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●2014年9月号
■ 反動安倍政権の動向と私たちの課題
   社民党幹事長・参議院議員 又市 征治

   

■ はじめに

第二次安倍政権の発足から1年8カ月が経過した。最近の世論調査では、安倍内閣の支持率は発足時から20ポイント前後低下して40%台に落ち、支持・不支持が接近してきた。
   
それは、アベノミクスが喧伝されるが所得は増えず出費ばかりが増える現実や消費増税の一方で社会保障が改悪続きであること、また集団的自衛権行使容認の閣議決定と軍事大国化への懸念に加え、原発の再稼働やその輸出の促進、再度の消費税増税などに対する国民の不満・不安や怒りの増大の表れであろう。
   
しかし安倍政権は、こうした国民の声に耳を傾ける姿勢にはない。衆・参両院における与党多数(衆院の67.7%、参院の55.8%)を背景に、「戦後レジーム(体制)からの脱却」(=改憲)に向けてひた走る構えである。そのため、9月上旬には党と内閣の改造を行い、秋の臨時国会乗り切りや、消費税10%への引き上げ決定に備える。そして集団的自衛権行使に向けた関連法案の整備については、年末までに「日米ガイドライン(日米防衛協力の指針)」の再改定を先行し、それを踏まえて来春に国会上程の方針である。審議が紛糾するようであれば、「民意を問う」と称して通常国会での解散・総選挙も視野に入れているとの意見もある。
   
戦後政治史の中で、確かに中曽根政権や小泉政権も右翼的政権・タカ派であった。しかし両政権は、憲法改正論を口にしても「集団的自衛権の行使は憲法上許されない」との姿勢を取り、立憲主義をそれなりに守ってきた。だが安倍政権は違う。憲法九条改正に国民の反発が強いと見るや、憲法の解釈を捻じ曲げて集団的自衛権行使を可能にし、憲法九条を実質停止しようというのである。
   
安倍政権は、労働者保護法制の相次ぐ改悪、平和・民主教育を国家主義教育へ転換する一連の動き、国民の知る権利や報道の自由を制限する特定秘密保護法制定、武器輸出三原則の原則自由化などに見るように、平和主義・基本的人権の尊重・国民主権の憲法三原則を蹂躙しようとする極右・反動政権と言わねばならない。
   
憲法とは、主権者たる国民が政治権力を縛り憲法条項に則った政治を義務付けたものだが、安倍政権はそれを公然と踏みにじり、主権者・国民に挑戦しているのだから、今まさに、主権者・国民の意思表示が問われている。
   
以下、安倍政権の動向と私たちの課題を共に考え、反撃の契機としたい。
   
   

■ 1. 一層格差を拡大する社会・経済政策

・アベノミクスはさらに格差を拡大する
安倍内閣は、「デフレからの脱却」を最優先課題に掲げ、経済政策・アベノミクスを打ち出した。だが、病気はその原因を突き止め正しい処方を施さねば治すことができない。1998年以降の長期に及ぶデフレの主因は、政府・財界が徹底して賃金を抑制し、非正規雇用者を2000万人にも拡大したことによって消費が低迷し国内需要が停滞したことにある。これによって資本金1000万円以上の企業は配当金を3.3倍に伸ばし、内部留保を300兆円にも増やすなど莫大な利益を上げてきたが、この間に民間労働者の賃金は平均で59万円(13%)も引き下げられた。
   
だからデフレ脱却の処方箋は、労働者の賃上げ、非正規の正規化・均等待遇、抜本的な最賃引き上げ・中小企業支援策などによって国民の所得を増やし、また将来不安を解消する社会保障の拡充によって、個人消費と内需を拡大することである。安倍内閣はこうした私たちの指摘を一定認めざるを得ず、今年は「経済の好循環実現のために賃上げを」と言及したが、この実現は今後の労働組合の闘いにかかっている(今春闘の賃上げは定昇込みで2.07%となったが(連合調べ)、厚労省によると6月の実質賃金は物価上昇や消費増税などで3.8%減となった)。
   
そこでアベノミクス三本の矢だが、これは概略以下の内容であり、デフレ脱却・景気回復の処方箋とは言えない。むしろ、さらに国民生活や雇用を壊して格差を拡大し、財政危機を深め、増税や社会保障改悪の圧力となってくる。
   
「大胆な金融緩和」は、大幅な円安を引き起こし、輸出大企業は為替差益で空前の利益を上げた。過剰生産と内需停滞の下に投下された資金は設備投資よりも投機に回って株価を急騰させたが、景気が良くなったわけではない。そして一方では輸入物価の高騰と消費税増税が相まって庶民の生活と中小企業を直撃した。
   
また「機動的な財政出動」は、財政危機の実態を無視し、公共事業のバラマキで名目GDPを押し上げ、今秋の消費税10%決定につなげる狙いがある。
   
そして「民間投資喚起の成長戦略」は、「世界で一番企業が活動しやすい国づくり」と称して、大企業への一層の規制緩和や各種減税措置を取る一方で、安上がり労働力づくりのため、派遣労働者をずっと使い続けることができる派遣労働法改悪、解雇し易い限定正社員制度、残業代不払い制度の導入などを目論むものである。
   
   
・消費税増税は法人税減税の穴埋め
通常国会で強行された地域医療・介護推進法は、昨年来の生活保護費(6.5%)や年金(2.5%)の切り下げに加え、70〜74歳の医療費自己負担を2割に、介護の1割自己負担を一定収入以上の世帯は2割負担に、介護の要支援一、二の介護保険適用を除外するなど軒並み改悪ばかりである。「社会保障拡充のための消費税増税はウソだ」の指摘どおりである。
   
1989年の導入以来、消費税の税収は282兆円に上るが、この間の法人税の減収は三度の税率引き下げを含めて255兆円に上る。消費税は社会保障費にではなく法人税減収の穴埋めにされてきた格好だ。「法人税は欧米より高い」との口実で税率が引き下げられてきたが、実際には租税特別措置や政策減税などさまざまな減税措置によって実質税率は額面より低く、しかも赤字欠損法人は払わなくてもよい仕組みである。そのため、日本最大企業のトヨタが莫大な利益(今年3月決算の営業利益は2兆2921億円)を上げながら、過去5年間は1円も納税なしという驚くべき事態が起きている。来年10月から予定される消費税2%アップは、30%台の法人税を20%台に下げる(年約2兆5000億円の減収)肩代わりに他ならない。国民をなめ切った政治と言わねばならない。
   
   
・選挙公約も翻し原発再稼働と輸出に転換
自民党は、2年前の総選挙で「原子力に依存しなくてもよい経済・社会構造の確立」を公約に掲げた。そして誕生した安倍内閣は「福島の復興なくして日本の再生はない」と公言した。ところが、東電福島第一原発事故の原因が依然解明されていないにもかかわらず、今年4月に閣議決定した「エネルギー基本計画」では原発を活用し続け、原発輸出も進めるとしたのである。選挙公約も民意も、13万人の原発避難者の塗炭の苦しみも顧みない「嘘つき安倍内閣」の実態である。
   
溜まり続けた1万7000トンの使用済み核燃料が無害化するまで10万年以上、地殻変動の激しい日本でどう安全に貯蔵するかは大問題だが、未だ最終処分場を決められない。原発再稼働はさらにそれを増やし続けることであり、無責任極まりない子々孫々への危険のつけ回しに他ならない。
   
福井地裁は、今年5月21日、原発の再稼働によって「憲法上の権利・人格権が侵される恐れ」を認め、大飯原発の運転差し止め判決を下した。国策で始めた原発は今こそ政治が止め、脱原発・再生可能エネルギーへの転換を図る時期である。原発再稼働の動きには、「30キロ圏内の防災協定・避難計画」と「住民同意」を求めて阻止運動を強め、「脱原発基本法」制定運動につなげていかなければならない。
   
   
・選挙公約も国会決議も踏みにじるTPP交渉
TPP(環太平洋経済連携協定)とは、「2015年をめどに加盟国間で取引される全品目の関税全廃を目指す枠組み」だから、これに参加すれば国内の農畜産業をはじめ医療・国民皆保険、医薬品認可、食の安全基準など21分野が国際競争にさらされ、国民生活に甚大な悪影響を与える。しかし安倍内閣は、「聖域なき関税撤廃反対」を選挙公約に掲げ、また昨年4月の衆・参の農水委員会の「農林水産分野の重要5項目(米、麦、肉、乳製品、甘味類などの586品目)などの聖域の確保を優先し、それが確保できないと判断した場合は、脱退を辞さないものとする」決議に同意しながら、水面下で関税の大幅引き下げ、弱小産業切り捨てを進めている。これには国会決議で一致できる政党、関係団体と共に政府を追及し闘いを進める。
   
   

■ 2.「壊憲」にまっしぐらの安倍政権

・憲法九条は政府に戦争することを禁じた規定
「わが国は、遠くない過去の一時期、国策を誤り、戦争への道を歩んで国民を存亡の危機に陥れ、植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与え」(村山談話)た。この「痛切な反省」の上に日本国民は、憲法前文で「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないように決意し」、そして憲法九条で「戦争の放棄、戦力の不保持、交戦権の否認」を規定し、政府に戦争を起こすことを禁止したのである。
   
だから歴代政権は、国会をはじめ国民的論議や法理的検討の中で、この憲法九条とわが国の自衛権について次のように整理し、この憲法解釈が今日まで定着してきた。
   
わが国の自衛権の行使は、

  1. わが国に対する急迫不正の侵害があること、
  2. 他にこれを排除する手段がないこと、
  3. 防衛は必要最小限の実力行使にとどまること

──の3要件を満たす場合に限られるとした(1969年内閣法制局長官答弁)。
   
   
また集団的自衛権は、「わが国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止する権利」であると定義した上で、「憲法第九条の下において許容されている自衛権の行使は、我が国を防衛するため必要最小限度の範囲にとどまるべきものであり、集団的自衛権を行使することは、その範囲を超えるものであって、憲法上許されない」と、明確にこれを否定してきたのである(1981年質問主意書への政府答弁書)。
   
そして歴代政権は、軍事的組織である自衛隊であっても、「わが国が武力攻撃を受けた場合に備えた『専守防衛』の組織であり、他国の軍隊のように海外で武力行使をすることはない」と繰り返し言明してきたのである。
   
   
・集団的自衛権行使は戦争をする国への転換
安倍内閣は、こうした歴代政権の憲法解釈を覆すことに執念を燃やし、これまでも様々な策を弄してきたが、ついに自衛隊創設60周年の7月1日、これまでの「自衛権行使の三要件」のうち「1. わが国に対する急迫不正の侵害がある」場合を、「わが国または密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、わが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある」場合に拡大して、憲法九条が認める『必要最小限度』の自衛権の中に集団的自衛権も含むとする憲法解釈変更の閣議決定に踏み切った。そして今後、自衛隊法などの20本近い関係法の整備を進めるとしている。
   
つまり日本が直接攻撃をされていないにもかかわらず、他国のために戦争をする国に変えるというのである。これは、政府に戦争を起こすことを禁じた憲法九条に違反することは明白である。
   
この無理を押し通すため、彼らは集団的自衛権行使の必要性宣伝のために、

  1. 邦人輸送中の米艦防護、
  2. 攻撃を受ける米艦の防護、
  3. 武器輸送が疑われる船の公海上での強制的な検査(臨検)、
  4. 米国に向かう弾道ミサイルの迎撃、
  5. 弾道ミサイル発射を警戒する米イージス艦の防護、
  6. 米国本土が攻撃された場合に日本付近で行動する米艦の防護、
  7. 国際的な機雷掃海活動への参加、
  8. 民間船舶の共同護衛

──の8事例を上げた。
   
だが、例えば「邦人輸送中の米艦防護」だが、邦人救護は自国の責任であるから米艦は輸送しないし、集団的自衛権とは関係がない。また想定する北朝鮮から「米国に向かう弾道ミサイルの迎撃」だが、日本上空でなく北極圏を飛ぶミサイルを迎撃することは不可能な絵空事である。さらに「攻撃を受ける米艦の防護」や「日本付近で行動する米艦の防護」だが、世界最強の米軍を攻撃する無謀な国が仮にあるとし、その国に日本が米国と集団的自衛権を行使するとなれば日本本土も艦船も攻撃対象になるのだから、米艦を防護する余裕などあり得ない。このように8事例は、現行法・個別的自衛権で対処できるもの、またはあり得ない想定や絵空事であって、国民をたぶらかす悪質なデマ宣伝である。
   
では、集団的自衛権の行使が可能になれば、どういう事態になるか。
   
かつて米国からの要請で、01年にアフガニスタン攻撃、03年にイラク戦争に自衛隊が派遣された。しかし憲法九条に基づき「武力行使はしない、戦闘地域で活動はしない」ことを法定して臨んだ。
   
だが、集団的自衛権を行使するとなれば、安倍首相は「日米同盟は血の同盟だ。死活的に重要だ」と言うのだから、米国の参戦要請は断れず、イラク戦争のような場合に自衛隊を派兵し参戦することになることは必定だ。政府はいま現在は「自衛権『新3要件』に該当する場合に限定する」と説明するが、政府が「国民の生命・財産を守る」ためと恣意的に判断すればすべてが可能となる。しかも判断するための情報は、特定秘密保護法で秘匿される可能性が高いのである。
   
つまり集団的自衛権の行使は、わが国が不戦・中立国から交戦当事国に転じ、現地で自衛隊員が戦闘で殺し殺され、日本本土(原発や、米軍の集中する沖縄など)が狙われ、また海外で活動するNGOや商社マンなど、日本人がテロ攻撃の対象となる可能性を高めるが、安倍政権はこうしたリスクを黙して語ろうとしない。
   
   
・「安全保障環境の悪化」は安倍政権の誇大宣伝
また彼らは、集団的自衛権行使の理由に「安全保障環境の悪化」を上げるが、果たしてそうか。今日、経済のグローバル化の下で各国の相互依存関係が深まり、国家間の戦争が双方の甚大な人的・経済的被害と財政的困窮を招くことは明白で、一部地域での紛争はあるとしても、戦争回避・軍縮が大きな流れである。
   
まして世界最強の軍事大国・米国とその艦船への攻撃や、憲法で戦争放棄を宣言している日本を一方的に攻撃すれば、攻撃した国自身の破滅は必至であり、そのような自殺行為を演じる愚かな国は考えられない。
   
そこで安倍政権は、北朝鮮脅威論をことさら喧伝する。そもそも北朝鮮の核開発は、かつて米国のブッシュ政権が「イラク、イラン、朝鮮に先制攻撃する権利がある」と言明したことへの恐怖心から発している。緊張を高める北朝鮮の核開発やミサイル発射に私たちも反対だが、仮に北朝鮮が核の先制攻撃をした場合、瞬時に米・韓両軍から何倍もの猛反撃を受けて、自国が壊滅することはすでに十分認識されており、日本が集団的自衛権の行使を可能にしたからその「抑止力」が高まるわけではない。
   
むしろ、わが党が提唱してきた「(1)米朝の相互不可侵協定、(2)北朝鮮の核廃棄、(3)北朝鮮への経済援助を3点セットで6か国が合意」し、北朝鮮の体制維持を保証することが重要なのである。日本は、未だにかつての植民地支配と侵略戦争の謝罪と補償もしていないのだから、拉致問題の早期解決と共に、02年の「日朝平壌宣言」に基づく国交正常化交渉を急ぎ、6か国協議の仲介を果たすべきである。
   
また日中関係は、係争事案の尖閣諸島の国有化に加え、安倍首相の靖国参拝や村山談話見直しの動きなど歪んだ歴史認識による言動が関係悪化を招き、1972年の国交正常化以来最悪の状況を招いている。冷静に考えれば、無人の小島の領有権争いなどで集団的自衛権の行使を云々すること自体、馬鹿げた話である。良好な日中関係は双方にとって大きな国益なのだから、両国間の4つの共同声明・宣言などの諸原則を踏まえて「小異を残して大同に就く」立場で信頼関係回復に双方が全力を挙げるべきだ。そのために社民党は、6月下旬に訪中団を派遣し、党及び政府要人と忌憚のない意見交換で、認識を共有化することができた。
   
そもそも安全保障の要諦は、敵を作らず、敵対する国を中立化し友好国化する外交努力にある。今日、安倍政権に求められるのは、軍事力を背景とした「積極的平和主義」ではなく、自らの誤った歴史認識を改め、平和憲法に基づいて中国、韓国、北朝鮮など近隣諸国と関係改善を図ることである。
   
   
・立憲主義を踏みにじる安倍政権
前述したように、憲法とは、主権者たる国民が政治権力の専制化や恣意的支配を防止・制限し、個人の権利や自由を保障しようとするものだ。つまり国民が政治権力を縛るものである。これが近代国家のルールである立憲主義である。
   
集団的自衛権の行使を可能にすることは、政府に戦争を起こすことを禁止している憲法九条に反して戦争ができるようにすることだから、先の閣議決定はまさに立憲主義を蹂躙する許されざる暴挙である。集団的自衛権の行使がどうしても必要だというのならば、その当否は別に、憲法改正を提起するのが筋である。だが、そうすれば多くの国民が改憲にNO!を突きつけることを恐れて、解釈改憲で国民を騙し討ちにしようというのである。
   
   

■ 3. 反撃の条件と私たちの課題

一致できる課題での野党共闘の追求
今日、景気回復による生活・雇用の改善、社会保障充実、消費税増税反対、脱原発・再稼働反対、集団的自衛権行使反対などが国民多数の声であり、安倍政権の政策と大きくねじれている(自民党の得票率は先の総選挙で27.6%、参院選で34.6%に過ぎないから当然だが)。社民党はこれら国民の声に依拠し、野党共闘を可能最大限追求していく。集団的自衛権問題では、相変わらず民主党の腰が定まらないが、当面、秋の臨時国会でも「違憲の閣議決定撤回・国会での徹底審議」で野党共闘を追求していく。
   
   
・野党共闘を支える院外大衆運動の強化を
労働組合の使命は、組合員の生活と権利、その基盤である平和と民主主義を守ることにある。実質賃金の低下を踏まえ、賃上げをはじめ企業内の非正規労働者の均等待遇と正規化、労働法制改悪反対、消費税増税反対などを求め、闘う体制づくりにむけて大衆的に論議される必要がある。同時に、日本が「戦争できる国」となり、日本(人)も攻撃の対象になる事態を阻止することも労働運動の使命である。よって、集団的自衛権問題の学習会や教宣活動を強化し、「戦争をさせない1000人委員会」や平和運動センターなどの大衆運動に積極的に結集し、院内外連携して反対の国民世論を高めなければならない。
   
   
・社民・リベラル勢力の結集を目指す
こうした院内外の運動が前進する過程で、「大企業と富裕層優遇・国民犠牲、憲法を壊して戦争のできる国つくり」を進める安倍政権への不満や怒りが広がり、政権の支持が低下し、これに対抗する政治勢力結集への期待が高まらざるを得ない。
   
社民党は、当面、安倍政権と対峙する緊密な野党共闘を構築しつつ、護憲・脱原発・国民生活向上などを目指す広範な社民・リベラル政治勢力の結集を展望し、それを目的意識的に追求していく。その成否は、労働運動を中心とする国民的機運の動向いかんである(「第二自民党」を目指す政界再編は国民が支持しない)。
   
そのために党の力量発揮が求められる。全国で地方議員を先頭に「戦争をさせない1000人委員会」運動の中軸を担い、集団的自衛権行使反対の署名活動・街頭演説・チラシ配布・講演会などを引き続き展開し、「党の見える化」を図る。それが自治体議員の拡大や次期国政選挙の土台ともなる。この秋の福島県知事選(10月26日)と沖縄県知事選(11月16日)は何としても勝利しなければならない。
   
   

■ 結びに

憲法第一二条は、「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない」と規定しているが、この反動政権の暴走を食い止めるために闘うことが、今を生きる主権者・国民の未来への責任だと督励していると言えよう。(8.18記)
   
   

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