年平均)のパート労働者がいるが、これらの適用除外で対象者は全体の4%以下とみられており、均等待遇の実効性はほとんどないのだ。
 
 パート労働法「改正案」と共に、パート労働者への厚生年金適用拡大も年金一元化法案の中に盛り込まれる。これは安倍首相の肝いりで急浮上したものであるが、当初案では適用基準を「週の所定労働時間が20時間以上」に引き下げるとされていたが、財界団体等からの反対意見が強く、新たに賃金水準月額9万8000円以上と勤務期間1年以上の要件を設けて、対象となるパートを絞り込んでいる。そのために、当初案では新たに310万人程度が対象になると試算されていたが、これで対象者は40万人程度になるといわれる。
 
 ここにも安倍内閣の性格が明らかになっているのだ。
 
 最低賃金「改正案」も、166通常国会に提出されているが、最低賃金の引き上げが政治課題となってきたのは「生活保護費以下の収入しかないワーキングプア対策」の1つとして浮上してきたものである。だが「改正案」では最低賃金の決定に際して、「地域別最低賃金額を生活保護との整合性に配慮する」との規定を盛り込んでいるだけで、実際の金額は審議会で労使代表が交渉し、決めるというものである。そのために政労使三者代表による「円卓会議」を設置し、そこで中期的な最低賃金引き上げに向けた合意を得たいとしている。
 
 連合、全労連は「時給1000円」で生計費の最低水準ラインの年収200万円に相当する時間給を要求し、社民党、民主党、共産党も、その額で足並みを揃えている。一方、金額を明示していない政府・与党は、企業が反対していることを理由に労働団体、野党案を「非現実的」だと批判しているのだ。
 
 このように安倍内閣の「格差是正」の柱とされた「再チャレンジ総合プラン」の内容は、労働者に長時間労働を強制し、働く3人に1人までに増大したパートなど非正規雇用労働者が願う正規雇用労働者との均等待遇や最低賃金の引き上げとは程遠く、余りにも財界の要求に偏重したものである。勤労者の要求を拒んでいる政府・与党の姿勢を暴露し、批判を強めていかなければならない。
 

■ 改憲ではなく「憲法を活かす」主張と運動を
 
 安倍内閣が06年9月に発足し、安倍首相は所信表明演説で、「戦後レジームからの脱却」を唱え、その柱に「憲法改正」と教育基本法「改正」を挙げた。「憲法改正」は5年という政治日程を示し、教育基本法「改正」は臨時国会で成立させると公言した。07年1月4日の年頭会見でも、「憲法改正を私の内閣で目指し、参院選でも争点にしたい」と述べた。こうして教育基本法「改正案」、防衛庁「省昇格法」、そして自衛隊の海外での活動を本来任務とする自衛隊法「改正案」が臨時国会で、与党と民主党の賛成で可決、成立した。これは政府自らが歯止めとしてきた「専守防衛」の実質的な否定である。
 
 166通常国会では、教育関連3法案(学校教育法、教育職員免許法、地方教育行政法)、イラク特措法「改正案」、国民投票法案を最重要法案に位置づけた。国民投票法案は、5月14日に参議院で可決、成立し、イラク特措法「改正案」は、5月15日、教育関連3法案は、18日に衆議院で可決され、参議院に送られた。
 
 国民投票法は「九条改憲」に直結するものであるが、安倍首相は改憲を急ぎながらも、現憲法下でも集団的自衛権が行使できるように、憲法解釈の変更を法制局に指示し、同時に政府が憲法解釈で禁じてきた「集団的自衛権の行使」を検討する「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」を4月24日に発足させた。
 
 これは自民党内をはじめ国民の中に少なからずある「米国向けに発射された弾道ミサイルに対し、日本は迎撃できないとしている政府の憲法解釈について放置していていいのか」、「朝鮮半島有事の際に、米軍の武力行使と一体化する形での後方支援ができないとされる現行の憲法解釈は非現実的だ」とする意見を最大限に活用し、九条改憲の前に憲法解釈で集団的自衛権行使を認めるというものである。
 
 さらに政府は、自衛隊の海外派遣や米軍支援を国会の審議を抜きに行なう「恒久法」の制定をめざしているが、これを許せば憲法九条は「骨抜き」にされるも同然になる。
 
 すなわち国民投票法、集団的自衛権行使の解釈変更、「恒久法」という3段がまえで、安倍内閣が政権目標としている「戦後レジーム」からの脱却の本丸である「憲法改正」に踏み込むとしているのだ。
 
 また、朝鮮の核疑惑問題、拉致事件で、ナショナリズムを煽り、これら政治課題に強い政治姿勢を示すことで、一時低下した支持率の回復を図り、新保守主義政治路線を突き進もうとしているのが安倍内閣の現状である。
 
 だが安倍首相が国会で「強制連行の証拠はない」という従軍慰安婦発言に対して、米国議会で日本政府に謝罪を求める決議案が提出されたように、アジアをはじめ世界的な批判は強まっており、安倍首相のタカ派路線は国際的には孤立する状況である。安倍首相は6月の訪米時にブッシュ大統領に謝罪したが、米国議会に提出された決議案はこれをもって決着とはなっていない。また、靖国神社の春季例大祭(4月21日〜23日)で供え物を奉納したことが明るみになり、国内外から批判が強まっているが、これに対して「お供え者を出した、出さなかったは申し上げない」と繰り返すだけで説明責任を果たす姿勢はない。ナショナリズムの地金を小出しにする姑息なやり方を続ける限り、国内はもちろん、近隣諸国からの信頼はえられない。
 
 安倍首相は、「憲法改正」を政治日程に上げ、憲法に制約されることなく「戦争ができる普通の国」をめざしているが、5月2日の朝日新聞社の世論調査によると、「憲法改正」は「必要」が58%で、「必要ない」の27%を大きく上回っているが、九条改憲では「変えない方がよい」が49%で、「変える方がよい」の33%を上回っている。憲法九条が日本の平和に役立ってきたかでは、「役立ってきた」が78%、「そうは思わない」が15%で、憲法九条が果たしてきた役割を認める人は圧倒的に多い。
 
「憲法を改正」する理由では、「新しい権利や制度を盛り込むべきだから」は84%で、「押し付けられたもの」は21%である。また安倍政権のもとで「憲法改正」に「賛成」が40%、「反対」が42%と評価は二分している。
 
 こうした調査結果を総合的に分析すると、安倍内閣がめざす「憲法改正」と国民意識とは大きな距離感があることがわかる。だが安倍首相は、国民投票法の成立を受けて、自民党改憲草案に基づいて、改憲を参院選で訴えていく考えを鮮明にしている。
 
  これに対して、例えば社民党福島党首が述べているように、世界と日本の平和は武力ではなく、平和外交で達成する努力が必要であることを訴え、毅然と立ち向かっていかなければならない。その際に社民党が01年5月に平和憲法をもつ日本がアジアで果たすべき役割を示した「21世紀の平和構想」を訴えていくことだ。この構想は軍事同盟や武力に依存しない新たな安全保障体制をアジアに構築し、「緊張のアジア」を「協力のアジア」に転換すること、日本政府による非核不戦国家宣言、北東アジアの非核地帯化、対話と協力を柱とした紛争予防アジア機構の創設などが柱である。朝鮮による核開発問題、さらに拉致事件問題も、六カ国協議の枠組みの中で朝鮮を対話のテーブルに着かせ、問題の平和的解決に努力すべきである。この政策を広く訴え国民の共通認識に高めていくことだ。
 
「憲法改正」問題は、九条改憲阻止とともに、憲法が謳う国民主権、基本的人権の尊重、平和主義という憲法三原則をトータルに捉え、生存権を規定している憲法二五条などの精神を活かし、「格差社会」を是正し、福祉社会の実現をはじめとする平等社会を具現していく政策と運動が重要であることも強く訴えていくことが必要である。
 
 参院選では、自民党、財界が進める新自由主義政治に反対し、九条改憲阻止を明確に堅持する社民党を中心とする勤労国民、労働者を基盤にした政党とその候補者を1人でも多く当選させなければならない。
 
 参院選まで残されている時間は2カ月余となった。1人でも多くの勤労国民、労働者との対話を重視し悔いを残さない闘いを全力で組織しよう。
(07年5月18日記)。

本サイトに掲載されている記事・写真の無断転載を禁じます。
Copyright (c) 2017 Socialist Association All rights reserved.
社会主義協会
102-0072東京都千代田区飯田橋1-8-8 ASKビル4階
TEL 03-3221-7881
FAX 03-3221-7897