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●2008年7月号
■日本の未来のために社民党の存在価値を訴えよう
   社民党政調会長代理 辻元清美氏に聞く
   
 

 昨日、参議院で福田総理への問責決議案が出され、戦後初めて可決されました。本日、衆議院では自民党と公明党が首相の信任決議案を出すことになるようです。社民党、民主党、それから国民新党も欠席だと思うのですが、参議院で問責決議が可決された下で、総理大臣に対する信任決議を審議するというのは、土俵そのものがおかしいと思います。


■ 参議院の与野党逆転は、強行採決への批判

 去年の参議院選挙から1年が経ちました。参議院での与野党逆転という「民意の力」はすごいなと実感をしています。専門家や政治評論家、あるいは大きなマスコミは、ねじれ・ねじれと、あたかも不正常な状態とか、政治の停滞という論調ですが、私は今の方がずっと正常だと思います。
 
 去年の安倍政権時代には通常国会だけで17本もの強行採決が行われました。その原動力になっているのが、小泉さんの郵政選挙で出てきた議員たちです。小泉劇場などと言われ、刺客を送ったなどと大騒ぎしましたが、結局は造反議員も自民党に戻っているという、いわば「いかさま選挙」でした。それで得た衆議院での圧倒的多数、自民・公明で3分の2をとっているという数の力で強行採決を連発したわけです。そのときは参議院でも、自民・公明で数をとっていましたから、ほとんど国会での議論がありませんでした。防衛庁を防衛省にしたり、教育基本法を改悪したり、憲法改正の国民投票法を国民の要請もないまま成立させたり。遡れば、小泉総理の時代にも後期高齢者医療制度を強行採決したわけです。こうした政治のあり方より、今の方がはるかに健全でマシだと思います。


■ 参議院の与野党逆転は国会審議を正常化した

 具体的に言えば、道路特定財源についても今までは自民、公明を中心に仕切ってきて、ほとんど議論をせずに、公共事業の予算を垂れ流ししてきたわけです。歯止めをかけようとしても、衆参で多数を持っていますから、野党が問題点を指摘しようとすると審議を打ちきってきました。かつ省庁が資料を出しません。ところが道路特定財源の問題が出てきて、総理大臣が「一般財源化します」と発言せざるをえない状況に持ち込めたのは、参議院の与野党逆転の力です。省庁も資料を出さざるを得なくなったし、世論を無視できなくなったのだと思います。
 
 ガソリン税の問題では、与党は衆議院の3分の2の力で再可決しましたが、今原油が高騰し、ガソリンが170円台に達していて、それに引きずられる形で諸物価も上がっているなかでは、山口2区補欠選挙で与党が負ける結果になりました。
 
 それから後期高齢者医療制度も、最初から社民党は問題点を指摘したのですが、審議を打ち切って強行採決しました。75歳以上の方々にどのような影響がでるのか、医療の質がどう変わるのか、所得階層別の調査もしないままに、法を成立させたわけです。施行されて、批判の声が高くなって、やっと調査をしました。先日その結果が発表されましたが、低所得者の人たちへの影響が一番大きいとでてきたわけです。政府が言ってきたことと反対だったのです。だんだん明らかになってきた問題を国会でとりあげ、追及できたのも、参議院で与野党逆転した力です。隠しおおせなくなっているわけです。
 
 国民年金の問題もそうです。野党はトータルな年金制度にせよということを、ずっと追及してきました。消えた年金記録問題や、倉庫に眠ったままの旧台帳など、あまりにずさんな管理の実態も追及してきました。政府・与党は逃げまわってきましたが、与野党逆転の力でようやくさまざまな資料が出て来ています。
 
 日銀総裁の人事の話もそうです。「総裁が決まらなかったら、国際的に恥だ」というキャンペーンをはっていましたけれど、私はそうは思いません。むしろ今まで与党の親分衆だけが集まって、そのなかで勝手に決めてきたことにこそ問題があると思います。日銀のゼロ金利政策の検証もされていません。日銀の役割とすれば物価の安定を図ることが重要なことなのに、物価が高騰しているのは、これまでの日銀の金融政策の失敗です。そういったことを十分に検証せずに、日銀と財務省のたすきがけ人事で選んでいくというやり方に初めてストップをかけたわけです。
 
 国会の中で日銀総裁候補者の聴聞会が行われたのも初めてです。日本の金融政策の意思決定をする最高責任者をどうするか、国会の中で聴聞会を開いてしっかり選んでいこう、というのは当たり前。今までの議会のあり方こそが問題だったのですから、日銀の金融政策を点検しなおして、じっくりとふさわしい人を選んでいこうというのは正常だと考えます。
 
 これらも参議院選挙で与野党逆転したという、民意の力だと思うのです。選挙が「民主主義の源」だなということを実感しています。


■ 野党共闘のキャスティングボートを握る社民党

 さて、参議院で与野党逆転したといっても、民主党だけで過半数をとっているわけではありません。民主党に、社民党の議席が加わって初めて過半数になるわけです。ということは社民党がキャスティングボートを握っていることになります。社民党の参議院は5議席で数は少ないのですが、重要なポジション、自分たちの政策を実現していきやすいポジションになりました。
 
 今国会、すでに多くの成果をあげています。ひとつは、後期高齢者医療制度の廃止法案を四野党で取りまとめたことです。参議院選挙が終わった直後に社民党は廃止法案を作ろうと決めました。民主党を中心に、他の野党にも粘り強く働きかけをしてきました。それから、障害者自立支援法の応益負担を止めさせる改正法案も、社民党が他の党へ働きかけています。
 
 それから、日米地位協定の見直しです。沖縄で少女が強姦されるという事件がまた起きました。アメリカ軍の軍人・軍属による事件・事故は年間2000件近く起きていますが、そのうちの半数が沖縄で起きています。月約80件にもなりますが、日米地位協定によって問題解決がされない状況があるわけです。これも社民党から働きかけて、民主党と国民新党の3野党で地位協定改正案を取りまとめることができました。
 
 それから、今取り組んでいるのが労働者派遣法の改正案です。若い人たちを奴隷のようにしていく日雇い派遣など問題が噴出しています。今回の秋葉原の通り魔殺人事件の背景にも、若い人たちの不安定な職、閉塞感があることを多くの人たちが指摘しています。日雇い派遣の全面禁止と業種を限っての派遣だけ認めるという、規制緩和し続けてきたのを、元の時点に戻すべきであるというのが社民党の主張です。民主党はそこまで踏み込んでいないんですけれど、国民新党、共産党と力を合わせて、民主党も含めた野党4党での抜本的な改正案ができないかと働きかけをしているところです。
 
 もう1つは環境税の創設です。これも社民党から民主党に働きかけました。洞爺湖サミットに向けて地球温暖化対策という総合的なプログラムを各党がまとめていますが、その中の特徴的な環境税の創設については野党で一本化できないかと模索しています。


■ 政策実現のためにも野党共闘の追求を

 なぜこういうことをするのかといえば、今、野党で具体的な法案をまとめておけば、いざ衆議院で与野党が逆転したら、すぐに取り組めるからです。
 
 それから、民主党は「大連立」などへの動きがあったように、自民党とくっつこうという火種があり、それは消えていないと思うからです。大連立になってしまったら、大政翼賛会への道になります。それを止めるという意味でも野党共闘を重視していくということです。
 
 強行採決されてしまった国民投票法では、直ちに衆参に憲法審査会を設置し、改憲に向けての議論を始めるという規定があるんですが、社民党から特に強く民主党に働きかけて、設置をさせないということで、野党が足並みを揃えるということを必死でやっています。
 
 社民党の賛成を得られないと過半数をとれないという力を使って野党共闘を強めていくということをやっているということです。それはほんとうの意味での政策実現をしたいということに繋がるからです。
 
 この間の政治状況で重要なのは、先週の日曜に行われた沖縄県議会議員選挙で、与野党が逆転したことです。与党が22議席、野党が26議席で、社民党会派が第一党で、共産党が第二党です。
 
 社民党としては、この沖縄の県会議員選挙を重要視していましたから、私も選挙応援に入りました。沖縄市、那覇市、宜野湾市、うるま市と4市に入りました。沖縄市では社民党後任の若い女性がトップ当選しました。後期高齢者医療制度に対する批判が直接の引き金で、与野党逆転を果たすことができたと考えます。とくに沖縄はオジィ、オバァを大切にしようという長寿県ですから。
 
 この結果が玉突きとなって、辺野古の新基地建設などを直撃することになると思います。与野党逆転した県政の下では、基地問題はやすやすと了承できないと思うからです。第一党の社民党は、辺野古の新基地建設をしっかり止めることに、今まで以上に力を発揮できると思います。


■ 社民党の存在価値をアッピールしよう

 最後に衆議院の解散総選挙がいつかという話になります。衆参のねじれを解消するのは、国会の中の大連立でもないし、福田総理の丸呑み・抱きつき作戦でもない。解散総選挙で、国民の皆さんの判断によって、解消させるしかない。与党は解散総選挙を逃げていますが、力を合わせて追い込んでいくしかない。
 
 今衆議院で社民党は7議席です。これを何とか2ケタ台に載せたい。次の選挙後も、衆議院では一党だけで過半数を取る、占めるという状況は生まれないと思うんです。すでに自民党は政権維持のために公明党と組んでいますし、民主党も単独では無理でしょう。とすれば、どういう組み合わせがよりマシかという選択になるわけです。非自公政権として、今の野党が力を合わせていくことになるでしょう。とすれば、過半数にどれだけか足りないという時に、今の参議院同様に社民党がキャスティングボートを握っていく、大きな力を発揮できるということは可能だと思うんです。
 
 こういう選挙制度では、死に票にならないようにと、野党第一党に票が集中しがちなんですが、社民党の議席を1でも2でも増やしてもらうことが、大事だと思うんです。民主党は社会党から離れた人たちという幻想を捨ててもらって、民主党が第二保守党として暴走しないように、食い止める。そのためには、社民党のような質の違う党が必要だと思いますから、私は大阪10区の小選挙区で頑張っています。

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