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●日本は二大政党政治へ向かうか (政治運動部会 広田貞治・2003年12月号)
 
■ 護憲の社民・共産が惨敗

 2003年11月9日行われた第43回総選挙では、60%弱という戦後2番目の低投票率の中で、社民党は18議席から3分の1の6議席に、共産党は11議席減の9議席にと大惨敗を喫した。保守新党は4議席に激減し、自民党に吸収された。マスコミは挙げて「自民・民主の二大政党の時代の幕開け」と評価した。財界の総本山・日本経団連はこの結果を歓迎し、自民・民主両党に政治資金を提供していくと表明した。
 
 民主党は選挙直前に自由党を吸収合併した勢で二大政党政治への期待を演出し、マニフェスト選挙を主導した選挙戦略の成功によって比例区では自民党を上回り、改選前を大きく(40)上回る177議席を獲得した。しかし、目標とした「200議席以上で政権交代」には程遠かった。自由党の前回選挙での獲得議席を勘案すると社民、共産の議席を奪った上に数議席を上乗せした程度で、自民党から民主党への議席移動は少なかった。まだ政権を託そうというほどには信頼を獲得できなかった。
 
 自民党は、小選挙区で168議席を獲得したが、その半数は公明党の協力による、薄氷を踏む勝利であり、今後は公明党次第で議席を大幅に失う危険性を如実に示した。真に勝利した政党はないとの評価が妥当である。
 
 自民(追加公認や加藤復党、保守新党からの合流を含む)244と公明34を合わせた278議席は国民の信任を得たとして、小泉首相は引き続き連立政権を維持することとなった。今後も、かなり長期にわたって政界再編と連立の時代が続くものと予測される。
 
 政治に緊張感をもたらし汚職を少なくするために二大政党政治を指向したのか、両党に共通する新保守主義的政策を是としたのかは分からないが、いずれにしても、国民の大多数は「護憲」や「弱者の味方」を強調した社民や共産ではなく、自民か民主かを選んだ。この事実、とりわけ、中間層を構成する労働者層や青年層にその傾向が顕著に現れたことを厳粛な事実として受け止め、その原因を分析して対応しなければ展望は開けない。
 
 
■ 二大政党政治は定着して行くか
 
 マスコミは解散前から「政権選択の選挙」との報道をくり返し、「自民か民主か」を水先案内した結果、小政党の影がいっそう薄くなり、民主党が勝利し、自民党が議席を維持できたとも言えよう。選挙民は自分の投じた票が「死に票」になることを嫌うし、かつては社会党が享受した野党第一党効果を最近は民主党が享受している。
 
 小選挙区を軸とする現行選挙制度はこの傾向を増幅する。今後、自民・民主両党は比例区定数削減を進めるかもしれない。これに対してはさすがに与党化した公明党も反対を表明しているが、社民党は民意を最もよく反映する比例選を基本とする小選挙区比例代表併用制度(人柄も大事とする世論にも合う)を強く主張し続けるべきである。ちなみに、今回の比例区票を完全比例代表制度に置き換えれば、社民の得票303万票は得票率5.1%で24議席となる。
 
 こうした保守と保守中道の二大政党への道の背景には財界の強い願望があり、連合は自民党独裁政治を終わらせることによって新時代を切り開きたいと考え、自民党に対抗する民主党の勢力拡大を何よりも優先した。選挙は労資双方の大きな意向を踏まえた政治ドラマとなった。マスコミや「21世紀政治臨調」に代表される「現実的な」学者文化人は後顧の憂いなく「二大政党によるリアル・ポリティックスの争いが新時代に不可欠だ。イギリス並みにマニフェスト選挙だ」との論陣を張った。
 
 社民党や共産党の唱えた、9条を中心とする改憲の阻止や年金改革、解雇規制と雇用創出、消費税増税反対などの政策は、現在の情勢や党の力量を含めて現実的なものではないとして等閑視された。イラク派兵反対は社・共の他に民主も強調し、反対票を民主党が吸収したが、自民党を圧倒する決め手にはならなかった。
 
 選挙民の最大関心事は年金と景気・雇用であったが、実際の投票の決め手は経済政策や雇用・年金の政策でも、護憲か改憲かでも、イラクへ自衛隊派兵か否かの選択でもなかった。それらを総合したガバナンス(総合的政治能力)を感じ取れる政党を選択したと思われる。あるいは、長引く不況下での失業・倒産の高止まりの割には総体的には微温湯な中間層では、古いものを少し変えたいという程度のムード選挙であったのかもしれない。
 
 いずれにしても社民党の力量の低下が真の対決軸を喪失させ、低投票率を招いたと言えよう。選挙後、民主党の支持率が上昇し、マスコミは二大政党礼賛を続けているが、民主党の内部にもいろいろあり、自公連立もいつまで続くか予測しがたい。もう少し長い目で見守るべきだとの冷静な捉え方のほうが正しいであろう。
 
 
■ 社民党はなぜ大敗を喫したか
 
 それでは、何故これほどに社民党は敗北したのであろうか。マスコミは、 朝鮮民主主義人民共和国(以下北朝鮮と略す)による拉致事件への対応の不手際と、辻元清美氏の秘書給与流用疑惑による議員辞職と土井党首の政策秘書を含む関係者の逮捕が社民党の大きな支持率低下を招いたと早くから指摘していた。社民党潰し的な傾向も垣間見えたが、正面から反論することはできなかった。もう1つは、「護憲を言うだけで、政策や運動展開で思考停止状態に陥っている」との厳しい指摘も選挙民に浸透して行った。支持率が1%で選挙を迎えることとなり、60%の投票率で5%の得票率は選挙闘争をがんばったとも言える。
 
 四月の統一自治体選でもこうした状況下で社民党の新人の当選は難しく、前回選挙と比較して大幅な議席減を招いていた。支部段階での党の要となる自治体議員の減少は国政選挙の力を大きく削ぐことになった。このところ、社民党は各種選挙での候補者擁立の遅れ、支持率の低下、連合労組の民主党支持への絞込みの強化の悪循環を重ねてきた。
 
「平和と言っても北朝鮮の拉致事件では無能振りを見せつけた。無法な国やテロもあるから、ある程度の抑止力は必要」「いろんな不祥事のたびに、居直った後、事実が明らかになって謝る。対応が実にまずく、信頼感に欠けすぎる」「土井さんが発掘したいい人だと聞いて一生懸命やって、当選したらすぐ離党なんて、いったいどうなっているの」「週刊誌などで党内から不愉快な情報が漏洩している」「景気対策など経済政策が弱い。国民の生活や国の舵取りを任せられない」といった言葉が元支持者からも聞かされた。
 
 こうした積み重ねで総合的政治能力に欠けると見られ、二大政党を煽るムードの中では社民党が投票対象から外れることとなった。党の政治理念や主要政策が真正面から否定されたというより、党の主体的力量が致命的な不信を買い、支持離れが定着してしまったのである。各候補者や選対は地域性を加味したり、生活や仕事と結合して工夫した政策宣伝に努めたのだが、逆境をはね返せず、当選には遥かに及ばなかった。
 
 
■ 社民党後退の根本的要因
 
 社民党がここまで主体的力量を弱めた根本的要因は、労働者・勤労国民の実態や意識の変化に的確に対応できなくなったことであろう。その結果、具体的な政策展開が不十分となり、運動の停滞を生み、支持基盤の理解と共感を失っていってしまった。
 
 高度成長を経て、労働組合と労資関係、および労働者の意識が相互作用を繰り返しながら大きく変化した。階級的労働運動から卒業・離脱し、ソ連・東欧の崩壊や北朝鮮の諸問題に対する嫌悪感で社会主義への忌避は決定的になってしまった。社会民主主義は日本ではなじみが薄く、具体的な成果や実感がなく、まだ理解されていなかった。経済環境の悪化と長引く不況で閉塞感が強まった結果、国民の強いリーダーシップへの期待が強まり、さらには政治的右傾化が始まりつつある、と指摘する識者も少なくない。
 
 多元的な価値観が民主的発展につながらず、基本的に体制肯定、部分手直し願望につながっている。性善説だけでない価値観が弱肉強食の新保守主義的経済やむなしとなり、外国のテロや攻撃を予防する軍事的抑止力是認につながりがちである。民主党が「つよい日本」をスローガンにしたことはポピュリスト的体質の反映であり、ことは簡単ではない。
 
 戦争や生活破壊の危機感を訴えても、中間層をはじめ多くの国民の実感に入り込めず、「理念ばかりで実践的に役立たない社民党」と受け取られる状況になっていた。議席の多い(資本の許容範囲なので潰されない、交渉の余地が大きい)中道政党・民主党に依拠し、自分たちの要求を達成しようとする状況になっている。この意識は大企業労組員や中小企業経営者に強いし、生協やNPOの一部にもある。この階層は今日では中間層であり、黒か白かの二分対立法ではなく、脱イデオロギー、多元的でプラグマティックな判断こそが現実的であり賢明だとの価値観が基底的である。反合理化闘争は国労の今日の状況や経済的国際競争を踏まえれば闘いきれなくなっている。多くの労働者・市民がビジネスや観光で世界を飛び回っている今日、国際貢献の名で紛争後の外国に、生活・経済再建のために自衛隊が派兵されることさえ必要悪と見るようになっている。
 
 大多数の未組織労働者は頼るものもなく、信ずる党を見い出せない。階層を超えて、無関心あるいは政治不信の結果として無党派層となり、政治からの逃避・棄権をする人が多い。また、宗教と結合した政党への投票、仕事でお世話になったり、お祭りや少年野球に顔を見せる保守政治家への投票などに分散している。
 
 こうした実態や価値観を蔑視したり非難することは誤りであり、労組機関との良好な関係に加えて、個々の労働者・市民との関係も地道に作ることである。そういう関係が希薄になってしまったから、同じスローガンをくり返しているだけと取られ、支持率の低下と党弱体化、選挙敗北につながった。
 
 
■ 民主党はどう進むのか
 
 民主党はイギリス労働党やアメリカ民主党をなぞらえているように見える。社民リベラルというより、保守タカ派をも含む中道政党になったように見える。社会主義インターには加入しないのではないか。ただ、旧社会党系の議員がまだがんばっているので、有事立法には賛成したが、イラクへの自衛隊派兵には反対している。社会保障や労働者の権利についても自民党ほど冷たくはない。その点は評価すべきである。
 
 組織的支持基盤である労組・連合は、ヨーロッパの社民党を支える労組と比較して闘争力は極めて弱くなった。労組が昔ほどありがたくないので、組合員は幹部の言う通りにはならない。ヨーロッパでは、賃金でも年金でも反戦平和でも、警察官や消防官も含めてストライキで闘う国が少なくない。日本の生活や賃金や年金や失業保障や住宅や自然環境は世界一になっていて、これ以上引き上げれば国際競争力を落とし、経済成長を阻害すのであろうか。そんなことはない。ヨーロッパ社民政権下の福祉国家は、生産性も生活も日本よりも高いところもあり、平均的にも引けをとっていない。これ以上リストラを許せば、かえって経済を停滞に追い込むことになる。
 
 海外進出した日本の資本の権益をアメリカとともに守るために集団自衛権の行使を当然のこととして、日米政府が必要と判断したらいつでも戦争ができる国になっていくのである。青年がまた海外で殺しあうことにためらいをなくしていくのである。これらの問題で連合など労組が大衆的に立ち上がることが期待される。
 
 政権を取ろうとする民主党は、新保守主義的経済・労働・社会保障政策を採り続けていくのか、国連の名の下なら国際協力として自衛隊を戦争のために派兵することを是認するのか、が問われる。民主党が社民リベラルの党になるかどうかは、労組のいう通りにはならないのは当然としても、連合の動向に大きく影響を受ける。連合が「公正と公平」「平和と民主主義」を真に追求するかどうかにかかっている。民主党内の社民的な議員の奮闘にもよるし、逆説的だが、社民党の伸張は民主党内の社民的良識派を援護射撃することにもなる。
 
 もし民主党がますます新保守主義を強めるのであれば、必ず、社民党が第三極としての存在を国民に求められ、党再生の努力は、きわめて厳しい状況の中でも続くであろう。やがては新保守主義的経済の破綻を機軸とした社会情勢の中で、社民党が自民党に代わる、したたかでしなやかな政権政党に成長していくであろう。
 
 
■ イラク派兵反対、雇用・年金など生活擁護を
 
 11月19日からの特別国会は議長など院の構成や首班指名に加え、イラク派兵の是非も論ずるよう会期を設定すべきである。イラク情勢は悪化の限りを極め、アメリカは来年6月にイラクの政権に権限委譲すると表明せざるを得なくなった。14日にも閣議決定するとしてきた小泉首相はイラク支援基本計画を特別国会召集後に延期し、さらに年内派兵は困難と取れる官房長官談話を発表した。「日本も派兵すれば標的になる」との声明も出された。
 
 国民世論も7割が派兵反対であり、社民、共産と民主が明確に反対していることから、国会に諮らずに派兵を強行するのは難しい情勢となっている。与党として賛成している公明党も、裏では慎重論が少なくないと言われている。この一点で(首班指名で社民党は民主党に協力してもよい)野党共闘を強め国民や自衛隊員にも呼びかければ、派兵阻止の可能性は生まれてくる。自衛隊員が外国の地で殺しも殺されもしない、イラクが自主的な政権を再構築し、国連主導の支援で生活やインフラを再生させるとの方針を固めるべきである。
 
 通常国会での最大課題は経済と年金・雇用である。選挙民が意識したかどうかはともかく、経済的に見た総選挙の最大の政策争点は「安定政権の継続による構造改革の継続」(連立与党)か「脱官僚でより良くより早い構造改革」(民主党)か、「失業・倒産・福祉切捨ての構造改革反対」(社民党,共産党)かであった。しかし、道路公団や郵政の民営化などは、騒いだ割には、自民・民主両党内の不協和音が大きく争点がかすんだ。また、基本的に両党が似た政策なので投票上の争点とはならなかった。今後も複雑な展開は必至である。
 
 何でもいいから景気を良くしてくれ、年金を守ってくれ、雇用を作ってくれというのが、選挙民の声の最大公約数であった。しかし、新保守主義的構造改革の下では、大企業を中心に企業業績が回復傾向といっても、雇用や賃金・労働条件の回復は望みにくい。現に、来春の新卒者の就職内定率や高齢者の再就職は極めて悪いし、一部を除く中小零細企業の淘汰と苦吟は、農林水産業の衰退とともにさらに深刻化するであろう。
 
 年金改革は高齢者を中心に、暮らしの根幹にかかわる最重要事である。基礎年金の国庫負担の3分の1から2分の1への引き上げを早期に実現し、長期的にもより良い改革案を速やかに策定すべきである。財政再建は不良債権の処理とともになるべく早いほうが望ましいが、勤労国民に痛みをこれ以上押し付けられるようなら、急ぐ必要はない。
 
 こうした国民全体の日常生活にかかわる課題は職場の問題に密接に絡んでいる。職場・産別での要求や国民的要求について、労働運動の闘いの強化に期待したい。院内の闘いは、院外での様々な要求と闘いがあってこそ有効に成果を挙げることができるのである。
 
 行財政の民主化の大きな鍵である地方分権も同様である。税源と権限の委譲、市町村合併、道州制の問題も、自治体の首長や議会だけでなく、自治労をはじめ労働運動や市民運動の実践や闘いにささえられるかどうかにかかっている。人件費攻撃や福祉財源の圧縮は強まっているが、それを乗り越えていく闘いと運動の発展が求められている。
 
 
■ 憲法改悪の阻止に向けて
 
 小泉自民党は選挙戦が優勢なのを確信した上で、「05年に改憲案をまとめる」との態度を明確にした。9条改憲と国民の義務の強化がその中核である。同時に、能力主義を進め、愛国心と滅私奉公のための教育基本法改悪も強行しようとしている。しかし、公明党は環境権やプライバシー権を名文挿入する「加憲」はすべきだが、9条の平和条項は守ると言い、教育基本法の国家主義的転換には慎重である。連立が自民・公明の2党だけになったので、公明党への風当たりも強くなるから、安易に平和主義や民主教育を捨てられないであろう。公明党の力を借りて当選した自民党議員がこれを突破するかどうかはまだ予断を許さないが、公明党の変質もあり、情勢は厳しいと捉えるべきであろう。
 
 民主党は「創憲」となり、平和原則を守りつつ現実的な変更は必要としながら、9条改憲は否定しない。小沢一郎は平和主義、国連中心主義を原則としながら、嘘を許さないためにも9条改憲を行うとしてきた。今後、民主党は大筋この線で進むであろう。
 
 改憲の論拠は「憲法は不磨の大典ではない」「新たな情勢に応える権利や義務を憲法に追加し明文化すべきだ」「国際協力は国連憲章や憲法前文で否定されていない。その範囲で9条を整理する」などであるが、主として問題なのは9条の変更である。真正面から否定しているのは社民、共産の2党だけであり、合わせても国会の議席の1割を大きく割り込んでいる。今後、社民党が護憲の具体的運動を展開するにあたっては、社会党時代の石橋提案が参考になると思われる。
 
 当選議員のアンケートでは「改憲手続きを始めるべきだ」が全議員の3分の1を超える171人、「核武装を検討すべきだ」が80人、17%との結果が出た。自民、民主両党にわたっている。まだ議員の3分の2で国会が発議という状況ではないが、政党の指導部は党議拘束で議員を縛るから、予断を許さない。反対運動が弱ければ、05年は政府与党が改憲に着手する年となる可能性は低くない。それと並行して国連安保理常任理事国入りを追求する。日米同盟を少しでも対等なものにしていく。核武装化と自主防衛路線の模索もされるであろう。戦後史の大きなターニングポイントである。
 
 
■ 社民党をいかに再生させるか
 
  極めて残念ながら、社民党は組織的にも財政的にも危機的な事態に直面することとなった。本部(全国連合)、県連(各都道府県連合)も事務所の維持や専従役職員の賃金、運動資金などの資金が枯渇していく。現状では、ただちに社会新報拡大や運動や学習会を通じての党員拡大にも明るい展望は見えない。党や国会に経験豊かな人材は極めて少なくなった。来夏の参議院議員選挙(東京では再来夏の都議選)闘争も重い課題となった。「このままの状況が続けば、国民も労働組合もますます社民党と疎遠になっていき、党は新社会党と同様の状況になって消滅状態になって行く」との心配の声が強まっている。
 
 全国代表者会議で土井党首は党首を辞任し、大会で追認を得ることを前提に福島瑞穂幹事長を新党首に選出した。議員団の内部に幾つかの矛盾と対立を抱えているが、後がない状況であることを踏まえ、謙虚に相互理解と協力を深めて体制を整え、12月13日に予定される大会が的確な総括と前向きな方針が確認できるようにしなければならない。
 
 来夏の参院選で精一杯闘う体勢を準備することであり、その目標に向かって活動を強化できるかどうかである。組織・財政・支持率は厳しく、候補者擁立に始まって困難の連続であろうが、困難な情勢に打ち勝てなければ、展望は切り開けない。歴史が最も社会民主主義を必然として求めているときに、一時的にせよ社会民主主義の党が幕を閉じるという笑えない喜劇を演ずるわけにはいかない。
 
 今回の総選挙では、新社会党をはじめ市民運動家や社共以外の左翼運動家たちが、護憲・社民主義の期待を込めて社民党を応援してくれた。党はこうした幅広い階層や運動と連帯し、歯を食いしばってがんばり続け、逆境を乗り切ることで応えなければならない。場合によっては、フランス社会党の71年のエピネー大会に学ぶことも必要である。主体の構築と共同戦線あるいは統一戦線とは矛盾しない。民主党が社民リベラルの党になってくれれば、大合同を拒否する理由はないが、今日の民主党の動向からは、見通しは立たない。
 
 候補者擁立、最少の費用で最大の効果を挙げる選挙戦術、大衆運動での統一戦線の追求などに着手しよう。今こそ労農派の先達の教訓を活かしてがんばろうではないか。
 
 (11月17日)    

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