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●しっかり訴えよう! 「翼賛国会」の危険性 −又市征治参議院議員に聞く
 (2003年7月号)

 
7月号の特集は「労働運動の行方−非典型労働者の組織化を」です。典型労働者は「非典型」。これまで私たちが「典型労働者」として考えてきた終身雇用(年功賃金)の正社員が、今日では少数派になっていることをしっかり見つめようという提案です。代わりに増えてきたのが、「パートタイム」労働を主体とする非正規といわれる雇用形態です。役職者を除くと5千万人弱いる雇用労働者のうちの3割、1500万人がそういう雇用形態で働いています。多数ではありませんが、無視できないのはいうまでもありません。
 
「パートタイム」としたように、正規雇用より短い時間契約にはなっているものの、その実態はほとんど同じかそれ以上の場合もあります。とくに単身者の場合、時間単価が安いためにダブルジョブでないと食べられません。東京の最賃の705円でも、1800時間では130万円に達せず、長時間働かざるをえません。
 
雇用責任を負わず(おかしなことです)労働者を使えるということで派遣労働も急速に増えつつあります。さらの企業が使い易いようにと派遣法が改悪されてしまいました。いずれも終身雇用の対極にある有期契約雇用です。契約更新をちらつかせた指揮命令は拘束性の強いものにならざるをえません。団結することが困難な最大の要因です。組織労働者の側の努力が求められています。同じ職場で働く労働者が差別待遇を受けているのです。
 
派遣法の改悪をはじめとした労働法制改悪、そして有事法制と、今国会は歴史に悪名が残るものとなってしまいました。又市参議院議員にお話を伺いました。
 
又市征治参議院議員のプロフィールはこちら

* 第156国会は日本の歴史に残る国会になりましたが、そこら辺からお話し下さい。
  (6月11日現在)
又市 与党の方はさらに40日の国会延長を目論んでいますから、まだどうなるかわかりません。参議院では、与野党国会対策委員長会談で、「国会法10条にのっとって閉めるべき」と確認しました。国会法では、全党が一致できる緊急の課題等がある場合を除き、通常国会は150日と決めているわけで、延長することはできないわけです。ところが、この点に関しては衆議院の権限が優先ですから、どうなるか…。
 
こういう点も含めまして、今国会は「何でもあり」でした。小泉内閣は失政続きです。国会が始まった当初、350万人と言われていた完全失業者が今では385万人、世帯収入が連続して下がり続け、中小企業の経営難と倒産が史上最悪を更新しつづけているわけですから、本来ならば、雇用と景気回復に特化してでも審議すべきだったと思うのですが、逆効果の法案ばかりが通る国会でした。
 
まず政府予算案が国民生活破壊の形で示され、たいした反対もなく通ってしまいました。健康保険が二割負担から三割負担に、児童扶養手当も削減、生活保護基準の切り下げ、介護報酬の切り下げと保険料の引き上げ、そして発泡酒、たばこ税の引き上げなど、4兆円の増税です。景気回復を図らなければならない時に、消費を押さえる形です。
 
私は選挙に出る際、小泉内閣のすすめる構造改革は、経済のグローバル化にともなって、一つは大企業の国際競争力を強めるために、あらゆる産業でリストラ合理化をして、コストダウンを図る。それは弱肉強食の社会作りに繋がっていく。二つめはその延長線上で、大企業の海外権益を守り拡大するために、海外で戦争ができる国にもっていく、米軍にくっつけて自衛隊を海外に出せる、そんな国づくりが必然的に出てくると訴えました。それがものの見事に貫徹されてきているのが今国会です。
 
リストラ合理化の方は、先ほども言った形で国民生活の犠牲がますます大きくなっています。そして戦争ができる国づくりの方は、明確に有事法制として出てきました。これは戦争放棄をうたった憲法を停止するもので、戦争をできる国に転換する法体系です。現憲法を意識して「有事法制」というけれど、実際は「戦時法制」です。
 
これに絡んで教育基本法の改悪なども出てくる。公務員制度改革についても、透明で民主的な公務員制度でなく、国民を統制し監視する公務員制度に変えようとしている。いずれも会期が40日伸びると出てくる可能性がある。
 
それから個人情報保護法案、審議が止まってはいますが人権擁護法案、労働法制(労基法、派遣法、職安法)の改悪がでています。産業再生法、保険業法改正案(これは約束した保険利率を下げてもよいというものです)と、いずれも重要な法案がぼろぼろ出され、数を頼みに十分な審議もつくさず、一定時間の審議を経たら時間ですからといった格好で採決してしまうやり方です。冒頭に述べましたように、まさになんでもありの国会になっている。
 
* 「審議を尽くさず」という点では民主党の責任も大きいのではないでしょうか。
又市 有事法制なんかいい例でしょう。自民党と民主党の修正案がまとまりましたからと、審議もしないでいきなり採決ですからね。個人情報保護法案も、情報とか事業者の定義もはっきりしないままに、自治体から自衛隊への適格者名簿提供のようにどんどん情報が漏れていく、情報を操作することにどう歯止めをかけていくのかは全く明確にならないまま通りました。国民が疑念をもっている問題にまともに応えないで時間で押し切るというやり方は、与党三党と民主党で議席の9割を占めるなかで加速している。
 
重大犯罪に関わった心神喪失者は再犯のおそれを理由に予防拘禁してもよいとする法案もまったく十分な審議もされないままに通された。委員会では、これは保安処分に近いものがあるので問題だから明後日また論議しましょうと確認した直後に、動議が出されて採決してしまったのです。だまし討ちですから、本来ならば野党が「国会無視だから差し戻せ」といわなくちゃいけないんです。人権問題に関わる問題なのに、公明党の委員長が取り仕切る委員会で通されてしまった。このように国会審議がひじょうに形骸化しています。
 
* あらためて有事法制の狙いと危険性をお話しください。
又市 有事法制で、社民党と共産党が追及した点は、戦争放棄を宣言した憲法をもつ国を、誰が一方的に攻めるかという点です。世界中を敵に回すわけですから、攻撃側が壊滅することを前提にしない限りできないことです。それは一面で、アフガニスタンやイラクの状況を見ても明らかで、「平和国家日本を攻めてくる国が在ると認識しているのか」と問いただしたのですが、何一つ答えませんでした。ここはポイントだと思うのです。「攻めてくる」という認識だったら何らかの備えも考えなくちゃいけないでしょうが、まったく答えず、「備えあれば憂いなし」と逃げたわけです。
 
田さんや福島さんは、「周辺事態法案と称してアジアで米軍が展開している軍事行動を支援している場合に、有事法制が適用になるのか」と追及したら、「なる場合とならん場合があります」という答弁でした。そして「攻撃というのはわが国土に対する攻撃だけではなくて、海上の自衛艦などが攻撃された場合もそれとみなす」と答弁している。これはたいへんなことです。イラクはまだ戦闘地域でしょう。先ほどの党首討論でもそこが焦点になったのですが、戦闘地域に米軍の後方支援をやりに行くとなった場合に、武器・弾薬の輸送まで手伝えば米英の同盟軍とみなされ攻撃されることもありうる。それをわが国への攻撃とみなすということは、自動的に集団的自衛権の行使に踏み出すということになるわけです。国土を自衛すると称して戦闘行為に入っていく可能性が出てきたわけです。
 
有事法制というのはそこが狙いです。かつてイラン革命がおこり油田開発投資が全部パアになったことがありました。そういうとき海外権益を守るために、米軍に協力願いながら自衛隊が出て行くのが目的だった。それは冷戦体制崩壊後のアメリカの日本への要求、日本は経済力に見合って目に見える軍事貢献をすべきだというのが九六年日米共同声明であり、翌九七年の新ガイドラインであり、具体的に法制化したものが、九九年の周辺事態法だったわけです。でも極東に限定されていましたから、周辺事態法が適用にならないアフガンの場合にはテロ特措法が必要だった。これを個別法を作らずとも全世界を対象にした有事法制にもっていきたいということでしょう。
 
国民に正直に言えば猛反発をうけるので「備えあれば憂いなし」といって押し切った。そしてイラク復興支援というかたちで現実的に踏み出そうとしている。イラクへの武力攻撃を支持して、さらには支援に行く。そして攻撃をうけたら一緒になって戦うというわけです。
 
それは朝鮮半島へ向けられたものとも言える。アメリカはイラク、イラン、そして朝鮮が悪の枢軸国だと名指して軍事的圧力を強めている。それと一緒になって行動しているということは、米軍基地や自衛隊基地に対して「どうせやられるなら、やられる前に」という気持を起こさせる危険性がある。自ら有事を招き入れることをやっていると思います。
 
それが、衆議院で90%、参議院で86%の賛成で通ってしまうわけですから、危険ですね。自民党の長老グループが「賛成してもらうのはありがたいが、野党第一党まで含めて90%が賛成とは…。これでは大政翼賛国会になっていく」と心配しているわけです。野党第一党の民主党の責任は重いですよ。「政権担当能力を示したかった」といっていますが、作られた「世論」に迎合して、とんでもない空気を作ってしまったわけです。
 
*具体的にその影響というのが出ていますか。
又市 5月15日衆議院本会議の日に国会要請行動があり私も党を代表して挨拶にいったのですが、日の丸をもって戦闘服を着た右翼が30人ばかりきて、私が発言すると「非国民」というわけです。国会状況がそれを許したということですから、大変な事態です。
 
民主党は「基本的人権の尊重の文言が入ったからいい」というけれど、それを制限するのが戦時法制であって、文言が入ったから守られるという民主党の認識は理解しがたい。平時の現在すら、基本的人権が守られていないのに…。
 
今回出ている労基法の改悪は、首切り自由で、首切られたほうがその理由を立証しなくちゃならんという、こんな憲法違反が通ろうとしている。これも野党四党で修正案を決めていたのに、民主党は自民党との協議で「解雇できる」という文言が削られたからと賛成してしまった。有期雇用の期間延長なんかまったく修正できていないわけでしょう。
 
40日延長になったばあい、イラク復興支援立法だけでなく何が出てくるか分らない怖さがある。テロ特措法は2年延長と言っている。アフガンの米軍に対してはすでにガソリンスタンドの役割をやっているが、アフガンのはずが、イラク攻撃の空母キティホークに燃料補給していた。艦長が「補給に感謝している」と言ったわけですから、まさに参戦している。攻撃が始まる前、イラクの外相が、「米英を突出して支持すると言った日本は敵とみなす」という声明を出したけれど、イラクが大量破壊兵器を持っていたならば、攻撃を受けていてもおかしくない。「憲法の枠内」「憲法の枠内」というけれど、小泉首相の頭のなかでは枠そのものが無いに等しい。
 
*これからの闘い方はどうしたらいいでしょう。
又市 院外の運動が弱い。そしてさまざまな不平、怨嗟の声があるけれど、統合されて闘っていくことになっていない。残念です。きょう、新潟の五泉市長が来られていましたが、米価が買い叩かれ、農村の不満、不安も大きい。そこに、年金が、健康保険法が改悪されてくる。労働者も労基法が改悪され、サービス残業など過労死が頻発する働き方である。労働者も不満が多い。それなのに、小泉内閣打倒の声があがってこない。社会党がダメだダメだと言われて三つに分裂し、社民党は小さく弱くなっている。民主党にも労働組合出身の議員もいるからと幻想をもっているから、闘いが分散化している。かつてのように国民生活を大事にして、大衆運動を起こすという部隊が小さくなって、連合に遠慮している。それぞれの地域においても運動を起こすということになっていませんね。
 
しかし私は悲観しているわけではない。マスコミが報道しないからわからないけれど、イラク攻撃に対して日本でもかなりの人が、おそらく何百万かの人が立ち上がったことです。またこれだけ国民生活が疲弊していることを国民の皆さんが感じている。社民党が「がんこに平和、げんきに福祉」というのは、まさに国民生活が元気になるようにという意味です。振り返ってみれば、二〇世紀というのは人類史上で最も残酷な戦争の世紀だったけれど、二一世紀は平和の世紀にしようというのが、世界の滔滔たる流れでしょう。それに逆らうのがアメリカであり、それにくっついたイギリス、そしてまさに下駄の雪のように日本がいる。世界的に見れば平和を求める声は圧倒的ですから、社民党が依拠してきたもの、生活を守る、平和を守るということ、憲法を守るということを、これまでは理念だったけれど、今は現実の課題なんだから、影響力をつけて頑張らなければならない。
 
生活を守る大衆運動の不十分さが、今日、憲法改悪の危機まで招いていると思います。原点は国民生活を守るということですよ。中小零細企業は銀行の貸し渋り・貸しはがしが厳しい。しかし日本経済の土台なんですから政府の保証で低廉な貸付をやるべきですよ。それをコストダウンのためには潰してしまえといい、代わりはアジアの国でいいじゃないかという。こういうことに対しては毅然とした態度で言っていくべきです。こういう格好でやられていったら年金なんかどうなるか。今の時代状況の中で何をしていかなければならないか。もっともっと議論すべきです。そしてそれを五大要求とか十大要求とかにまとめて大衆運動にしていく。労働運動はもとより、それが社民党に求められているのだと思います。
 
当選して1年10カ月、この間に142カ所に伺いました。「社民党はダメじゃないか」といわれれば、小さくなったことをお詫びしますが、一方で、戦争を体験し平和を守ってきた皆さんが、こんな事態に黙っていることはないじゃないかと申し上げます。戦争になれば徴兵制がしかれます。「教え子を再び戦場に送るな」と誓われた日教組ですが、日教組出身の議員が有事法制では賛成に回っている。自治労議員だって、「個人的には反対」などと言いながらも賛成した。「党決定だから」と言うのですが、「自分の生き様をかけた闘いに、それはないんじゃないの」と申し上げました。個々人では弱さもあるでしょう。それを許さないのは皆さんの大衆運動の力ではないでしょうか。「有事三法が通ったから終り」ではなく、さらに関連法案が次々出てきます。何より有事法制を発動させない闘いが大事です。
 
NHKの討論でも申しあげたのですが、小泉がやっているのはデフレ不況対策ではなくて、デフレ不況政策ではないのか。もちろん自民党の中でも政策転換が必要だという声はあります。だから、9月の総裁選を乗り切り、臨時国会で景気対策の補正予算を組んだところで、総選挙になるのではないでしょうか。
 
いずれにしろ、この総選挙は、小泉内閣の失政、憲法を踏みにじる政治に賛否を問うものになります。小泉以外に人がいないという、消去法での小泉支持が50%もあるわけで、私たちは、小泉内閣の悪質さ、そのことの意味をしっかり国民に訴えていかなければいけないと思います。
 
*今日はお忙しいところをお時間を割いていただきありがとうございます。あきらめることなく、有事法制の関連法成立を阻んでいきたいと思います。

 

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