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●2007年3月号
■ 又市幹事長 挨拶「選挙戦を勝ち抜き、流れを変えよう」
     (社民党幹事長 又市征治)
 

 小泉改革は何をもたらしたか。一言で言えば、これほど資本主義の矛盾があからさまになっている時期はないということだと思います。大企業は4期連続で過去最高の利益を更新し続け、まもなく5期になろうとしている。一方で働く人たちの所得は8年連続で下がり続けている。なかでも雇用構造が大きく壊されて、1680万人の人びとが非正規労働者という状況です。それ故に年収が200万円以下、つまり生活保護基準以下の世帯がなんと19%を超えています。大変な事態だと思います。
 
 こういう人びとの状況をNHKが、昨年の7月と12月に、「ワーキングプア」という特集を組んで報道しました。ぜひもっとやってもらった方がいいと思っています。
 
しかし、それを見て怒りを持っている人がどれだけいるのかというところが、問題であると思います。そうしたいろいろな不安や不満というものを本気で怒りに、闘いに組織していく、ここがいま決定的に欠落をしていることが問題ではないか、こういう気がしてなりません。
 

■ 安倍政権は、小泉政権同様の「成長戦略」志向

 安倍首相の施政方針演説には、小泉内閣がもたらした格差社会の是正ということについて一言も出てきませんでした。「美しい国」という言葉は7カ所出てきました。「美しい国」で始まり「美しい国」で演説は終わったわけですが、どんなことが「美しい国」なのかは何一つ説明されないものでした。彼にしてみれば、「憲法を変えて戦争のできる国にする」ことが世界の規範たる国家、日本だと言っているのだろうと思うんです。
 
  いまの格差社会という問題に対して感心がないというべきか、むしろそれは経営者側に任せると言っているように思えます。「国際競争力の強化」という言葉を使いながら成長戦略をとってきた結果として、今日のこの格差社会がつくり出されたにも関わらず、さらに企業の「成長戦略」をもっと強める、成長すれば格差がなんとかなっていくという宣伝をやっています。昔言われた「企業あっての労働者」みたいな話です。
 
 一方で来年度の予算案によれば、これだけ儲けている大企業には4140億円の減税をしますということです。一般国民には定率減税の廃止と年金の掛金アップなどで1兆7000億円の負担増願いますということでもあるし、(施政方針演説では明確に「消費税を含む」と言っておりました)消費税の増税を含む税制の抜本改革をこの秋以降と明確に言っているわけです。これがどうなるかは今後の選挙に勝つと負けるとでは大きく違ってくる。年金生活者、生活保護を受ける人びとの生活破壊がさらに進められます。
 
  ホワイトカラーエグゼンプションの問題も選挙にはまずいから今は差し控えようということです。ある研究所の試算では、日本経団連が示した年収400万円以上に適用すれば、残業代12兆円が浮くということです。単に残業代が浮くだけではなくて、過労死促進法案ということになると思います。この問題も選挙次第ということでもあります。
 
 公務員賃金の抑制問題もあります。官公労の皆さんは、この本質・狙いを徹底して暴露するために努力をすべきだと思います。これは「労働運動への介入」ではなく、自治体労働者の先輩として、私が「政治の場面にいると見えていること」を皆さんに申し上げているにすぎませんので、誤解のないように(笑い)。それにしてもたいへん巧妙な仕組み方です。「地方公務員の賃金がそれぞれの地域の民間と比べて平均で21%高い。この公務員の賃金を早急に是正する必要がある、是正していけば2011年の国の財政収支バランスが黒字化になり、増税をしなくても済む。だからこの改革が必要だ。障害になっているのは労働基本権を与えてないからだ。だから労働基本権を与える。そして徹底して合理化をやりましょう」と中川自民党幹事長が代表質問で演説しています。
 
 この延長線で、少し頭に乗った森喜朗は「日教組、自治労をこの参議院選挙で壊滅することが争点」と、中川昭一政調会長にいたっては「日教組などデモをやって騒音をまき散らす奴は免許は取り上げだ」、「社会保険庁の職員は退治しなければならない。内部腫瘍だ」とまで言っています。
 
さらに彼らは公務員賃金問題を使って、非正規労働者や低所得者、中小企業や農林業の皆さんの不満が政治に向くべきところを公務員に向けさせるという、極めて巧妙な方法をとっています。それと同時に、いまや護憲勢力の中心になっている公務員労働者に「黙れ。組合を壊滅する」と言う。憲法二八条があるわけですから「壊滅」という言葉は穏やかではない。
 
いずれにしても公務員労働運動の「弱体化」を総資本の総意として意志統一していこうとしている。
 

■ 本質を「すり替え」で攻撃に変える戦術
 
 現実に全国で行なわれている選挙で公務員バッシングがすさまじい形でやられていますが、これに民主党は立ち向かうことができない。3年前に公務員賃金2割削減方針を出したからです。一昨年の2月になりますが、当時の前原代表に「公務員賃下げの話はやめたらどうか」と言ったところ、厚生労働省が発表している民間の賃金構造基本調査を材料にして、職種別、役職別、57%もの男女格差も度外視して、単純平均で2割高いという言い分でした。私から「1兆円の人件費を削るよりもムダ使いの多い特別会計を一緒にやりましょう」と提案したのですが、「特別会計をやっても票にはなりません」と返されたのです。今もその旗は下ろしていないわけです。
 
 自民党は「民主党が言っているのだから相乗りしよう」という立場です。これは二重、三重に意味がある。
 
 社会保険庁の労働組合もはげしく叩かれている。見事にすり替えをやられているわけです。私たちは年金や介護や医療は地方で一体的に扱うべきで、社会保険事務所は地方に身分を移管すべきだと主張してきたのですが、国、厚生労働省の官僚は、自分の縄張りとして中央一元化をしたわけです。市町村から遮断されれば収納率は落ちます。こういう仕組みに加えて年金制度の改悪をしている。年金に対する不信もあるからますます収納率が落ちていくわけです。それを、個人データを覗いたとか、無年金者を出さないように免除にしたこと、たしかに方法はまずかったでしょうが、本質問題ではないことをとりあげて、「組合がけしからん」「内部腫瘍だから退治しよう」「社会保険庁を解体しろ」と叩いてきた。こうしたすり替えにまともに反撃できなかったものですから、全部公務員でなくしてしまう格好になってきたわけです。
 
 社民党は真っ向から反対で行きますが、先は見えている。しかし負けるにしても、そこに怒りを持ち、いまの社会に矛盾を感じ、それを変えるためにがんばろうという仲間を本当につくっていくのが、われわれのめざす運動なんだろうと思うわけです。
 
 今国会では昨年暮れの教育基本法改悪に伴って、教育改革関連法案がいくつか出てきます。学力低下という問題があるにせよ、ゆとりを削って授業時間を増やしますというのは逆戻りでしかない。競争社会のあおりでイジメや自殺が起こってきた歴史的な経過があり、それが大問題になっている。実は2002年から学校5日制になったのであって、それ以前のデータを持ってきて、授業時間を増やすと言っているわけです。それに教員をぎりぎり締め上げて「できの悪い教員は免許取り上げます」とすらいうわけですから、すり替えもいいところです。
 

■ 小泉構造改革の結果であることをきちんと伝えよう
 
 税の問題もあります。成長戦略と財政再建という問題を全面に出してやってくる。これは我が党も暴露してきましたが、現実に定率減税の半減や全廃という前に、やるべきことがあるではないかということです。法人税を34.5%から30%に、所得税の最高税率を50%から37%に落とすことによって税収は減った。これを元に戻せば、どう見積もっても6兆円は下回らない財源が出てくる。そのことが先ではないのか。そういう勤労者の立場を訴えていくことがいま求められているんだろうと思います。
 
 去年、小泉の税制改革によって老齢者控除が廃止になり年金生活者にも税がかかるようになりました。市、町役場に高齢者から問い合わせや抗議が殺到しました。「どう答えていますか」と聞くと、ほとんどが「すみません」と謝っています。私は「なぜ謝るのか。『われわれはこんなことはやるべきではないと思ったけれど、小泉内閣が老齢者控除を廃止してしまったのです』と言えばいい」と言っています。さらの「われわれの構えというか、そういうことをきちんと認識し心構えをしていないと公務員バッシングに反撃できないではないか」と申し上げています。
 
 この間ある人と、昨年7月に放映された「ワーキングプア」が話題になりました。70歳代半ばの方が出ていて、妻が認知症でもう反応がない、もう長くはないだろうが、介護にお金がかかり自分の年金まで注ぎ込んでいる、生活できず生活保護を申請したが却下されたというケースでした。「憲法二五条はこの人にどうしろと言っているのか。妻を殺しておまえも死ねと言っているに等しいではないか」と話していたら、「そうは言ったって、生活保護は貯金があったらダメです」というわけです。今の仕組みでは、生活保護は貯金があったらダメなのはわかっています。問題は、その仕組みを変えて、こういう人びとが生活できるようにしていくことであり、それが政治ではないのか。その矛盾を現場にいる労働者が本気になって考え、論議して、制度を変える、運用を変える努力をする、様々な工夫をして立ち向かっていくことこそが、憲法を守ることを誓約して役所に入った公務員には問われている。私はそういうことを言っているわけです。
 
 それから1680万人まで広がった非正規労働者とどう連携をするのか、どう闘うのかが求められていますが、1年以上の常雇用者の正社員化は当たり前、もともと労基法はそのことを求めていたはずです。正規雇用化を本気になって、声を大にして訴えなければならない。と同時に、最低賃金、1時間あたりの単価を1000円以上にしようと訴える必要がある。ようやく連合もそのことを取り入れてくれました。福島党首がテレビ番組でそれを言ったら自民党党議員から「そんなことをやったら社会主義だ」とやじが入った。冗談じゃない。最低賃金1000円がどうして社会主義なんですか。それじゃ、イギリスもフランスも社会主義なんでしょうか。
 

■ 労働運動としての政治運動=「矛盾の暴露」が大事
 
 地方交付税も下げると言っています。昨年の国会で竹中財務大臣から「これ以上地方交付税は削れません。所得税の繰り入れ率を高めてでもやります」という言質をとったんですが、内閣が変わったとたんに、新型交付税、これは面積と人口によって配分し、総枠としては減らしていくというものです。地方はますます大変になります。予算が組めない。組めないから福祉、行政サービスは削ります。公務員の賃金は下げますとなっている。
 
 夕張市では賃金30%カットというわけです。夕張に関しては、総務省の役人に「特別交付税制度などがあるのではないか。住民のサービスがずたずたになるのを放置しておいて、『放漫な財政だった』では済まない。国や道が一緒になってどう援助するのか。他の地域に住んでいる住民となぜ格差ができるのか」と問うたわけです。地元でもそういう追求が必要だと思うんです。そのことを自治体労働者が中心となって労働運動として追求していくことも求められています
 
 労働組合には悪い癖があって、下部組織は「本部で方針を出せ」と言うけれど、地域の課題を見据えつつ、自分たちのところで運動を起こすことが大事だと思うんです。
 
 1つの例ですが、2年前に秋田の自治労の仲間が「公務員の賃金が5%下げられた場合に地域経済に及ぼす影響は」という研究を大学の先生と共同でやりました。そして全戸ビラを撒いたんです。去年、岡山の自治労の委員長に会ったら、その資料をもらったので、岡山でもとりくもうとなり、大学教授を呼んで研究したというんです。最終消費比率が500億円減少するという結果に、シンポジュウムに呼んだ経営者協会の代表が「公務員の給与を削ればいいと思っていたけれども、落ち込むんだったら困る」と言ったそうです。それも1つの意味があるのですが、秋田のようにそれを本気になってやる。組合員と一緒に汗を流すかどうかが一番大事なことだろうと思うんです。
 
 恒常的な宣伝活動も大事です。会津若松に行ったら毎週月曜日に街頭演説とビラ撒きをやっている。聞いたら、今日は○○のグループが、次週は◇◇の党員が準備する番と、4週間で回していて、議員は毎回出ても、党員は月に1回でいい仕組みをつくっているんです。訴えるべきことはたくさんあるわけですから、忙しい、忙しいと言っていないで、要は工夫だと思うんです。そういうことができていない。そのうちに理屈がつき始めて「俺の駅は学生しかいない」とか言う。学生でもいいじゃないですか。将来の有権者です。
 
 進んだ運動をもっと交流する。それを広げていくことが必要です。
 

■ 候補者を立てることに全力をつくそう
 
 こうした矛盾が山ほど出てきている時には、この不満や不安を怒りにどう高めていくのか、どう闘いにしていくのか、それが問われています。闘いがすぐに起こらないというのは重々承知していますが、問題は、闘いにすぐならなくても本気になってこれに立ち向かっていこうという意識が大事なんだろうと思います。統一自治体選挙、参議院選挙と続きます。統一自治体選挙はそれぞれの地域においては少なくとも2割増に取り組んでもらいたい。参議院選挙は改選3名を、なんとしても7つ以上取ろうと言っているわけです。我が党が増えなければ発言力も出てこない。このことはなんとしてもやり遂げるべく努力していきたい。
 
 この国会、そして選挙は、ストップザ格差社会、ストップザ憲法改悪、国会の中ではそれ以外に政治と金の問題は徹底追求をやろうと決めています。ストップザ格差社会では生活再建や雇用問題、そして地域問題があるでしょうし、ストップザ改憲では国民投票法案や教育基本法改悪に絡む問題など様々あるわけです。そんな立場をしっかりと訴えながらこれを闘っていく。多くの人々になんとしても今こそ立ち上がろうと促していく。私はどこに行っても「皆さんが立ち上がってください」と訴え続けています。一緒に闘おうということを全党員に呼びかけています。
 
 与野党逆転が非常に大事だと思います。与野党逆転ということは安倍内閣を国民が不信任する現象なわけであって、そのことで内閣の総辞職か解散・総選挙に追い込んで潮目を変えていくことは大事なことです。その中でわれわれが伸びるということが本当に大事なんだろうと思います。

 
 6年前は小泉が「自民党をぶっ壊す」と言ったからバブルを起こしたが、3年前の選挙はがくっと落ちた。安倍はもっと落ちます。その時に野党全体として16議席を上回ることが絶対必要になります。民主党の候補を社民党が推薦することは絶対にありえないです。民主党にもないでしょう。そこで1人区のところでいくつか無所属統一候補を立て、憲法を守ること、無所属を貫くことをはっきりしてもらう。格差社会の是正とか、現行憲法の擁護とか、基本のところは押さえて統一で1議席でも取る、こんな努力もしています。まず立てるということです。立てないでどんな理屈を言ってもダメです。がんばって、勝ち抜いてこの政治をなんとしても転換させることに全力を挙げたい。

*本稿は一月に都内で開催された講演会で問題提起されたものを掲載させていただきました
(文責は編集部)

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