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●2008年10月号
■全力で政治転換に立ち向かおう!
  社民党副党首 又市征治
   
 

■1. 転んでもただで起きない政権党

(1)福田内閣は、9月12日から70日間の会期で臨時国会を召集し、新テロ特措法の延長、「総合経済対策」(8月29日に予算規模1.8兆円と発表)、消費者庁設置法案などを提案するとしていた。
 
 ところが、福田首相が、9月1日、突如として辞任表明を行った。昨年の安倍前首相と同様、無責任極まりない政権投げ出しである。その要因は、内閣支持率の低迷、新テロ特措法や補正予算をめぐる与党内のきしみ、そして福田降ろしの蠢きなどに自信を喪失したためのようだが、これは、内閣の事態対応能力の喪失であり自公政権とその政策の行き詰まりの現れである。
 
(2)社民党は、この臨時国会に向け、新たなスタグフレーションへの対処が不可欠と考え、8月27日、各党に先駆けて『生活・地域の底上げ宣言』を発表した。
 
 その概要は、「内需拡大・国民生活改善のための9兆円規模の緊急対策」として、1つは、
(i)4.2兆円規模の減税、
(ii)100万人の正規雇用創出2400億円、
(iii)農林漁業・中小企業対策3000億円、
(iv)政府備蓄石油50日分の放出、
(v)当面、地方交付税の復元2兆円、
(vi)社会保障費2200億円削減の撤回
――などを年度内に講ずる。2つは、
(vii)高齢者医療制度の廃止、
(viii)来年度当初から基礎年金の国庫負担2分の1の実施(2.3兆円)
――などを来年度予算(年末の予算編成)で措置する。
 
そしてこの財源としては、所得再分配に逆行する消費税率アップではなく、
(i)特別会計の余剰資金約40兆円から約5兆円(前述(i)〜(iii)に充当)、
(ii)年5.4兆円の道路特定財源の一般財源化から年2兆円(前述(v)に充当)、
(iii)法人税と高額所得者の所得税の減税の廃止(年2.8兆円)など不公平税制の是正分約4兆円から年約2兆円(前述(vi)〜(viii)に充当)
――を具体的に提示した。
 
 そして、臨時国会では、これを軸に、労働者派遣法の抜本改正、年金の諸問題、消費者主役の強い権限を持つ消費者庁の設置、新テロ特措法の延長断念とイラクからの撤退などを厳しく追及し、早期に解散・総選挙に追い込む決意を固めていた。その意味で、首相退陣・自民党総裁選による1カ月近い政治空白は無責任そのものだが、上記の内容はそのまま臨時国会と総選挙の争点の一端でもある。
 
(3)首相辞任によって、解散・総選挙の流れは一気に加速することになった。
 
 政権が行き詰まれば、解散・総選挙によって事態を打開することが常道であるが、自民党は、突然の首相辞任のピンチをチャンスに変え政局の主導権を取り戻そうと、12日間にわたるマスコミをジャックしての総裁選で、格差拡大や財政危機をもたらした責任にはまったく触れずに茶番劇を演じ、その直後に総選挙に持ち込もうとしている。
 
 本誌が出る頃には固まっているだろうが、今後の日程としては、9月24日の臨時国会召集・首班指名、29日の衆・参両院での所信表明演説を経て、10月1〜3日の代表質問の直後か、または予算委員会での補正予算成立直後(10月上旬)――の解散が想定される。つまり11月上旬の総選挙となるだろう。


■2. 新自由主義的「構造改革」の結果

(1)小泉内閣以来、7年半にわたる市場経済万能論の「構造改革」が今日どのような事態をもたらしたか、改めて概観してみよう。
 
 この間、大企業の経常利益は過去最高益を6年連続で更新し続け、その配当金は約4.5倍にも伸びている。それは、「構造改革」の支援を受けた雇用・設備・債務の「3つの過剰」を解消するリストラ「合理化」によるものであった。
 
 そのため、勤労者の所得は9年連続で低下し、中でも年収200万円以下の人々が1200万人=5世帯に1世帯にも拡大した。企業の徹底した賃金抑制策と、正規労働者を劣悪な労働条件の非正規に置き換える策が進められ、今や非正規労働者が全勤労者の3分の1=1740万人にも激増したことがその大きな要因である。
 
 また、中小企業者も大企業からの単価切り下げや内需停滞が相まって経営難に陥り、農林漁業者も工業製品輸出優先政策・輸入自由化、このところの燃料の高騰の大波をかぶって経営崩壊の一途である。高齢者・障害者・疾病者・失業者の生活困窮は言わずもがなである。自殺者が10年連続で3万人を超える異常さは、これらと無縁ではない。
 
 にもかかわらず政府は、社会保障費を毎年2200億円削るなど年金・医療・介護を次々と改悪し、また少子・高齢社会の守り手である自治体の地方交付税を5兆円も削減して福祉・行政サービスを後退させ、地方も疲弊させてきた。
 
(2)そのため、憲法に保障された国民の諸権利の空洞化が一段と進んでいる。
 例えば、憲法第二五条の「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」は、年収200万円以下の人々には保障されてはいない。また第二六条の「すべて国民は、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利」は、貧困家庭の子ども達には保障されず、将来の夢や希望を奪っている。そして第二七条の「すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負う」という規定は、完全失業者や多くの非正規労働者に実質的には保障されていないのである。
 
 今日、凶悪犯罪や無差別殺人が年々増大している。これは、働く人々の労働諸条件の悪化、特に若者の2人に1人が非正規雇用という「使い捨て・消耗品化」の進行と決して無縁ではない。秋葉原の無差別殺人事件に見られるように、将来に希望が持てず、閉塞感や絶望感に追いやられた結果であり、社会的病理現象の蔓延である。
 
 このように、「構造改革」と大企業のリストラ・「合理化」は、国民の暮らし破壊や格差拡大のみならず、今や健全な社会の持続的発展をも阻害する事態を招いているのである。
 
(3)社民党は、80年代の英国や米国での新自由主義政策の実態をふり返り、いち早く、「小泉『構造改革』は弱肉強食の競争社会を作り出すものだ」と厳しく批判し、「格差是正と所得再分配強化」の闘いを訴え続けてきた。
 
 野党・労働組合・市民運動を挙げたこの闘いの強化がますます重要である。日本の労働運動が1970年代に到達した、賃金・労働条件の改善と社会保障や税など国民的諸課題の実現を一体で闘う「国民春闘路線」が再認識されるべきだろう。


■3. 日米同盟強化は改憲への道

(1)一方で、政府はこの間、日米同盟強化を強引に押し進めてきた。これは、2000年10月の『アーミテージ報告』に積極的に応えた動きである。
 
具体的には、小泉内閣は、
(i)在日米軍再編特措法を強行して日米軍事一体化を進め、
(ii)戦時体制づくりの有事立法を次々に強行し、
(iii)インド洋やイラクの米軍の後方支援に自衛隊を次々に派遣してきた。
また安倍内閣は、「戦後レジームからの脱却」を叫び、
(iv)教育基本法改悪、
(v)防衛「省」昇格、そして
(vi)2010年を目途とした改憲国民投票法をも強行した。
そして福田内閣は、民主党を抱き込んだ
(vii)海外派兵恒久法制定を狙いつつ、明文改憲の機をうかがってきたのである。
 
(2)だが、これは非常に危険な道である。例えば、わが国は東西冷戦構造(ソ連や中国との対立状況)の時代から、この狭い国土に次々と55基も原子力発電所を建設してきた。それは、『日本は憲法九条で戦争放棄を世界に宣言している。その日本を一方的に攻撃しようとする国は、世界中を敵に回すことになり、自ら壊滅の覚悟が要る。今日そんな愚かな国は存在しない』との時代認識と確信があったからだ。
 
 しかし、この憲法九条を改悪し「戦争のできる国」になれば、この大前提は崩れる。米国のブッシュ大統領は、「イラク、イラン、北朝鮮はならず者国家だ」と名指しし、一方的にイラクを先制攻撃した。だから危機感を募らせたイランや北朝鮮が核武装に走ったのである。もし米国が敵視する国が「どうせやられるのならば先に攻撃を」と決断したと仮定しよう。その場合、その国は、米国と軍事同盟を結び、かつ中東から北東アジアに至る米軍の作戦司令部を置く日本を当然狙う。その時、戦術的効果を考えれば、福井の15基や新潟の7基の原発が標的になることは常識だ。原発が1基爆砕されると広島型原爆の1000倍以上の被害が出るから、ミサイル2〜3発の攻撃でこの原発群が連鎖爆発を起こし、東京・大阪を含む日本列島中央部は壊滅することになる。こうした攻撃を想定して、莫大な費用を投入してミサイル防衛網を敷くということ自体、実に馬鹿げた策である。
 
 このように、日米軍事同盟の強化は、米国の引き起こす戦争に日本が巻き込まれ、場合によれば日本を壊滅させる、とんでもない危険な火遊びなのである。
 
(3)日米同盟による国民の被害はもちろん軍事・外交面が重大だが、経済・社会面にも及ぶ。毎年日米間で交わされる要望書に対日要求が盛り込まれ、「構造改革」「規制緩和」の名で着々と実施されてきた。その典型が農産物で、米国は日本に対して牛肉・オレンジ・小麦からコメにいたるまで圧力をかけ、日本農業を衰退に追い込んできた。
 
 また、金融面では郵政民営化(郵貯・簡保の地域金融を縮小させ米国資本が進出)や保険業の自由化も米国の要求どおりに進み、さらに医療の自由化(自由診療の拡大・保険医療の縮小と米国資本の進出)を求めてきている。
 
 国民の食の安全や自給率、医療の公共性を守るためにも、毅然とした対米外交・通商政策が必要だが、対米追従一辺倒の自公政権では期するべくもない。


■4. 求められる社会民主主義的政策の実施

(1)今日、日本の国内総生産(GDP)は500兆円余りで、全人口で割れば1人当たり約400万円、4人世帯で約1600万円の年収計算になる。ところが勤労世帯の平均年収は700万円余りだから、その40%程度に過ぎない。つまり、この富が大企業や高額所得者に偏り過ぎているのである。だから、社会のあらゆる分野に格差を拡大した新自由主義的「構造改革」を転換し、「格差是正・所得の再分配」を図る社会民主主義的政策の実施が不可欠なのである。
 
 その方策としては、当面、大企業の輸出優先から内需・国民生活重視の経済への転換を図り、
(i)積極的賃金引上げと年収200万円以下の所得層をなくす時給1000円以上の実現、
(ii)労働者派遣法の抜本改正と正規雇用の拡大、
(iii)安心の年金・医療・介護制度への再建、
(iv)地方交付税総額の復元、
(v)中小企業の育成、
(vi)農林水産業への所得保障制度
――などの実施であろう。その財源対策は、前述したとおり所得の再分配機能の強化が基本である。
 
(2)今ひとつ、日米同盟強化・改憲の動きを転換し、平和国家としての発展を図ることである。
 
 戦争放棄を世界に宣言した憲法九条を堅持することは、いかなる国も日本を攻撃できない・しない、最良最善の攻撃抑止力である。しかも1円のお金も要らない。逆に無駄な5兆円の軍事費の大半を削って国民生活の向上や、世界の飢餓・貧困・疫病対策、地球環境保護など「平和の配当」に回すことこそ、平和憲法の理念である。断じて九条改憲を許してはならない。
 
 そのためには、第1に九条改憲反対の国民世論を高め、仮に衆参両院の3分の2以上の改憲発議で国民投票になったとしても、それを否決できる国民多数派を形成する運動をさらに強化しなければならない。
 
 第2に、日米同盟と改憲を不必要にするアジア情勢を創り出す外交が重要である。社民党は、この観点から、01年に『21世紀の平和構想』を提唱した。その中で、「北東アジアに信頼と協調による多国間の総合安全保障機構を創設し、この地域に国際紛争が生じた場合は平和的話し合い、武力不行使を前提とする」こと(当面、日本、韓国、朝鮮、中国、モンゴル、ロシア、カナダ、アメリカを想定)を提起し、中国、韓国、モンゴルなどに理解を求めてきた。わが党のこの『構想』は、05年9月の『六カ国共同声明』の中に、「六カ国は、北東アジア地域の永続的な平和と安定のための共同の努力を約束した。……北東アジア地域における安全保障面の協力を促進するための方策について探求していくことに合意した」という文章に結実した。社民党外交の誇るべき成果である。「北東アジア総合安全保障機構」の創設は、日米同盟と改憲を意味のないものにできる。
 
 なお、『構想』では、その他
(i)北東アジアの非核地帯化の共同宣言を実現する(当面、日本、韓国、朝鮮、モンゴル)、
(ii)この進展に対応して日米安保条約を平和友好条約に転換する。また在日米軍基地を縮小・撤去していく、
(iii)肥大化した自衛隊の規模や装備は、当面、領海・領空・領土を越えて戦闘する能力を削減し改編・縮小する
――ことなども提唱している。
 
 違憲状態の積み上げに憲法を合せるのではなく、平和憲法の理念に現実を合せていく努力、六カ国協議の成功と発展を通してこの『構想』の内容を現実化する外交努力こそが、21世紀の日本の進路であろう。
 


■5. 社民党と民主党の相違点と対応

(1)今日、多くの国民が自公政権の大企業優遇・国民犠牲の政治、「戦争のできる国」へ転換する政治に不満・不安や怒りを募らせ、政権交代を望んでいる。それは「格差是正・国民生活向上と憲法九条を変えない政治」であり、「日本を高度な福祉社会・平和国家に発展させる」ことであろう。
 
 目前の総選挙は、正に与野党逆転・政権交代が最大の焦点となる。だが、後述するように、与野党が逆転しただけではこうした政治の実現は期しがたい。
 
(2)今日、国際的には、経済のグローバル化の下で市場経済万能論を推し進める新自由主義の保守政党と、資本主義社会が生み出す諸矛盾を可能最大限まで改良・改革しようとする社会民主主義政党という、二大政治潮流がせめぎ合っている。そして政権交代を通して国民の要求に応えていくことが当たり前になっている。
 
 日本では、小選挙区制の導入によって自民党と民主党という保守二大政党体制が形成され、それによる政権交代を煽るマスコミなどの動向も相まって、社会民主主義政党である社民党は大きく後退させられた。そして労働者運動の後退・低迷と相まって、格差が著しく拡大し、平和憲法改悪の策動も強まってきたと言えよう。
 
 我々は、こうした国際情勢や現実を直視し、そして政策的優位性に確信を持って、巧みに現実に対応して日常の政策宣伝活動と大衆運動を強め、同時に「社会新報」や党勢拡大を図りつつ、国政選挙と自治体選挙の前進に目的意識を持って取組み、歴史的社会的使命を果たさねばならない。
 
(3)「社民党と民主党の違い」をよく聞かれる。若干この点に触れておこう。
 
 民主党は、前原前代表が「自民党と政策は8割がた一致する」と表明したように、その政策は次のように多くの問題点を内包している。
 
(a)「小さな政府」論は、「構造改革」、「行政改革」などと称して社会保障や福祉・行政サービスを切り下げてきた。民主党はその「構造改革」のスピードアップを唱えてきた。「格差是正」と「小さな政府」論はまったく矛盾した主張である。
 
(b)民主党の「公務員給与2割削減」論は、労働基本権の代償措置である人事院勧告制度を否定し、また50人以上の民間企業の平均賃金に過ぎない公務員賃金を引き下げ、勤労者全体の一層の賃下げを促進する主張である。わが党の、年収200万円以下の人々の底上げを図る「時給1000円以上」要求とまったく矛盾する。
 
(c)また「300自治体への統合」論は、市町村大合併で明白になった福祉・行政サービスをさらに切り下げることになり、地域格差をさらに広げる主張である。
 
 こう見ると、この党の「格差是正」の主張は選挙戦術のマヤカシという他はない。
 
(d)民主党は「日米同盟強化」論の立場から、有事(戦時)法制、ミサイル防衛の予算化、防衛庁の「省」昇格、宇宙の平和利用から軍事利用に転換する宇宙基本法などに賛成してきた。また自衛隊の海外派遣・国際治安支援部隊への参加(自衛隊の海外派遣恒久法制定)にも「国連決議があれば」賛成という違憲の主張である。
 
(e)これらを見れば民主党の「創憲」論は、九条を含む「改憲」論と同義語である。
 
(f)民主党の「衆院比例区定数の削減」論(180を100に)は、小選挙区制による大量の「死に票」を是正し、少数意見を議席に反映するしくみである比例代表制の議席を大幅縮小するものであり、党利党略の民主主義否定といわねばならない。
 
これらから、多くの国民は、民主党への期待よりも自民党への批判の受け皿として民主党を見ている傾向が強い(昨年の参院選直後の朝日新聞の世論調査によると、「民主党が議席を増やした理由」は、「自民党に問題がある」が81%、民主党の「政策に期待できる」が9%、「小沢代表がよい」が4%に過ぎなかった)。
 
(4)また、最近「与野党逆転した場合、民主党と連立政権を組むのか」と問われる。
 
 前述のように、「保守・中道政党」の民主党は政策的に多くの問題を抱えている。しかし、選挙戦術であったにせよ、参院選では「格差是正」、「生活が第一」など社会民主主義的主張を展開し、またわが党の主張に同調してテロ特措法やイラク戦争反対を唱えて、民主党は躍進した。だから同党の中に「格差是正」を真剣に問題にし、九条改憲に反対する議員が増えたことも事実である。また、3年前は消費税率3%アップを主張していたが今日ではこれを引っ込めている。このように、この党の政策はその時の風向きでクルクル変わる。したがって社民党は、一貫して社会民主主義政策を主張しつつ、「格差是正・国民生活改善」と「憲法九条の擁護」について、民主党をはじめ野党共闘を積極的に呼びかけ推進してきた。
 
 当面の「院内共闘」と、一定期間政権を共有する「連立政権」とは当然異なるが、衆院で与野党が逆転した場合に、多くの国民が社民党にその連立政権の一翼を担えという情況が生まれれば、それを避けるべきではない。その際、
(i)格差を是正し国民の暮らしと社会保障を再建する、
(ii)所得の再分配機能を強化し、一般歳出や特別会計を抜本的に見直す、
(iii)憲法三原則を遵守する
 
――ことなどが指標になろう。その政権協議の成否によって連立政権参加か、閣外協力か、非協力かが決まる。


■6. 高度な福祉社会・平和国家への発展を目指して

(1)以上のように、今日、政治に求められるのは、「『構造改革』と日米同盟一辺倒を見直し、格差是正・国民生活向上と憲法九条を守る政治を実現する」ことだ。
 
 若者の2人に1人が一所懸命働いても一人前に生活ができず、結婚して子どもも作れないという、人間を「消耗品」扱いする現実、また長年社会に貢献してきたお年寄りを「姥捨て山」扱いして恥じない政治、そして憲法を改悪して「戦争のできる国」に変える時代錯誤の政治を何としても変えることだ。
 
 今度の総選挙はその絶好のチャンスである。だがそれは、民主党が自民党に代わって第一党になったとしても実現はできない。自民・民主の二大政党では多様な国民の声が政治に反映されてこなかったことは、この7年余りの現実が証明している。今こそ社会民主主義的政策の実施が不可欠なのであり、その旗頭である社民党の前進を含む与野党逆転が重要なのである。
 
(2)総選挙の結果次第では「政界再編」が必至で、自民党と民主党の離合集散が起こると言われる。自公が衆院で3分の2を割っても国会は逆転参院主導型となるからだ。だから、昨年の福田・小沢会談のように、年限を区切った自民・民主両党の「保・保連立」もささやかれる。もしそうなれば与野党逆転に期待した国民の意思は踏みにじられる。そうさせてはならない。だからこそ、ふらつく民主党に対して「しっかり勤労国民の側に立て」と厳しく迫る社民党の前進が大事なのである。
 
 だから、社民党の選挙区候補者の支持を全力で広げ、また比例代表選挙で「社民党」票の拡大に奮闘し、何としても「2桁の議席」を獲得しよう。それは、社民党のためでなく、高度な福祉社会・平和国家として発展する経済的基盤を活かし、子どもたちが夢や希望を持てる社会、お年寄りが安心して暮らせる社会、そして誰もが人間らしく働き生きられる豊かで平和な社会を創る使命を果たすためである。
(9月16日記)

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